バイオハザードIV アフターライフ

2022年03月09日 水曜日

ポール・W・S・アンダーソン製作・監督・脚本、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の2010年の映画「バイオハザードIV アフターライフ(Resident Evil: Afterlife)」
ゲームの「バイオハザード」が原作で、シリーズ四作目。

前作で安全な場所アルカディアがあるというアラスカに仲間達を送り出したアリス・アバーナシーは自分もアラスカへと飛行機で飛び、仲間達を探しても見つからなかったが、記憶を無くしたクレア・レッドフィールド一人だけを見つけ出せた。
アリスとクレアはロサンゼルスへと行き、刑務所に避難していた人達を見付けて合流。
アリスはそこでアルカディアは巨大な船だった事を知り、ロサンゼルスに沖に泊っている船へと向かうため、感染者に包囲された刑務所から脱出しようとする。

一作目と二作目はまだ「バイオハザード」していたのに、三作目では最早「バイオハザード」でも何でもなく、しかもそれがおもしろくなかったけれど続編があるので完全に惰性で続けて四作目を見てみると、更におもしろくなさが増し増し。

このシリーズのお決まりの伝統となった、前作の最後に思わせ振りな更なる展開を見せておきながら続編ではそれが必要無かったのでは?と思わせる扱いの悪さがあるけれど、今回はそれから始まる。
アリスの超能力。
クローンアリス軍団。
日本のアンブレラ本社等の前作で続編に対して一番期待させた部分は冒頭で全部消滅で強引に終わらせてしまう。
アリスの超能力は評判が悪かったから薬で無くしました感を感じてしまい、だったら意味不明な超能力は初めからいらないだろ…とか、アリスのクローン軍団は前作を見ていればアリスが死んでも「ああ、クローンか…」で驚きは全くなく、クローン軍団のアクションがおもしろければ意味はあるのに大勢のアリスが攻めるおもしろさが無く、こちらも無意味に大量のクローン必要無かっただろ…だし。
アンブレラも本社が崩壊しました…でもまだ他にもアンブレラは生き残っていますって、見飽きた展開。
そもそも、崩壊して人間もほぼ死滅してしまった世界でアンブレラって何を目的にやっていて、どうしてあそこまで巨大だったり、大量の人間を運用出るだけの物資や資源や指導力があるのだろう?と本当に不思議。

続けてのアラスカでの話も、アラスカに送り出した仲間が行方不明なのはゾンビ映画っぽい展開ではあるものの、そのまま直ぐにロサンゼルスに戻って来るので、やっぱりこのアラスカに行く展開もいらない気がした。

ロサンゼルスの刑務所では新たな人物が出て来て、周囲を大量の感染者に囲まれている状況でおもしろくなりそうな要素はあるのに、結局おもしろくならないのは流石のポール・W・S・アンダーソン。
新登場人物達は役者の力で役が立ってはいるけれど脚本が役を全く立てないという凄さ。
元プロバスケットボール選手のルーサー・ウェストは元スターとかバスケットボール的な何かで活躍したりするのかと思いきや無し。
一番武器に詳しそうだったエンジェル・オーティスは仲間に意味不明に撃ち殺されて終わり。
映画関係者が多かったので何かあるのかと思いきや映画関連のジョークも無く、特に意味は無し。
プロデューサーとその部下がいるので何か展開があるのかと思いきや何も無し。
女優を目指していた女性がいたのでプロデューサーと何か関係があるのかと思いきや何も無し。
この女性は水泳をしていたと言って、わざわざ水の中に入る場面があるのに何も活躍無し。
囚人と勘違いされて閉じ込められていたクリス・レッドフィールドを「プリズン・ブレイク」のマイケル・スコフィールド役でお馴染みウェントワース・ミラーが演じていたのは笑ってしまったけれど、やっとクリスが登場したのにそれ程活躍せず、妹のクレアが都合良く記憶喪失なので兄妹の再開場面は何の面白味も無く、記憶が戻ったクレアとクリスが何かを言い合ったりする場面も無く、本当にクリスの登場が無駄。

刑務所の周囲にあれだけの感染者が押し寄せているのに門はビクともせず、巨大な怪物が大きなハンマーで門を叩くと壊れるとか何のこっちゃだし、そもそもこの怪物は何?
今までのT-ウイルスから誕生した新型の怪物とは違うのか何なのかも一切説明無し。
周囲を囲まれて装甲車で突っ切ろうという話が出て来て、それをちゃんと見せたら結構おもしろい画になるんじゃないの?!と期待したのに、感染者が掘って来た地下の穴から行きましょう…て、話も画も地味。
一番の見所になりそうな事をしないって…。

それにアクションが全編に渡って安っぽい。
CG合成が安いし、ウェスカーが登場するとビデオ映画的な安っぽい雰囲気が漂うのは何なのだろう?
やたらとアクション途中のスローモーションを多用し、一番盛り上がるはずのアクションが間延びしまくるという酷い演出。
撃った銃弾が空気を切る弾道を残しながら飛んで行くとか「マトリックス」だし、ウェスカーの見た目や動きもエージェント・スミスで、2010年に今更何で「マトリックス」?
後から知ったのはこの映画が3Dでも公開されたからスローモーションだの、画面手前に飛んで来る弾とかなのかと思ったけれど、それにしても3Dの演出で今更それってしょっぱい。

この映画、流石にポール・W・S・アンダーソンが製作・監督・脚本と一人で好き勝手しただけあって、おもしろくなりそうな要素があるのにそれを全く活かせずにやたらとしょっぱい方向に持って行き、次々とこちらの期待を悪い意味で裏切ると言う映画だった。

☆★★★★
 
 
関連:バイオハザード
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   バイオハザードIII
   バイオハザードV リトリビューション
   バイオハザード: ザ・ファイナル

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