ダーティハリー2

2013年10月17日 木曜日

クリント・イーストウッド主演のシリーズ二作目、1973年の映画「ダーティハリー2(Magnum Force)」。

裁判で無罪になったマフィアやポン引き等、警察も司法も裁きを下せないままの犯罪者が次々と殺される事件が起こる。その犯人は白バイ警官らしく、ハリー・キャラハンが追う。

前作は一人で突っ走るハリー・キャラハンを描き、組織に馴染めない一匹狼のハードボイルド色がとても強かったけれど、今作は現在でも見る様な王道のハリウッドの撃ち合い刑事モノ。ハリー・キャラハンはベテラン刑事として若い警官を引っ張る立場で、相棒として若い黒人刑事が付くというバディモノでもあるし、上司は事件に関して全然見当違いで、真相に近付き事件を解決するのは主人公ハリー・キャラハンだけとか、敵は容赦無く銃をぶっ放し、罪の無い人まで殺してしまう悪人だけれど、主人公のハリー・キャラハンもとにかく銃をぶっ放し、敵を撃ち殺して解決という今でも良くある無茶苦茶なハリウッド・アクション映画の基となったような映画。1990年代になるとそんな映画はもうコメディ染みた方向になってしまったけれど、まだこの時代は1960年代後半からのアメリカの落ち込みやベトナム戦争等による治安の悪化等で、ハリー・キャラハン的なより直接的、より即効的な犯罪に対する行動が求められてしまった時代でもあるので、この映画なのかと思う。
他の警官・刑事が法律を超えて処刑人になる事が正しいと言っても、「法律を守るべき」とはっきりと主張するのがハリー・キャラハンだというのも、もうカッコ良過ぎな人物でもある。クリント・イーストウッド自体がこういう人なんだろうなぁ…と思ってしまうのもクリント・イーストウッドの上手さと役へのはまり具合。ただ、そう言っている割にバンバン撃ち殺す、殴り殺す、爆弾で吹っ飛ばすという、全然法律に任せないという人物でもあるけれど。

一つ不思議なのは、終盤のクリント・イーストウッドが自動車に乗って白バイに追い駆ける所からの港でのアクション場面への一連の場面では全然音楽が無い事。それまで普通に音楽で演出していたのに、急に環境音だけになるので、何だか違和感。盛り上げる所で音楽無しって、今見ると変な演出。

何時もは海外テレビドラマは吹き替えじゃないと見ず、映画は字幕でないと見ないけれど、クリント・イーストウッドは山田康雄でないと見る気がして来ない。特に昔の映画は吹き替えで見ても声優が上手いので、違和感無く見てしまう。

二作目も大作感は無く、結構地味な内容だし、非常に暴力的ではあるけれど何かおもしろい。やっぱりクリント・イーストウッドの存在感と役のはまり具合なんだろうと思う。もうこの映画で、「犯人を撃ち殺して終わるのが刑事映画」という後年の刑事映画の印象を作り上げてしまったのだろう。

☆☆☆★★
 
 
関連:ダーティハリー
    ダーティハリー3
    ダーティハリー4
    ダーティハリー5

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