ホワイト・スペース

2021年06月30日 水曜日

ケン・ロクスマンディ製作総指揮・監督、ホルト・マッキャラニー主演の2018年のアメリカ・ハンガリー映画「ホワイト・スペース(Beyond White Space)」

西暦2156年。地球から離れた宇宙空間で宇宙生物の漁を行っている宇宙船エセックス号に保安機関MFFの護衛官リンが乗って来た。
エセックス号は通常の漁を行っていたが、船長のリチャード・ベントレーは父親が追い求めていた伝説の巨大生物天龍を追いかけており、護衛官リンはICEのエージェントで自分の余命が僅かだと知り、天龍が住むホワイト・スペースは全てが浄化される場所と言われているのでホワイト・スペースに辿り着く為に天龍を追っているエセックス号に乗って来たのだった。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみたシリーズ。

粗筋をざっと読んでみた位の前知識で見てみたけれど、前半は結構おもしろそうな要素や雰囲気が散りばめられていて楽しかったけれど、後半、特に終盤は展開がグチャグチャして来て、見終わるとだから何?と尻すぼみだった。

前半の宇宙へ行くまではいらない様な気がするけれど、エセックス号では乗組員が皆個性が濃かったり、宇宙船の美術の雰囲気とかが、まるでテレビドラマシリーズっぽい感じで、そのシーズン・プレミアを見ている様な、これから何が起こるのか?で結構楽しく見れた。

しかし、中盤辺りからは、船長は天龍に取り付かれて乗組員を振り回しながら行動しているのにそれが余り前面に見えて来なかったり、リンの余命が僅かというのをサッパリ忘れていたので、この人は何で身分を偽ってまで乗り込んで来て、何で天龍を追っている様で皆の邪魔をしているのだろうか?となってしまったし、最終的に技師は寄生虫に乗っ取られて何故か殺人鬼になってしまい、何故か女性だけを襲うという、ここだけサイコパスな殺人鬼のスリラー映画になっているし、長年やって来た乗組員同士で殺し合ったり、最終的に皆死んでしまいました…で、棚ぼた的にリンだけが助かりました…って、色んな要素を詰め込み過ぎて、結局何これ?となってしまった。
この最終版の殺人鬼スリラーとかっている?
リンの存在もいる?
海賊達も物資を奪った後にも追って来たけれど、後から攻撃を仕掛けて来た理由もよく分からないまま、関係無い所で絶滅しました…って、海賊もいる?

宇宙生物も設定としてはおもしろいけれど、何も無い宇宙空間で何を食べているのか?とか、空気の無い宇宙空間なのに何で音を立てる器官があるの?だし、逆に酸素のある宇宙船内は酸素が猛毒でそんな空間で生きられるの?呼吸をしないからいいの?とか、重力も空気も無い宇宙空間で蟹っぽい姿だと不便しかないんじゃないの?とか思ってしまう詰めの甘さが気になってしまった。

あと、船長の「白鯨」っぽい感じは分かるけれど、題名にもなっているリンの方のホワイト・スペースの話は初めに少しだけリンの余命の話が出て来た以降は一切何も関係が無いのですっかり忘れていたし、リンは捕まってばかりなので特に活躍も無く、急に最後だけホワイト・スペースでまとめても何だかなぁ…。
多分、「白鯨」を宇宙でやったという事なんだろうけれど、船長は狂気感が無いし、反乱は一人が勝手に盛り上がってしまっているだけだし、映画の雰囲気とは全然違う殺人鬼スリラーだし、生き残りを出す為だけのリンだしで、「白鯨」を無理矢理押し込んだ感じばかり。

この映画、最初は色んな要素があって、数話に渡って展開される連続ドラマっぽい楽しさで見れたのに、最後はよく分からない殺し合いで皆が死んで、どうでもいい存在だったリンのホワイト・スペースで強引に締めた感じで、全然楽しくなくなってしまった。
本当なら数話のミニシリーズでやったら感情の機微で繋げて行ってで良い題材なのかもしれないけれど、一時間半位だとこんな感じしかならないんだろう。

☆☆★★★

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