眠狂四郎殺法帖

2013年11月15日 金曜日

市川雷蔵主演のシリーズ一作目。1963年の時代劇映画「眠狂四郎殺法帖」。
柴田錬三郎の小説が原作。

無頼の浪人眠狂四郎の元に一人の女性が訪れる。彼女は加賀藩の女中千佐で、陳孫という人物から命を狙われていると言う。彼女の依頼を受け入れた眠狂四郎だったが、陳孫からも呼び出され加賀藩の内情と千佐が加賀藩からの間者だと知らされ、仲間に誘われる。千佐を問い詰める眠狂四郎だったが、加賀藩の揉め事に巻き込まれた中で彼女を守ろうとするのだった。

市川雷蔵の眠狂四郎初登場なんだけれど、眠狂四郎は何者なのか?とかも詳しく描かれず、既に二・三作目位の行き成りな感じで話が進んで行く。ただ、序盤で登場人物達の分かりや過ぎる自分や他の人物の身の上や現状を説明するキッチリとした説明台詞が多いけれど。
加賀藩の相対する豪商と宰相はどちらも良い人ではなく、その間で眠狂四郎はどちらにも付かず離れずで対応するけれど、惚れた女性だからと守るという、主人公眠狂四郎は中々おもしろい立ち位置。眠狂四郎は人情に厚いけれど無慈悲な人斬りでもある、ヒーローでもアンチヒーローでもない絶妙な人物でおもしろい。
そして、何より市川雷蔵がカッコ良い。黒い着物で少し裾まくり、目立つ様に刀を差す堂々とした剣士。やっぱり市川雷蔵と言えば眠狂四郎なのも納得。この人物だけで当たりで、この人物だからシリーズ化もされるわな。

眠狂四郎の敵役陳孫として若山富三郎が演じている。この陳孫、役としては少林寺拳法の使い手と言う中々おもしろい役ではあるのだれど、剣士眠狂四郎の第一作の最大の相手が少林寺拳法の使い手で、刀対素手という完全に刀に分がある様にしか見えない相手との戦いって物凄い微妙。一番初めは剣士対剣士の熱い斬り合いで、三作目位で拳法という変化球を持って来る方が良いと思うのだけれど。それに少林寺拳法って20世紀半ばに出来た新しい拳法なので江戸時代には無いから、言うなら少林拳なんじゃないの?でも見た感じは全然少林拳でもないし。
千佐役の中村玉緒は微妙。中村玉緒って、若い時も綺麗な女優と言う訳でもなく、何だか田舎臭い感じ光る感じでもないし、この時期の大映の中村玉緒押しって何なのだろうか?
眠狂四郎を追い駆ける役で真城千都世が出ているけれど、同じ市川雷蔵主演の「濡れ髪喧嘩旅」でも似た様な感じで出ていて、ちょっと既視感を感じた。この時期の映画女優って、ある程度役柄が固定した感じだったのだろうか?

市川雷蔵の眠狂四郎第一作という事で、まだ眠狂四郎の役柄が固定していない感じらしいけれど、この後の映画が見たくなる、眠狂四郎が見たくなる映画。娯楽映画としてちゃんと出来ているし、中々流れ良く最後まで行き、一時間半もないけれど上手くまとまっている。

☆☆☆★★
 
 
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