レオン
2014年08月03日 日曜日リュック・ベッソン監督・脚本、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン共演の1994年のフランス映画「レオン(Leon)」。
父親が原因で家族を皆殺しにされた少女がアパートメントの隣の部屋に住む男に命を救ってもらう。彼は殺し屋で、少女は復讐の為に殺しの技術を学ぼうとし、殺し屋と少女の生活が始まる。
多分、この映画が公開された当時、まだリュック・ベッソンが有名ではなかった時に見たら「素晴らしい!」ってなったんだろうけれど、その後のリュック・ベッソンを知っていると変にリュック・ベッソンアレルギーで悪い部分が目に付いたり、映画「ニキータ」を見てからだと「ニキータ」の亜種感があるし、どうしても素直に見れない。ただ、映画自体は哀しくて非常に良い。何も無い殺し屋が少女と出会って変わるという二人だけに絞って見せたので、話に没入出来る。
それでもやっぱり引っ掛かるのはリュック・ベッソンの演出。牛乳ばかりを飲み、植木を大事にし、サングラスをかけて座ったまま寝る殺し屋や、相手の嘘を臭いを嗅ぎ分けて見抜く麻薬の売人とか、漫画みたいなやり過ぎで滑り気味の演出が出て来る度に覚めてしまう。最後の銃撃場面になるとずば抜けて良い映像になるけれど、そこまでは特にこれと言って目を引く感じも無いし、前半から中盤までは完全にジャン・レノとナタリー・ポートマンの役者の力が大きい。ジャン・レノは変わらずジャン・レノだけれど、ナタリー・ポートマンは凄いな。この歳の演技としては良くこれだけ出来る。それにゲイリー・オールドマン。抑えつつも気分の悪い役、ぶっとんだ役させたら天下一品。この映画後に、このゲイリー・オールドマンみたいな悪役が多く登場しているけれど、どれもわざとらしさや鼻に付く演技を考えるとやっぱりゲイリー・オールドマンも凄い。と、なると、凄いのは役者陣の存在感や演技力で、これ以前のリュック・ベッソンの映画「サブウェイ」「グラン・ブルー完全版」「ニキータ」等を思うと、リュック・ベッソンが凄いのかどうかは物凄く疑問に思って来てしまう。
この映画、そもそも「フィフス・エレメント」の資金集めに制作した映画らしいけれど、こっちの方が当たり、当の「フィフス・エレメント」はその後のことごとくアレなリュック・ベッソン監督作やプロデュース作を象徴する様な映画になってしまい、今でも「『レオン』を撮ったリュック・ベッソン」になってしまっている感は強い。確かに今でも「レオン」の監督と言われるだけあって、「レオン」自体は素晴らしい出来。正に「リュック・ベッソンの奇跡の一本」。しかし「この奇跡以外は、アレでしかない」でもあるんだけれど…。
しかし、何でリュック・ベッソンってこの後、この路線の映画を撮らなかったのだろうか?「トランスポーター」シリーズとか、「アデル/ファラオと復活の秘薬」とか、下手に娯楽作に行って評価を落とすだけ落としてまでも娯楽作の人になりたいのだろうか?この哀愁路線で行っていれば、凄く評価される映画人になって、「リュック・ベッソン製作総指揮!」という煽りが今とは違う風になっていたのだろうに。
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