ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 南北英雄

2021年06月30日 水曜日

リン・ツェンザオ監督、チウ・マンチェク主演の2018年中国映画の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 南北英雄(Huang Fei Hong: Nan bei ying xiong)」

武術家で医者のウォン・フェイホンの家に凶暴化した男が乗り込んで来た。
男を倒して治療するウォン・フェイホンだったが治すのは難しく、西洋で西洋医学を学んで来た恋人のモーも上手く治療できなかった。
ウォン・フェイホンは街で一旗揚げようとする北拳の武闘家達と揉め始め、モーは東インド会社の男が街に開設した病院に勤める事になったが、実はその男が人間を強靭化させる薬を開発する為に人体実験を行っており、そこから逃げ出した男がウォン・フェイホンの下に来ていた。
そそのかされてこの薬を打つ北拳の武闘家とウォン・フェイホンは戦う事になり、更には薬を知った為にウォン・フェイホン殺害に刺客が送られていた。

リー・リンチェイのワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナのシリーズを見ようとは思っていたけれど、この映画がAmazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので先に見てみた。

ウォン・フェイホンがどんな人物かは大体知ってはいたけれど、それにしてはウォン・フェイホンの説明は少ないし、個性の立った弟子が三人もいるけれどこちらも詳しい説明も無いし、恋人がヨーロッパに行っていて帰って来たという話も詳しい説明も無いしで、てっきりシリーズの二・三作目だから前の映画で登場人物達の説明や恋人の行動も説明があってのこの映画なのかな?と思っていたら、どうやらこれはこれでの単作映画で前は無いみたい。
完全新作で他の映画とは繋がりが無い割に連続ドラマの第2シーズンの様な雰囲気で、もうウォン・フェイホンって皆知っているよね!で説明を省いているのだろうか?
この映画でウォン・フェイホンを演じているチウ・マンチェクは、ツイ・ハークが監督でジェット・リーがウォン・フェイホンを演じたワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナシリーズでは三作目でジェット・リーが降り、四・五作目でチウ・マンチェクがウォン・フェイホンを演じていて、そこから二十四年振りにウォン・フェイホンを演じているので、もしかして四・五作目からの続編的な扱いなんだろうか?

映画自体はウォン・フェイホンも弟子達も見せ場があるし、縄やでっかい傘や鎖を使ったアクションの工夫もおもしろく、ウォン・フェイホンの無着地の大勢に対する無影脚もあるしでアクションはおもしろいし、生真面目なウォン・フェイホンともっとウォン・フェイホンに来て欲しい恋人との恋愛とか、抜けているけれど可愛らしい弟子達とのやり取りとか、和やかな雰囲気もある娯楽映画としては中々おもしろかった。
特にウォン・フェイホンと恋人と弟子達の食事場面とか、もうほっこりし過ぎていて物凄い心地良く、薬の話はいいからウォン・フェイホン達の日常話をもっともっと!になっていたし。

敵になる北拳のライバル心剥き出しの若い弟子達と、抑えながら礼節を守っている師匠も良い感じだし、東インド会社側は分かり易く悪い奴で、アヘンと薬を絡めたりとかもあるしで敵側も人物は立っていた。
ただ、東インド会社の男は薬で何をしようとしていたのだろう?
中国人を強くして東インド会社は何の得があるんだろう?

この薬の話は古い香港映画の安っぽさがあるのがまた良くて、病院でははっきりとした赤青黄色に着色した水がビーカーに入っていたりとか、更にはそのビーカーにドライアイス入れて煙が出ているとかの安っぽさを2018年なのにやってしまうたまらなさで笑って見れる。

ウォン・フェイホンは人々から愛されていて、最後の牢屋での戦いで牢屋に入れられた人々が鎖を掴んでウォン・フェイホンを助けようとする場面は熱かったなぁ。
もう少年漫画みたいな展開。

この映画、アクションはもっと欲しい部分があったり、ウォン・フェイホン側の人々の説明が足りないのでもっと教えて欲しい部分はあるけれど、アクション映画や娯楽映画としては楽しく見れ、このほっこりするウォン・フェイホン達がもっと見てみたかった。
連続テレビドラマだとこの前日譚や後日譚ももっと描けて良いんだろうなと思い、この人物達や雰囲気だと映画よりもドラマの方がおもしろそうな気がしてしまった。

☆☆☆★★
 
 
関連:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 英雄復活

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