ボビーZ
2013年10月21日 月曜日ポール・ウォーカー主演の2007年の映画「ボビーZ(The Death and Life of Bobby Z)」。
ドン・ウィンズロウの小説「ボビーZの気怠く優雅な人生」が原作。
不運が続き刑務所に服役する事になり、更に刑務所内でも命を狙われる様になってしまったティム・カーニー。そんなティム・カーニーは大物麻薬密売人のボビーZと似ていた為、麻薬取締局の捜査官に人質の捜査官とボビーZの交換の為の身代わりを持ちかけられる。ティム・カーニーはその提案に乗るが人質との交換は失敗し、ボビーZとして命を狙われる事になる。
始まりはチンケな悪党が麻薬王に成らざるを得ないという導入で、設定的には「王子と乞食」的な感じで何とか成り切ったり、信じてもらえなかったりのその窮地のドタバタを描くのかと思いきや、偽物ボビーZのティム・カーニーとボビーZの息子の心の触れ合いを見せる逃亡劇が主軸で、成り変わりになってしまった偽物である必要性のある話があんまり描かれず、その逃亡劇になる中盤以降が始めの勢いも何処へやらで非常に尻すぼみ。主人公も始まりは駄目駄目な小悪党だったので、この調子で行く軽いコメディ的な犯罪モノかと思っていたら、そのティム・カーニーがボビーZになると急に渋い正義の味方になり別人の様で、しかも元海兵隊員という設定が行き成り活かされてしまい、無敵の強さを発揮するので、別人に成りすましているけれど元々のティム・カーニー自体が登場した時とは全くの別人になってしまい、主人公の変わり身が急激過ぎて見ている方は置いてけ堀。
話は各人の関係性や立場も何かよく分からないまま始まってしまい、その不可解さを成り済ましたティム・カーニーがボビーZになった事で徐々に解明して行き、観客にも説明する為の仕掛けかと思いきや、そんな事も無くただ分かり難いという描きの足りなさだけだったりと、脚本がどうにも駄目。色んな所から追い駆けられ、命も狙われているのに、どの追手の話も中途半端で散漫で盛り上がりに欠けるし。
主演のティム・カーニー役のポール・ウォーカーはカッコ良いけれど、序盤のどうしようもないチンピラ風の時は魅力があったのに、ボビーZになってしまうと普通と言うか、特徴の無い男前以上のモノが無いのは、ポール・ウォーカーよりも脚本の問題か。
ローレンス・フィッシュバーンも初めの登場の仕方からすると、重要人物で出番も多いのかと思いきや、中盤以降の出番は少なく、思いっ切り脇役でしかなくなるも脚本の変な配分のせい。しかし、ローレンス・フィッシュバーンは顔からして悪役の方が良い。
エリザベス役のオリヴィア・ワイルドは「Dr.HOUSE」のレミー・ハドリー役で有名みたいだけれど、シーズン4からの登場らしいので見た事ないのか。
この映画、序盤が畳み掛ける様な状況説明と導入と物凄く小気味の良い演出や編集でこれからのおもしろさを盛り上げた感じだっただけに、その後の別人になって生きるという設定を活かした訳でも無い展開になってしまうのは残念感が大きい。おもしろくなりそうな雰囲気はあるのに、まったりとした親子愛、追手が来るから逃げるの繰り返しと、盛り上がらない話ばかりになってしまい、見終わると駄目な感じで一杯。
☆☆★★★