フォー・ルームス
2014年08月02日 土曜日アリソン・アンダース、アレクサンダー・ロックウェル、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノの四人の監督による1995年のオムニバス映画「フォー・ルームス(Four Rooms)」。
老舗ホテルのベルボーイとして働くテッドを狂言回しとして、四部屋のお客達の世話や問題に関わってしまうテッドを見せる。
アリソン・アンダース監督話は「昔、その部屋で呪いをかけられ石にされた魔女を復活させる為に集まった魔女達に翻弄されるテッド」。
アレクサンダー・ロックウェル監督話は「間違って入った部屋では妻の浮気相手を殺そうとしている男に浮気相手に間違えられたテッド」。
ロバート・ロドリゲス監督話は「子供の面倒を頼まれたが、子供の世話が面倒なテッド」。
クエンティン・タランティーノ監督話は「ペントハウスの有名映画俳優のお遊びに巻き込まれるテッド」。
小洒落た音楽と共に始まり、セットの雰囲気や音楽等、1960年代位の映画やテレビドラマ風でお洒落感を出し、しかも各話それぞれの客室内で話が進む舞台劇の様な見せ方で、良い感じの雰囲気を出しているので期待は大きいのに、実際にはどの話も洒落た感じが全く無いし、やたらと下ネタに走るし、どれもおもしろくないしでどの話もおもしろくない。オムニバスとしても全体的にも微妙な出来。四人の監督がそれぞれを脚本書いて監督したとはなっているけれど、別にハッキリとした方向性の違いが出ていると言い難いし、何だかロバート・ロドリゲスとクエンティン・タランティーノが盛り上がって企画して、二人じゃ格好付かないから他の監督連れて来た感じ。他の二人の監督はそれ程有名でもなさそうだし。
わざわざ四つの別の話を見せているから、それぞれが何かしら関係を持つのかと思ったら、それもほんの少しだけしかなく、注射器の話の電話がある時のテッドの行動とか直ぐ矛盾している事に気付く位全体の構成も統制が取れておらずグダグダ。
各話は、魔女の話は更にどっかの話の間に何かあると思わせる様な終わりだったのに結局何も無く、この話だから何?
浮気話は、人間違いからドンドン話があらぬ方向に転がって行くかと思ったらすんなり終わってしまい、修羅場なのに非常にあさっりしていて全然後に残らない。
子供の話は、落ちに持って行く為だけの前振り話で、その振りばかりが終始つまらなく、お遊び感覚でアントニオ・バンデラスが終始一人で張り切っている感じ。
ペントハウスでの話は、始まりでクエンティン・タランティーノが自分が気持ち良い事をダラダラとまくし立てる時点で一気に興味が失せ、その後は登場人物達が台詞を立て続けに喋り続けるけれど間延びする、足踏みしている様な一向に進まない展開で退屈だし、結局全てが前話の子供の話と同じで落ちに持って行く為だけの振りで、つまらない。落ちも「そうだろうねぇ…」という予想の付くモノだし。
テッド役のティム・ロスって、昔から変な、一癖ある役ばっかり演じている印象があるけれど、今回のベルボーイ役は陽気なアホな若者という結構普通な役だけれど、やっぱり演技が濃い。この映画がコメディと言うのはあるけれど、一々動きまくり、表情も次の瞬間丸っきり変わってしまう。ほとんど情緒不安定。何だか動きの小さいジム・キャリーみたいな演技。四話目見ると、このテッドってクエンティン・タランティーノが一々演出しながらクエンティン・タランティーノ自身を演じさせている感じ。
浮気した妻役のジェニファー・ビールスって映画「フラッシュダンス」の人だけれど、ティム・ロス主演のTVドラマの「ライ・トゥ・ミー」でティム・ロスの元妻役で共演していたな。
マドンナとかブルース・ウィリスが出ているけれど、「こういう人気監督の映画に少しだけ出るってお洒落でしょ!」という感じがアリアリ。ただ映画自体が上手い事出て来ていないので、その感じもすべっている。
この映画、色々と詰め込んでいる割に見終わると全てがスカスカした感じ。興奮や笑いも少ないし、四つの話それぞれがおもしろい訳でも無いし、全体の構成も単に四つ並べただけだしで、全部が微妙。ティム・ロスを「ライ・トゥ・ミー」で好きになったので彼の演技で見ていたけれど、他の人に比べると浮きまくっている感じはあるし、何より四話目みると「テッドって、クエンティン・タランティーノじゃん…」と思ってしまった瞬間、結局は最後の四話目の一ネタの短編をしたかったからこの映画作りましたというクエンティン・タランティーノのオナニー感を感じてしまい、わたしのずっと低空飛行だった気持ちが更に墜落してしまった。
☆★★★★