トゥー・ヒューマン

2021年09月01日 水曜日

理由はよく分からないけれど、以前から無料になっていて、後方互換もされているXbox 360のゲーム「トゥー・ヒューマン(Too Human)」をした。

アシールと言う神々にも似た種族が人間を守っている世界で、アシールの一人である主人公バルドルを操作してヘルやアシールの裏切者ロキと戦う三人称視点のアクションRPG。

北欧神話にサイバネティクスやサイバースペース等のサイバーパンクを融合した世界観で結構おもしろく、ゲームとしては次々と性能が違う武器防具を敵が落とし、武器防具にルーンを刻んで改造も出来るハックアンドスラッシュの要素もありで、おもしろそうな要素を詰め込んでいる割に悪い部分ばかりが目立ってしまうゲームだった。

銃はコントローラーのトリガーだけれど、手に持つ武器は右スティックの操作という独特の仕組みを採用しており、右スティックを倒すと敵に向かって高速移動して攻撃するという便利さがあるけれど、他のゲームの習慣・伝統として右スティックは視点移動という慣れがあるので、この右スティックで攻撃がどうにも視認性を悪くしている。
視点はLBボタンで主人公の前目線にはなるけれど、一気に前目線になるので移動中や攻撃中に急に見える景色が変わってしまい、今まで動かしていた左スティックをそのまま倒し続けているので変な方に進んでしまってイライラ。

移動に関しても、壮大な雰囲気を見せる為に何処も彼処もだだっ広くて特に何も無い場所ばかりで、それなのにダッシュが無いので移動が遅くてイライラ。

武器防具は種類が豊富とは言え、敵を攻撃した時や主人公が攻撃を受けた時にダメージの数値が一切出ないので、武器や防具が強くなっているのかの実感は一切無く、自分のレベルが上がるとドンドンと強くなって行く敵を素早く倒す為に強い武器が必要なだけで強い武器防具を拾う楽しさも無い。

ヒットポイントを回復する方法は敵がたまに落とす回復オーブか道端にある謎の物体から出て来るのを取るしかなく、自分で回復する方法が無いのでとにかく死にまくる。
体力が少ない時に炎や毒なのか?の継続ダメージをくらう攻撃を受けたら、この継続ダメージを解除する方法も無いので必ず死亡。
死んでしまうと空からヴァルキリーが降りて来てヴァルハラへと連れて行き、死んだ場所にヒットポイント全快で再スタートは出来る仕組みにはなっている。
ただ、このヴァルキリーが連れて行くムービーが長く、死んでから操作出来るまでに25秒位もかかるので、まあこの時間がイライラ。

話も、まるで連続ドラマの第二シーズンから始まった様な、全ての事に関して特に説明も無く何が何だか分からないままで進み、盛り上がって来た所で話の中心だった敵のロキに出会う事も無く突然終わってしまって、シーズンの更新が無かった打ち切り感だしで、最初から最後まで消化不良。
結局何が「トゥー・ヒューマン」なのかもよく分からない。

話の足りなさもそうだけれどゲームとしてのボリュームも足りなく、ゆっくりと進めたつもりでも15時間程で終わってしまった。
最終盤でレベルよりも10レベル位高い装備が出て来たので、引き継いで2周目もやる前提のゲームではあるのだろうけれど2周目で何か新たな話が出て来る事も無く、2周目の始まった時点で大分飽き飽き。
実績の解除目的で2周目以降何周かやってみたけれど、ほぼラジオを聞く為の手持ち沙汰を埋める為のこのゲームになって、何時の間にか面倒臭くなってやらなくなってしまい、このゲームと同じくわたしの中でもハッキリとしないままで何時の間に終わってしまった。

ピッチブラック

2021年08月31日 火曜日

デヴィッド・トゥーヒー監督・脚本、ヴィン・ディーゼル主演の2000年のアメリカ映画「ピッチブラック(Pitch Black)」
後に続編「リディック」「リディック: ギャラクシー・バトル」が作られシリーズ化された一作目。

人々を運ぶ宇宙客船がとある惑星に不時着した。
乗客の中には凶悪犯リディックが護送されていたが脱走。
生き残った乗客達はリディックが襲って来るかもしれない中で水を探し始めた。
一人の乗客が見つけた地中の穴を覗くと何かに襲われて連れ去られてしまった。
惑星は太陽が三個あったが、その三個の太陽が重なる日食が始まり、惑星が闇に包まれると穴の中から大量の生物が飛び出して乗客達を襲い始めた。
生き残った乗客達は暗闇でも見える目を持つリディックと協力して惑星を脱出しようとする。

何年か前に「リディック」と「リディック: ギャラクシー・バトル」を見たのだけれど、そのシリーズの一作目となる「ピッチブラック」はそれよりも前に見た事は覚えていて、ただリディックが暗闇でも見えるというのと暗闇に潜む怪物と戦う位しか覚えていないので見てみた。

数m先は闇で、その闇には怪物が大量にいるけれど音が聞こえるだけで見えない恐怖の中、逃げ出せない環境で大量の謎の生物と戦うというのは安いモンスター・パニック映画ではあるのだけれど、そこに暗闇でも見えてしまって怪物もはっきりと見えているけれど怪物に恐怖を感じていない百戦錬磨のリディックという特殊な要素が入ると多面的な描き方になり、ヒーロー・アンチヒーローモノのアクション要素も出て来て、色んなワクワク感がある。

展開や構成がおもしろく、初めは宇宙船の墜落で生き残った人々が何処かに潜む囚人に恐怖するリディックがモンスターのパニック映画だったのが、実はリディックはそんなに悪い奴ではなく助けてくれ、それよりも大量の怪物が暗闇の中から襲って来る恐怖へと移行し、中盤からは今まで敵だったはずのリディックが救世主となり怪物と戦いながら逃げるという、時間が経つにつれてドンドンと話の軸が変わって行く展開が飽きさせないし、ワクワクの展開。
既にリディックを知っている状態なので驚きや興奮は少なかったけれど、この映画をほぼ知らない状態で見たらこの展開は非常にワクワクしただろうなぁ。
しかも、子供だろうが主要人物であろうが容赦無く死んでしまう意外性のある展開も良いし、リディックのハードボイルド感を増している。

怪物の描き方もほんの数m先にいるのに闇で見えず、光を当てると一瞬見えるとかの恐怖の演出は上手いし、一方でリディックは全部見えているけれど動じない感じもヒーローモノとして良い感じ。

ただ、リディックのアクションが少なかったのは勿体無い。
あれだけ凄みの前振りを入れていたのに、リディックの見せ場、ヴィン・ディーゼルの見せ場が数か所しかなく、もっと怪物と戦うリディックが見たかった。
確かに暗闇に潜む怪物の恐怖が題材なので、リディックの無敵超人アクションにしてしまうと台無しにはなってしまうか。

あと、暗闇になる前の惑星では太陽が三つあるのでそれぞれで陽の光の色が違い、白っぽい光から赤い光になり、青白い光になってからの暗闇なので、より暗闇を印象付ける演出になっているのもSFとしても上手かった。

この映画、有り勝ちな設定にリディックという飛び抜けた要素を加えた発想の勝ち。
確かにリディックは魅力的で、この設定以外でももっとリディックを見たくはなる。
ただ、その期待した続編が突然銀河の支配を巡るスペース・オペラになり、その話が全然大した事の無い内容で、この「ピッチブラック」にあった良さをかき消して、興行的にも結構な赤字。
なのに、更に続編「リディック: ギャラクシー・バトル」が作られ、こじんまりした話に戻ったと思ったら、まるで「ピッチブラック」のリメイク映画みたいな内容で、非常に残念なシリーズになってしまった。
続編二作無かった事にして、「ピッチブラック」から始まる別な新たなリディックの続編を作って欲しいなぁ。

☆☆☆★★
 
 
関連:リディック
   リディック: ギャラクシー・バトル

サンクタム

2021年08月30日 月曜日

ジェームズ・キャメロン製作総指揮、アリスター・グリアソン監督、リチャード・ロクスバーグ主演の2011年のオーストラリア・アメリカ映画「サンクタム(Sanctum)」

冒険家のフランク・マクガイルは巨大な地下洞窟の奥深くが海に繋がっていると証明しようと何人もの仲間と潜水を続ていた。
ある日、嵐が来る事を知りながらも調査を行っていると嵐は大きな台風へと変わり、洞窟には大量の雨が流れ込んで来た。
大量の雨水によって通路に岩が挟まり入口からは出る事が出来なくなった為、より深い洞窟から脱出をする為潜水を始めた。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったのと、ジェームズ・キャメロン製作総指揮と粗筋に書かれていたので見てみたのだけれど、父親の冒険家の描写に難が有り過ぎて物語の成立を邪魔しているという駄目な映画だった。

脱出口が塞がれてしまい、まだ未調査の何処に繋がっているのか繋がっていないかもしれない水中の洞窟からしか脱出出来ないという部分は冒険物として設定は結構上手く出来ているのだけれど、父親と息子の物語の中心となる父親が、そもそも自分の判断の甘さが原因で起こっている事なのに他人に高圧的で自分勝手で、しかもクズなので共感性が全く無いままなので物語が成立していない。

まずは初っ端から父親の無謀さと準備の無さで仲間が空気漏れで死亡。
この時、仲間を殺した様にも見える描写にしているけれど、これで周りからの信頼が無くなるとかの展開も無いので、結果何の為の描写なのかよく分からず。
その後嵐が来ているのに危険を深くも考えずに調査を続行して仲間が次々と死亡。
強引な父親について行くと仲間が次々と死亡。
仲間が死んでも「あ~あ。死んじゃった」位の反応で仲間に対して感情は見えず、自分の息子ばかり気にしている。
父親が怪我で動けなくなったら自分で何とかしようともせず、苦しいので息子に自分を殺させるという、最後まで自分勝手で他人を巻き込むクズ野郎。
この父親の設定のせいで洞窟からの脱出も見ていても「こいつに従うと死ぬぞ!ほら、死んじゃった…」だし、次々と仲間を殺して行く父親を見て何故息子が父親を理解して行くのか意味不明だったので、父親の設定や描写が間違っているとしか思えなかった。
最終的に息子だけが生き残ったけれど、この事故調査が行われると、やっぱり父親の判断間違いの連続で息子以外が全員死亡としかならないだろうし。

他の登場人物も死ぬ為だけに存在していて、父親に文句言うけれど父親について行って死亡の繰り返しで何を見せたいんだろう?とずっと思っていた。
逆に仲間を次々と殺してしまうので当然父親に反抗して独自に行動する人も出て来るけれど、結果その人も死亡で本当にただ人が死んで行くだけ。
始めに脱出した仲間がいて、その仲間が外で何かして助けようとする話もあるのかと思ったけれど、そんな事も一切無く、何故いたのかも意味不明で脇の人々の存在意義がよく分からなかった。
その周りの人の死に方も分からない事が多く、一人の仲間は潜水病が発症したので皆から離れてこっそり一人で死んで行くのは、皆に心配をかけたくなかったという事でそこまでするモノなの?
登山家の女性は水が噴き出す中に落ちただけで死亡。
もがきもしないですんなり死んでしまったのはどんな流れの水なの?

そもそも洞窟が海に繋がっていたら何なのかがさっぱり分からなかった。
発見ではあるだろうけれど、そこまで大金と時間と人をつぎ込んでする事なの?とずっと思ってしまっていたのも父親に全く感情移入が出来なかった理由でもあると思う。
それに洞窟が海に繋がっているのを証明するなら人間が潜る必要は無く、GPS装置を付けたアヒルの玩具を大量に流せば良いだけ。
現実の洞窟だったら人間が通れるだけの大きさの穴や通路が必ずある訳ではないだろうし。
何故かこの洞窟は、至る所に人間が通れるだけの大きさの穴や通路が必ずある都合の良い洞窟だったりする。

そして酷いのは日本の配給会社で、この映画は実話に基づくと書かれているけれど、実際には映画の初めに「Inspired by a true story.」と書かれている様に、調べてみたら実話から発想しただけで全然実話に基づいていない。
1988年にオーストラリアのナラボーの洞窟にドキュメンタリー番組の制作で入ったこの映画の製作・脚本のアンドリュー・ワイト含め15人が岩の崩落によって二日間閉じ込められ、全員が助かったらしい。
人が洞窟に閉じ込められたけれど全員が助かったというのが事実らしく、洞窟に人が閉じ込められたという部分以外全く違うじゃん。

この映画、ジェームズ・キャメロンが製作総指揮に入っているとは言え、大量の水が出て来るという部分以外はジェームズ・キャメロンらしさは無い様に思え、ただ登場人物が次々と死んで行って一人だけが助かるという悲劇にしたいが為の脚本の出来が酷いので、まあつまらない。
父親は出来るようで実際は自分のせいで次々と人が死んで行く無能で、人の死に対して大して気にしておらず、人が死んで行っても洞窟が心安らぐとか自分勝手な事を抜かすクズ人間で、この人物ではどんな展開にしても話に入っては行けなかった。

☆☆★★★

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 英雄復活

2021年08月30日 月曜日

マク・チーシン監督、チウ・マンチェク主演の2018年中国映画の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 英雄復活(黄飛鴻之怒海雄風)」
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 南北英雄」の続編。

下関条約が結ばれて日本と清との間で停戦となっていたが日本軍が侵攻の気配を見せていた清王朝末期。
清の国内では白蓮教という団体が政府の高官を狙って攻撃を企てようとしたがウォン・フェイフォンの活躍によって白蓮教を撃退。
しかし日本との戦争に備えようとしていた高官が白蓮教によって誘拐され、ウォン・フェイフォンと弟子達が白蓮教を壊滅したが高官はおらず、白蓮教が日本軍と繋がっている事が分かる。
ウォン・フェイフォン達は高官を助け出す為に日本人を追い始めた。

チウ・マンチェクのウォン・フェイフォンとしては四作目になるけれど、どうやら1990年代の二作と2010年代の二作は別物らしく、「南北英雄」で敵側だったのが最終的にウォン・フェイフォンの弟子になった女性が引き続き弟子で登場していたりと「南北英雄」の続編にはなっているこの映画。

続編ではあるものの、前作から監督が変わったからなのか、アクションにめりはりが無くていまいちおもしろくなかった。
始まりの突き刺さった竹の上でウォン・フェイフォンと白蓮教の女性との戦いが後から思い出すとアクションが一番おもしろく、その後もアクションはあるけれどダラッと流れる様に戦いが続くので戦い過ぎてアクションが散漫になってしまっている。
しかも、どのアクションも上手くはやっているけれど迫力がいまいち足らず、前作の縄やでっかい傘や鎖を使ったアクションみたいな印象的な戦いも無くて、アクションの印象が薄いままだった。

話は、当時の中国で自分の国を守ろうとするウォン・フェイフォンは分かるけれど、それを描いているのに最後にわざわざ文字で宣言すると安っぽくなってしまうし、その説教臭さを娯楽で入れる必要があるのかな?と思うも、入れなきゃいけなかったのかな?とも思った。

前作の「南北英雄」を見て一番良かったのが、ウォン・フェイフォンと恋人の不器用なイチャイチャと弟子達も揃ってのほんわかした日常で、アクションがある分このほんわかがほっこりして気持ちいい感じだったけれど、今回はそれが少なめ。
しかも、深刻な話が軸なので、その箸休め的にちょこっとウォン・フェイフォンと恋人のイチャイチャが描かれるので全然物足りない。
ウォン・フェイフォンと皆でどうでもいい事話ながら食事している場面が見たかったのに。

そう言えば、前作では話的には一作目なのに既にウォン・フェイフォンに弟子が三人いる状態から始まっていて、その弟子に関しては特に説明も無く行き成り始まっていたけれど、今回も弟子が三人いるけれど一番弟子と太った弟子は継続なのに、一番強かった首を傾げている弟子がいない事には全く触れず、眼鏡出っ歯の新弟子の経緯についても特に触れずで、この映画までの間に短編映画やミニドラマあったのを見逃した感じで特に説明も無いまま。
このチウ・マンチェクの二作って、気になる所の説明を一切省くよなぁ。

敵が日本人なので日本の屋内や文化が出て来るのだけれど、これがヘンテコ日本。
謎の日本語で描かれた掛け軸や、花街の中にある煎餅屋の看板とか、中国に相撲の道場を作って土俵を組んで稽古している相撲取りとか、2018年の中国でもこんな感じなのか。
ただ、わたしは外国映画のヘンテコ日本が結構好きで、出て来る日本語の文字を一時停止して読んでみて面白がっていた。

日本人のボス役の人が澤田拳也という日本人俳優だと後から調べて知った。
確かにこの強面の顔ってVシネのヤクザモノに出ていても違和感ないよなぁと思ったけれど、中国語の台詞って自分で話しているのだろうか?
中国語はさっぱり分からないけれど、他の俳優の台詞と比べても下手ではないように思えたのだけれど。

この映画、結構おもしろかったチウ・マンチェクのウォン・フェイフォンの続編だったので結構期待したけれど、アクションが多い割にいまいち。
ウォン・フェイフォン一家のほんわか場面がほぼ無しだったのが期待外れ。
ウォン・フェイフォン一家の飯食っている場面が半分位で、アクションは初めと中と最後にで良かったんだけれどなぁ。

☆☆★★★
 
 
関連:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 南北英雄

ゴースト・エージェント/R.I.P.D.

2021年08月29日 日曜日

ロベルト・シュヴェンケ監督、ジェフ・ブリッジスライアン・レイノルズ共演の2013年のアメリカ映画「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.(R.I.P.D.)」
ダーク・ホース・コミックスから2000年に出版された「R.I.P.D.」が原作。

警察官のニック・ウォーカーは相棒のボビー・ヘイズとの捜査中に見付けた金塊を報告せずに着服してしまった。
罪悪感を感じたニック・ウォーカーは金塊の事を報告しようとしたが犯罪者の逮捕に向かう事になる。
捜査は銃撃戦となり、ニック・ウォーカーを助けていたボビー・ヘイズが二人きりになるとニック・ウォーカーを撃ち殺してしまう。
撃たれたニック・ウォーカーが気付くと取調室の様な所におり、制服を着た女性から「あなたは死んだ。死んだのに人間界に居残って悪霊となった者達の逮捕を手伝えば天国に行けるので悪霊の捜査を手伝って欲しい」と言われ、Rest In Peace Departmentの捜査官として人間界で捜査を始める事になる。
19世紀から捜査官をしているロイシーファス・パルシファーの下について捜査を始めると、ニック・ウォーカーが横領した金塊と似た様な金塊を悪霊達が集めている事が分かる。

元々何かでアメコミ原作なのは知っていて、ジェフ・ブリッジスとライアン・レイノルズが出ているのを知って見てみた。

突然死んでしまって、世界には悪霊が存在している事を知り、その悪霊を捕まえる新人捜査官とベテラン捜査官のドタバタアクションという「メン・イン・ブラック」で「ゴーストバスターズ」をやっている様な映画。
バディモノとしては非常に王道、ベタではあるけれど、主人公二人は既に死んでいるので死にそうな事があっても何ともなく平気だったり、生きている人間には全くの別人に見ているという笑かし要素もあっておもしろいし、ジェフ・ブリッジスの前々々時代の化石の様な西部の保安官とのやり取りも中々おもしろいし、カメラがグルグル回ったり、一瞬で視線の先に寄ってみたりとかの映像演出も中々走っていて良いし、楽しい娯楽映画になっている。

ただ、ジェフ・ブリッジスの個性が強い分、本来主人公であるはずのライアン・レイノルズの方が個性が弱いのがいまいち過ぎる。
残された妻と金塊という設定があるので中々はっちゃけた性格に出来ないのは分かるけれど、怒りっぽいと言っている割に怒って暴走する事もなくジェフ・ブリッジスの方が怒りっぽくて暴走するし、何か特徴的な人物でもある訳でもなしなので、主人公が弱くて脇役が強いのは問題の様な気がした。

あと、敵は悪霊なんだれど、所謂物をすり抜けたりするお化けではなく完全にモンスターで、その見た目や攻撃的に設定が悪霊である必要があんまりない気がした。

この映画の笑かし所である、生きている人間には二人の姿は別人に見えるという部分では、ライアン・レイノルズが中国人のじいちゃんでジェフ・ブリッジスがイケてる女性というので笑かしに来ているけれど、わたしはライアン・レイノルズの方の中国人のじいちゃん役がジェームズ・ホンだったのでそっちの方が笑いと興奮になってしまった。
ジェームズ・ホン、この時84歳で元気に役者やっているのもそうだし、ゴーストモノにジェームズ・ホンが出ているのも興奮材料。

役者ではジェフ・ブリッジスは64歳で、1990年代位までの印象なのでおじいちゃんになったなぁ…と思いつつ、その古い保安官役がピッタリで楽しい。
ただ、あの口の中に常に何か入っている様な喋り方は何なのだろう?
聞き取り辛いし、変な役作りと思ってしまった。

ケヴィン・ベーコンが登場して、今回も悪役なのかな?と思ったら速攻で悪役と分かり、しかも実は悪霊でラスボスって、悪役俳優まっしぐらで笑ってしまった。

R.I.P.D.の管理官役のメアリー=ルイーズ・パーカーも役が立っていて良かったし、皆弾けて楽しいそうに演じていた感じ。

この映画、結構おもしろかったけれど、ジェフ・ブリッジスの役が強過ぎな分ライアン・レイノルズの役が弱く見えてしまって物足りなさを感じたし、死んでいるから何が起こっても大丈夫というアクションや、ジェフ・ブリッジスが他人の死に鈍感になっているとかがもっとあっても良かった様な気がする物足りなさも結構あった。
この出来なら続編もあっても良さそうと思ったら、興行収入が製作費の半分強位という大赤字で続編は無しか。
もっとこのジェフ・ブリッジスを見たかったけれど。

☆☆☆★★