マッドマックス

2013年04月28日 日曜日

メル・ギブソン主演で、彼の出世作となった1979年のオーストラリア映画「マッドマックス(Mad Max)」。

荒廃した田舎町で、自動車で暴走するチンピラを取り締まる警官のマッドマックスの復讐劇。

マッドマックスって、「北斗の拳」的終末世界、文明崩壊後の世界でのハードボイルド・アクション映画かと思っていたら、この一作目は至って王道な刑事の復讐モノ。オーストラリアの田舎町が舞台なので草原が多く、その中を改造自動車やバイクで暴走するチンピラを捕まえようと、同じく改造自動車をぶっ飛ばす全身黒皮尽くめの警官服の警察達。これって西部劇を馬から自動車やバイクに乗り換えただけ、見た目をロックやパンクファッションの様な感じしただけで、特に凄い展開とか見栄えも無い。しかも、前半はこの舞台や出来事の説明的な話ばかりで、主役であるはずのメル・ギブソンが全然活躍しないので退屈だし、話も減り張りに欠け、勿体ぶっている感じばかり。中盤からはロードムービーみたいになるし、復讐までが遅いし、その理由も前半までの振りとはあんまり関係無いし。盛り上がるはずの終盤が特にしょっぱく、見渡しても誰もいない平原の草原なのに、見えない距離からリボルバーで見事命中したり、道路に倒れたメル・ギブソンが手を引っ込める事もせずにそのままバイクのタイヤに引かれたり、銃を持っているにも関わらずそのまま正面からバイクで突っ込んだり、バイクがトラックに正面から突っ込む所は、トラック正面にトラック正面の画を描いた板が引っ付けてあったりと、話と演出の安さが爆発しあっさり過ぎる程の幕引きで、何じゃこりゃな印象のまま終わって行く。

この映画で致命的なのは、敵が物凄いカッコ悪い事。変な服装で化粧していたり、何より小さな田舎町で暴れている小さい野郎どもでしかなかったり、そんな奴らが何も無い荒野の一本道を仲良く連なって走ったりと、極悪な敵のはずがただのしょうもないチンピラでしかなく、このちんまさが非常にダサい。珍奇な格好のゴロツキ達が大勢でボッコボコに自動車壊して行くのって、何か間抜けに見え、コントみたい。敵が悪だからこそ主人公が輝くはずなのに、敵がしょうもないので、主人公マックスも輝いている様には見えない。
この映画の衣装や機械類って、この当時は新しく、カッコ良かったのかもしれないけれど、今見ると低予算の中頑張って雰囲気を作ってはいるけれど、どれもカッコ悪いし、SFとしては押しが弱いし、世紀末モノとしては安っぽい。

アクションは基本的に自動車とバイクでの走行で、それも速度を出す為に真っ直ぐな道を真っ直ぐ走らせ、予算が無いからぶつかる場面やぶっ飛んで行く場面は直接見せず、その後の反応だけが多いので、安く仕上げる為に中抜きしたんだなぁ…と感じてしまう。敵の倒し方も勝手に操作を誤り、自滅するだけだし。

音楽の使い方も別に必要も無い感じの普通な場面でやたらと大きくかけているしで、演出が悪い。

思っていた世界観と違う全然SF感の無い雰囲気と、散漫で盛り上がりに欠ける展開、予算が無いのでただ突っ走って勝手にぶつかるだけの自動車やバイク。これ、何で続編が出来る位当たったのだろうか?それが全然分からなかった。

☆★★★★
 
 
関連:マッドマックス2
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