ジュラシック・パーク

2022年10月22日 土曜日

スティーヴン・スピルバーグ監督、サム・ニール主演の1993年のアメリカ映画「ジュラシック・パーク(Jurassic Park)」
マイケル・クライトンの小説「ジュラシック・パーク」が原作で、マイケル・クライトンも脚本に入っている。

恐竜の化石の発掘をしていた古生物学者アラン・グラントと古植物学者エリー・サトラーの下に発掘資金を提供しているジョン・ハモンドがやって来た。
ジョン・ハモンドは開館する予定のテーマパークに関して出資者達への補償として恐竜の専門家であるアラン・グラントと古代植物の専門家であるエリー・サトラーの意見をもらえれば今後の研究資金を保証すると持ち掛け、二人を南米の島へと連れて行く。
そこでは古代の蚊が吸った恐竜の血液からDNAを取り出して恐竜のクローンを作り出して放し飼いにしているジュラシック・パークを準備中だった。
アラン・グラントとエリー・サトラーは数学者イアン・マルコムや弁護士やジョン・ハモンドの孫二人と共にジュラシック・パークを回るが、途中で園内の制御システムが止まり立ち往生し、そこにティラノサウルスが現れた。

「ジュラシック・パーク」は大分前に見た事があったけれど、Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので一作目からシリーズを見てみるかと思い見てみた。
改めて見るときっちりと説明を入れながらクローン等の科学技術への問題定義も入れつつ、恐竜が襲って来るアクションサスペンスになっていて抜群に上手いし、非常におもしろい映画だった。

始まりからちょこちょこと恐竜の存在を匂わせながら主要登場人物達の人物説明も見せつつ徐々に話を進め、島に着くと一旦恐竜を見せてからその恐竜がどうやって誕生したのかをジュラシック・パークでのツアーとして見せて、それで映画を見ている人への説明にもなっているし、実際のジュラシック・パークに踏み込んで行っても中々恐竜が登場させずにじらしておきながら一気にティラノサウルスで攻め、そこからはパニック映画やサスペンス映画として次々に何かが起こって最後まで一気に畳み掛けるという展開で、構成や演出がまあ上手い。
確か昔見た時も楽しく見ていたと思ったけれど、今見てもこのワクワク感は凄い。
やっぱり恐竜が今いたらをちゃんと真っ直ぐにすると、この映画の学者ではないけれど大人でも相当ワクワクするのが見ていてもそのまま感じる様なワクワク感。
始めに少し恐竜を出しておいて、その後は暫く出さず、そこからのティラノサウルスへとの持って行き方は興奮させ方が上手い。
ティラノサウルスはまずは足音だけ。
しかも、歩行の振動でカップに入った水に波紋が出来るという映像で見せる演出は恐怖感満載だし興奮するしでこれは大発明。
他の恐竜達も怪獣ではなく現実に近い生き物として描いていて、ちゃんとSF映画としてもおもしろい。

登場人物達もちゃんと皆が立っている。
アラン・グラントやイアン・マルコムは癖があるけれど科学的好奇心や興味が旺盛で興奮しまくりで学者の方が子供みたく、一方で恐竜を現在に蘇らせた事には非常に懐疑的という部分も見せつつ、アクション映画の主人公になっているし、ジョン・ハモンドも基本的には悪い人ではないんだけれど…そうなんだけれど…と責め切れない人になっていたし。
役者陣は今見ると、ああサム・ニールだ。ジェフ・ゴールドブラムだ。サミュエル・L・ジャクソンだってなるけれど、この当時ってまだ皆それ程一般的な知名度が高くはなかった様な気がするけれど、ちゃんと個性が強いよなぁ。
サム・ニールは升毅に見えて来るし、ジェフ・ゴールドブラムはまだ「インデペンデンス・デイ」前だから「ザ・フライ」の方か。
改めて少し驚いたのはサミュエル・L・ジャクソンが出ていた事。
サミュエル・L・ジャクソンもまだ脇役時代なのか。
主人公は大人達だけれど、ちゃんと子供達も登場して所々で子供達が主人公になる場面もあり、子供からの目線も入れてしっかりと子供向け対応もしていて、興行としてのマーケティングもしっかりしている。

CGに関しては、この当時はこの映像は凄い進歩だったし凄く現実味があった様に覚えているけれど、今見ると流石に安っぽくなってしまっている。
人との合成はいまいち浮いているし、恐竜のCGの表面の質感もテラテラした感じでCG感が強い。
逆にアニマトロニクスの方の凄さの方に目が行ってしまった。
現実にあるアニマトロニクスなので当然実際の映像との馴染み具合は抜群だし、恐竜の質感や動きも抜群に良い。
今も昔も恐竜だけでなく、その他の生き物もCGで作るとやたらと動かしまくって現実の動物の動きをしていない位やり過ぎている事がよくあるし、体の変なウネウネ感がどうにもCG感が強くて好きじゃないんだけれど、アニマトロニクスだとそこら辺も無くてアニマトロニクスの方が全然良かった。
このアニマトロニクス、ティラノサウルスは実際の大きさのアニマトロニクスを作ったって凄いよなぁ。
この映画でアニマトロニクスを担当したスタン・ウィンストンの死後に設立された学校スタン・ウィンストン・スクール・オブ・キャラクター・アーツのYouTube公式チャンネルで撮影現場でのティラノサウルスのアニマトロニクスの映像を公開しているのだけれど(「JURASSIC PARK Animatronic T-Rex Rehearsal」)」、これが本当にこの大きさで作って操作しているのに驚きだし、動きも本当に生きている感じなのも凄い。
それに、この映画では恐竜は初めはストップモーション・アニメーションで作られる予定だったのがCGに変わり、それでストップモーション・アニメーションを担当するはずだったあのフィル・ティペットが落ち込んだ…けれど、今までストップモーション・アニメーションで培って来た生き物の動きを熟知するフィル・ティペットが戻って恐竜の動きを教えたり、ヴェロキラプトルの動きや映りや画角もフィル・ティペットが考えたらしいという話とかも凄くしびれる話。

それとやっぱりジョン・ウィリアムズは天才。
あの音楽だけで盛り上がる事半端無い。

ただ所々引っ掛かる部分もあり、途中でトリケラトプスが六週間毎に具合が悪くなるという場面があったけれど、これが何にも繋がらず、結局このトリケラトプス問題は何だったの?
ティラノサウルスが初めて登場した時は雨が降って道がぬかるんでいたにも関わらず物凄い大きな足音と振動だったのに、最後のビジターセンターで二匹のヴェロキラプトルに追い込まれた時に行き成り登場したティラノサウルスは一切無音で直ぐ側にいて誰も気が付かなかったとか、最後のジャジャーン!という狙いが過ぎてちょっと覚めてしまったし。
それと始めは台詞も多く活躍場面もあったの怪我して以降全然活躍無しというイアン・マルコムの変な配分は何だったのだろう?
まあ、ここで活躍しなかった分、続編の二作目「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」ではアラン・グラントを差し置いてイアン・マルコムが主人公になっちゃったし。
そもそも恐竜のテーマパークの視察にカオス理論の数学者を連れて来た意図がよく分からず、カオス理論で恐竜の繁殖の可能性やジュラシック・パークの危うさや問題点を説明したかったという製作側や観客側に対する必要性だけだったのだろうか?

この映画、恐竜が実際に今復活したらをちゃんと描きつつ、人間対恐竜のアクションサスペンスとして最後まで一気に見せ切り、まあ良く出来た、非常に楽しい映画。

☆☆☆☆★
 
 
関連:ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
   ジュラシック・パークIII
   ジュラシック・ワールド
   ジュラシック・ワールド/炎の王国

« | »

Trackback URL

Leave a Reply