マッドマックス/サンダードーム
2013年04月30日 火曜日「マッドマックス」シリーズの第三作目。これまでと同じくメル・ギブソン主演、ジョージ・ミラー製作・監督・脚本の1985年の映画「マッドマックス/サンダードーム(Mad Max Beyond Thunderdome)」。
今度のマックスは、半球形の檻の中で戦い、子供達に救世主と崇められるアウトローヒーロー。
三作目になってもドンドンとこじんまりして行く感じは進んでしまっている。これまでは世界が崩壊した後の無法世界という結構SF的世界観や見映えだったのが、今作では子供向けファンタジー映画みたいになってしまっている。今までは自動車で暴走するチンピラ、ゴロツキが奇抜な格好をしていたからまだ分かる感じではあったけれど、今回は集落の少し危ない奴らがこれまで以上に奇抜な重装備パンク衣装になっており、ファンタジーならこれもありかもしれないけれど、SFだと流石にしょっぱい。設定も前作では別に核戦争と言っていないのに、今作では急に核戦争後的な世界になっているし。それにガソリンが何より大事だった前作の核部分は一体何処に?それと前作同様、戦争の攻撃で砂漠になった訳でもなく、始めから砂漠地帯にしか見えない場所で人々が暮らしているのがやっぱり意味不明。
何よりも話が全然おもしろくない。一作目は正義感溢れる警官の復讐譚。二作目は何とか生き延び様とする市井の人々を救おうとするマックスだったのが、今回はマックスは何がしたいのか、何が見せたいのか分からないグダグダな展開。
話の展開も、これまで序盤にあったカーチェイスの早い段階の掴み等は全く無く、ダラダラ状況説明が進んで行くだけ。盛り上がると思われたサンダードームでの戦いも、ゴムでビヨーンと跳ねまくり、間抜けにしか見えずしょうもなく、全然盛り上がらないし。今まで見せ場であったはずのカーチェイス場面さえ最後に少し無理矢理ねじ込んで来るだけだし、アクション映画としては非常に地味で面白味が全く無い。終盤の子供達を引き連れて町に戻って来る所のお子様映画感ったらありゃしないし、演出の安っぽさも変わらずだし。
三作目になって、これまでの監督・脚本に加え製作にまで手を出したジョージ・ミラーのせいか。ジョージ・ミラーって、一作目は結構おもしろかった「ベイブ」を続編「ベイブ/都会へ行く」の製作・監督・脚本して、本当に子供騙しのクソみたいな映画にしてしまったし、この人の監督作の中で一番稼いだであろう「ハッピー フィート」もつまんない映画だったし、この人の映画は外れしかない。これで完結だったはずの「マッドマックス」シリーズが、更に四作目「マッドマックス/フューリーロード」の制作が決定し、マックス役がメル・ギブソンではなく、しかも製作・監督・脚本がジョージ・ミラーなのだから、始めから外れでしかないはず。
折角、崩壊後の世界とハードボイルド的主人公マックスがいるのに、それを漫画的馬鹿馬鹿しさとファンタジー色を強めてしまった為、非常にしょうもなくなってしまっている。ジョージ・ミラーの脚本なんて全く大した事無く、雰囲気で出来上がっていたシリーズなのに、今まであった世界観や主人公を活かそうともせず、ただ駄作方向に突っ走ってしまった感じ。
一作目も大しておもしろくなく、二作目もそんなにだったし、何で続編が作られたのか分からない映画。
☆★★★★