ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク

2022年10月26日 水曜日

スティーヴン・スピルバーグ監督、ジェフ・ゴールドブラム主演の1997年のアメリカ映画「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(The Lost World: Jurassic Park)」
シリーズ二作目。
マイケル・クライトンの小説「ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-」が原作。

前作の事件から四年後。
数学者イアン・マルコムはジュラシック・パークを開設しようとしたジョン・ハモンドに呼ばれた。
ジョン・ハモンドによるとジュラシック・パークを作っていた島とは別に恐竜を飼育していたサイトBと呼ぶ島があり、そこでは現在も恐竜が生き残っており、恐竜や島の保護の為にイアン・マルコムに調査に行って欲しいと依頼するがイアン・マルコムは乗り気ではなかった。
しかしイアン・マルコムの恋人サラ・ハーディングが既に島に行っていると知った為彼女を助けにイアン・マルコムは島へと向かう。
島では多くの恐竜が生き残っており、イアン・マルコム達は恐竜達を捕まえている集団に出会う。
彼らはジュラシック・パークの失敗で会社の役員を解任されたジョン・ハモンドに代わり会社の実権を握った彼の甥ピーター・ルドローが率いる一団で、ピーター・ルドローは会社の立て直しの為に恐竜をアメリカ本土に連れ帰って新たなジュラシック・パークを建設しようとしていた。

一作目の「ジュラシック・パーク」に続けて見たけれど、一作目が絶滅した恐竜を現代に蘇らしてジュラシック・パークとして見せるというワクワク感に恐竜が襲って来るサスペンスアクションもあり、恐竜を現代に蘇らす危険性等をちゃんと描いておもしろい題材も扱うSFをしていて非常に良く出来た映画だった分、この続編はただ恐竜が襲って来るばかりのB級モンスターパニック映画になってしまっていて余りおもしろくなかった。

続編なので一作目とは違う展開にしなくていけないのは分かるけれど、それにしても内容が薄い。
ただただ次々と襲い掛かる恐竜から逃れるだけの話が延々と続き、島からやっと脱出したと思ったら今度は町中でティラノサウルスを暴れさせるという安っぽく、しかも今までの雰囲気と全然違う事をやってしまい、何か尻すぼみ。
この最後の町での場面は見せ場の為の付け足し感が凄く、一作目にあった「ジュラシック・パーク」のおもしろさを変な風に勘違いして続編で拡大公開した感じでがっかり。
以前見た時は二匹のティラノサウルスが車両を襲う所とか、高い草むらで恐竜が襲って来る所とか、最後の町中のティラノサウルスの所とか、もっとおもしろかった気がしたのだけれど、一作目の「ジュラシック・パーク」のおもしろさがちゃんと恐竜を科学的に、生物学的に説明しながら困難に対応して行く所だった分、ただのモンスターが襲って来るだけのパニック映画になってしまっているからおもしろくなかったのか…?

それに一作目で活躍したサム・ニール演じたアラン・グラントが今回は主人公ではなく、一作目で始めは個性が強くて良い感じだったけれど足を怪我した中盤以降全然活躍しなかった分なのか続編で主人公となったイアン・マルコムの時点で非常にサイドストーリー感が強いけれど、一作目でのイアン・マルコムはもっとふざけていてチャラかったのに今作では娘を心配する父親という前作とは全然違う人物になって一作目のイアン・マルコムの良さが全く無くなってしまい、しかもイアン・マルコムが大して活躍しないというのも主人公として薄い。
前作ではアラン・グラントを中心にして他の人物も非常に立っていたのに、今作では主要登場人物達を結構満遍なく描く分イアン・マルコムの存在が薄くなり、かつ他の人物も深く描かないのでどの人物も薄くなってしまっている。
恋人のサラ・ハーディングは初めは恐竜に対して熱心な学者だったけれど、それ以降その知識を活かして恐竜から逃れる事も無くただ逃げ惑うだけの人だったし、カメラマンのニック・ヴァン・オーウェンやティラノサウルスを狩る為だけに来たローランド・テンボは何か過去があったりする風なんだけれど何も描かれずよく分からない人で終わってしまったし。
ニック・ヴァン・オーウェンって、序盤はそこそこ重要人物風だったけれど中盤以降活躍は大して無いし、終盤の町での話になると完全に忘れ去っていたし。
イアン・マルコムの娘も、娘を出して来たから恐竜に襲われる中で何かしらの親子関係のもつれや進展があるのだと思ったのに何も無く、やっぱり町での話になると完全に忘れ去っていたしでこの娘を入れる必要性ってあった?
一作目では子供を導入した事で非常に上手く主人公の変化や子供目線による子供向け観客対応も出来ていたから続編でも子供を入れたけれど、それが上手く行かなかったって事?

CGは前作よりも良くなっていたと思うけれど、それでも恐竜の質感とか、ぼやけて変に明るい感じとか、流石に時代なんだろうけれど前作同様CGよりもアニマトロニクスの方が当然人物としっくり来るし動きも良い。

この映画、一作目が色々良く出来ていて非常にワクワクしておもしろかったのに、その一作目と同じ監督、脚本家なのにここまで良くない出来になってしまうのってどうしてだったのだろう?
人物達もどの場面も印象に残りそうなのに全然残らず、見終わると一作目の「ジュラシック・パーク」のおもしろかった部分から来る、そこじゃない感ばかりで色々外し過ぎ。

☆☆★★★
 
 
関連:ジュラシック・パーク
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