マッドマックス2

2013年04月29日 月曜日

前作「マッドマックス」の続編で、同じくジョージ・ミラー監督・脚本、メル・ギブソン主演の「マッドマックス2(Mad Max2: The Road Warrior)」。

前作は無法地帯で自動車で暴走するチンピラを取り締まる警官マックスの復讐劇だったのが、この続編では、映画の始まりで行き成り石油を巡る世界大戦が起こった事になり、文明社会はすでに崩壊。人々は石油を巡って争う世界になっていた。そんな世界でマックスが石油精製所を巡る争いに巻き込まれる。

前作でも進んでいた無法化を進めた結果、世界は戦争で崩壊してしまったという、行き成りなトンデモない設定を持ち込んだ続編。話だけ見ると無茶なんだけれど、前作の雰囲気が似た様な感じだったし、前作でマックスは家族を失い、警官だったけれど法を超えてしまった人物になり、彼自身の全てが崩壊してしまったからこそ世界も崩壊してしまったと言う意味もあってのこの崩壊なので、意外とすんなり入れる。

ただ、物語の設定と展開として甘い部分があるのがいまいちな部分。この世界では石油が何よりも価値があるけれど、こんな荒野では何より水と食料が一番初めで最も重要なはずなのに、彼らは何処から水と食料を入手しているのかは一切描かれない。それに戦争で都市や町が崩壊して荒野になった様には見えず、始めから荒野な場所で皆が過ごし、何で自動車で走り周っているのかも良く分からない。オーストラリアだからか銃の使用は控え目で、だったら身の回りの物で何か工夫を凝らして武器作っているかと言えばそうでもないし。この雰囲気番長なのに設定の詰めが甘く、雰囲気先行なのが痛い所。
それに展開も、始まりでの一本道での自動車での追い駆けっこが前作同様ではあるけれど前作よりもあっさり終わってしまい、しかも前作同様相手が自滅で片付くという物足り無さから始まり、その後は沢山敵が出て来るけれど派手な場面も無く、暫くまったりと続き、敵の襲撃は中盤以降と結構地味な展開。最後のまとめて襲い掛かるカーチェイスも、列車の客車の屋根の上で戦う様な感じだけで、疾走感もそれ程無いし。
この映画、前作の制作費の10倍と言われる費用をかけている割に一つの石油精製所だけで話は地味に進み、アクションやカーチェイスも地味になり、前作よりもこじんまりとした低予算映画に見えてしまう。前作同様、暴力場面ははっきりと見せず、しかもいまいち迫力は無いし、朝焼けの次のカットが行き成り昼日中だったりと編集も粗い所があるし。

この映画の一番の売りは、何と言っても衣装。敵は派手な色のモヒカン野郎や、全身黒い革の鋲の付いたパンクやヘヴィメタ的衣装、アメフトやアイスホッケーのプロテクター等々。良い者は白い服装と「スターウォーズ」的な分かり易い分別。衣装もそうだし、普通の人々が必死に自分の生活を守る所へ無法者が押し寄せるとか、まさに「北斗の拳」の世界。

主人公にしろ敵にしろ人物の見た目や、自動車の見栄えが立ち過ぎ、そこ先行で話や演出が全然付いて来れていない。この監督ジョージ・ミラーって、一作目は結構おもしろかった「ベイブ」を続編「ベイブ/都会へ行く」の製作・監督・脚本をしてクソみたいな映画にしてしまったし、この人の監督作の中で一番稼いだであろう「ハッピー フィート」もつまんない映画だったし、この映画も見て思うのは、この人は雰囲気だけを作り出すのが上手いだけかもしれない。

☆☆★★★
 

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