ダーティハリー5

2013年10月20日 日曜日

クリント・イーストウッド主演のシリーズ五作目、1988年の映画「ダーティハリー5(The Dead Pool)」。前作はクリント・イーストウッドが監督もしていたが、今作の監督はバディ・ヴァン・ホーンと、結局毎回監督が違う。

有名になったハリー・キャラハンは警察上層部からマスコミュニケーション対策の顔にさせられる。殺人事件の捜査中、相棒になった中国系アメリカ人のアル・クワンとチャイナ・タウンにいると、偶然強盗に会う。その被害者のポケットの中に有名人を列挙したメモを発見し、その中にハリー・キャラハンの名前も見つけた。やがて、捜査していた殺人事件の被害者が殺人賭博の犠牲者であり、自分も狙われている事を知る。

シリーズ五作目という事で、ハリー・キャラハンが逆に狙われるという新たな展開なんだけれど、それも活きておらずあんまりおもしろくない。次々とハリー・キャラハンが狙われて、それをかわしながら犯人に辿り着くというのが王道だし、ワクワクする展開だと思うけれど、そんな展開ではなく、時々ハリー・キャラハンが狙われるだけで、あくまで主軸の連続殺人事件のおまけ程度の感じ。犯人は単にサイコ野郎でしかないので、凡庸なよくある刑事モノにしか思えないし。
ハリー・キャラハンは毎度の銃をとにかくぶっ放して解決…なんだけれど、その銃撃場面も、唐突に襲われる、偶然犯人と出会うという、特に何かの伏線になっている訳でも無いモノばかりで、単に派手なアクション場面を入れたいが為のモノにしか思えない。最後の大型の銛なんて、「ハリー・キャラハン、もういいや!」とクリント・イーストウッドが「これで最後ね…。」と投げ出してしまったようにしか見えないコメディ染みた馬鹿馬鹿しさ。
新たな相棒もこれまでのシリーズ同様、特に活躍もせず退場してしまうし、TVリポーター役のパトリシア・クラークソンもリポーターだからの必要性は途中の一場面位だし、色んな事を入れてはいるけれど全部の要素が中途半端な形でしかない。

何故か序盤で、ガンズ・アンド・ローゼズの「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル(Welcome to the Jungle)」のプロモーションビデオらしきモノの撮影場面があり、その中で出演しているのがジム・キャリー。まだこの時は駆け出しの役者だったけれど、今見る、何時もの顔芸と変な動きをしていて、行き成りだった事もあり笑ってしまった。しかも、そのビデオの撮影監督がリーアム・ニーソンで、ジム・キャリーは若い時点ですでにリーアム・ニーソンとクリント・イーストウッドと一気に共演していて、何気に凄い過去が見れる。

一番気になるのは原題。「The Dead Pool」って、この映画で出て来る殺人賭博の名前だれど、マーベル・コミックスの「デッドプール(Deadpool)」はこの映画「The Dead Pool」から取って付けたと、デッドプールの生みの親ロブ・ライフェルドが言っている。(Amazing Las Vegas Comic-Con: Extreme Conversation With Rob Liefeld)でも、何の関係性が?

シリーズ最後の五作目なのに、この映画含め、シリーズのどの映画も一作目以上のモノはなく、一作目のハードボイルド感が薄れて単に人気のハリー・キャラハンという人物だけだ先行して出来た映画で、内容はしょうもない。正直な所、よく五作目まで作れたなと言う感想。

☆★★★★
 
 
関連:ダーティハリー
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