ピッチブラック

2021年08月31日 火曜日

デヴィッド・トゥーヒー監督・脚本、ヴィン・ディーゼル主演の2000年のアメリカ映画「ピッチブラック(Pitch Black)」
後に続編「リディック」「リディック: ギャラクシー・バトル」が作られシリーズ化された一作目。

人々を運ぶ宇宙客船がとある惑星に不時着した。
乗客の中には凶悪犯リディックが護送されていたが脱走。
生き残った乗客達はリディックが襲って来るかもしれない中で水を探し始めた。
一人の乗客が見つけた地中の穴を覗くと何かに襲われて連れ去られてしまった。
惑星は太陽が三個あったが、その三個の太陽が重なる日食が始まり、惑星が闇に包まれると穴の中から大量の生物が飛び出して乗客達を襲い始めた。
生き残った乗客達は暗闇でも見える目を持つリディックと協力して惑星を脱出しようとする。

何年か前に「リディック」と「リディック: ギャラクシー・バトル」を見たのだけれど、そのシリーズの一作目となる「ピッチブラック」はそれよりも前に見た事は覚えていて、ただリディックが暗闇でも見えるというのと暗闇に潜む怪物と戦う位しか覚えていないので見てみた。

数m先は闇で、その闇には怪物が大量にいるけれど音が聞こえるだけで見えない恐怖の中、逃げ出せない環境で大量の謎の生物と戦うというのは安いモンスター・パニック映画ではあるのだけれど、そこに暗闇でも見えてしまって怪物もはっきりと見えているけれど怪物に恐怖を感じていない百戦錬磨のリディックという特殊な要素が入ると多面的な描き方になり、ヒーロー・アンチヒーローモノのアクション要素も出て来て、色んなワクワク感がある。

展開や構成がおもしろく、初めは宇宙船の墜落で生き残った人々が何処かに潜む囚人に恐怖するリディックがモンスターのパニック映画だったのが、実はリディックはそんなに悪い奴ではなく助けてくれ、それよりも大量の怪物が暗闇の中から襲って来る恐怖へと移行し、中盤からは今まで敵だったはずのリディックが救世主となり怪物と戦いながら逃げるという、時間が経つにつれてドンドンと話の軸が変わって行く展開が飽きさせないし、ワクワクの展開。
既にリディックを知っている状態なので驚きや興奮は少なかったけれど、この映画をほぼ知らない状態で見たらこの展開は非常にワクワクしただろうなぁ。
しかも、子供だろうが主要人物であろうが容赦無く死んでしまう意外性のある展開も良いし、リディックのハードボイルド感を増している。

怪物の描き方もほんの数m先にいるのに闇で見えず、光を当てると一瞬見えるとかの恐怖の演出は上手いし、一方でリディックは全部見えているけれど動じない感じもヒーローモノとして良い感じ。

ただ、リディックのアクションが少なかったのは勿体無い。
あれだけ凄みの前振りを入れていたのに、リディックの見せ場、ヴィン・ディーゼルの見せ場が数か所しかなく、もっと怪物と戦うリディックが見たかった。
確かに暗闇に潜む怪物の恐怖が題材なので、リディックの無敵超人アクションにしてしまうと台無しにはなってしまうか。

あと、暗闇になる前の惑星では太陽が三つあるのでそれぞれで陽の光の色が違い、白っぽい光から赤い光になり、青白い光になってからの暗闇なので、より暗闇を印象付ける演出になっているのもSFとしても上手かった。

この映画、有り勝ちな設定にリディックという飛び抜けた要素を加えた発想の勝ち。
確かにリディックは魅力的で、この設定以外でももっとリディックを見たくはなる。
ただ、その期待した続編が突然銀河の支配を巡るスペース・オペラになり、その話が全然大した事の無い内容で、この「ピッチブラック」にあった良さをかき消して、興行的にも結構な赤字。
なのに、更に続編「リディック: ギャラクシー・バトル」が作られ、こじんまりした話に戻ったと思ったら、まるで「ピッチブラック」のリメイク映画みたいな内容で、非常に残念なシリーズになってしまった。
続編二作無かった事にして、「ピッチブラック」から始まる別な新たなリディックの続編を作って欲しいなぁ。

☆☆☆★★
 
 
関連:リディック
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