ニキータ

2013年10月03日 木曜日

リュック・ベッソン監督・脚本、アンヌ・パリロー主演の1990年のフランス映画「ニキータ(Nikita)」。

麻薬中毒のニキータは警官殺しで捕まり終身刑を受けるが、謎の組織が彼女を死んだ事にし、生きながらえさせ訓練を受けさせて暗殺者として育てた。

マギー・Q主演の連続TVドラマ「NIKITA / ニキータ」を見始め、この映画がそのドラマの基になっているらしいので、たまたま放送していたので見てみた。

問題ばかり。何がってニキータが。
ニキータは少女っぽい感じの役で「19歳」と言っているのに、ニキータ演じるアンヌ・パリローはこの当時30歳で、どう見てもおばさん。しかも吹き替えで見たら勝生真沙子が吹き替えており、喋り方は幼い感じなのに、見た目も、それ以上に声がおばさんで、言っている役柄と見た目と声がグッチャグチャ。少女の役なのに、どう見ても合っていないアンヌ・パリローを配役しているのは、当時アンヌ・パリローとリュック・ベッソンが付き合っていて、すでに娘がいた事の関係性以上のモノが見えて来ない。完全に配役は失敗。
途中で化粧をして綺麗になるという場面があるのに、化粧しても別に綺麗でもなく、普通な30代にしか見えないのは痛い。あれで「23歳」と言うのだから、見た目と年齢で色々と引っ掛かり、任務なんてすぐ失敗だろう。

話も、始めからニキータは麻薬が抜けた後でも元々頭がおかしく、暴力的で破壊的な人物というのを長めに見せているので、暗殺者に仕立て上げられても「元々殺人狂じゃん…」と全く哀しみや悲運を押し付けられた感じが無い。一方で、頭のおかしいニキータを長めに見せておきながら、どうやって大人しくなり、冷静で素早く判断を下す暗殺者になったのかという過程は見せず、行き成り別人の様な人物になるという、本来なら描かないといけない所を完全に省いてしまう。
行き成り凄腕の暗殺者になるけれど、その暗殺内容も伝えられた場所に行き、所定の場所に陣取り、用意されている銃で撃ち殺して終わりと非常に味気無い。ニキータが凄いのじゃなくて、組織が凄いとしか思えず、全然ニキータは生きて来ない。
その他のアクションも物凄くいい加減で、流石に、ニキータがコートと帽子と眼鏡を付けただけで大使に化け通せて、大使館に簡単に潜入出来るとか、大使館の壁に自動車が突っ込んでも自動車へっこみもせず、そのまま逃走出来るなんて脚本雑過ぎ。そもそも始まりからして、ゴロツキが押し入った町の店屋に突然パトカーがやって来たと思ったら、警官はマシンガンや暗視ゴーグル付けて銃をぶっ放す時点で現実味が無い、見た目の派手さのハッタリ感しかないんだけれど。唐突に出て来るジャン・レノも、彼の一連の話は別にいらない賑やかしだけだし。
人間関係も、何で頭のおかしいニキータにボブが惚れているのかとか、ニキータはボブがいるから暗殺を続けているのかどうかもよく分からないし、止めたいの素振りはあるのに何故作戦を受け続けるのかも分からないし。やっぱりリュック・ベッソンの脚本って、どうしようもない。

あと、音楽も何かダサい。他のリュック・ベッソンの初期作品「サブウェイ」とか「グラン・ブルー」も音楽がダサいから時代性なのかな?

映像的には綺麗だったりおもしろかったりはするけれど、まあ見事に中身がグダグダでつまらないリュック・ベッソン映画。やっぱり脚本なんて二の次三の次の雰囲気番長リュック・ベッソン映画でしかない。

☆★★★★

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