スター・トレック イントゥ・ダークネス

2017年08月04日 金曜日

J・J・エイブラムス製作・監督、クリス・パイン主演の2013年のアメリカ映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス(Star Trek Into Darkness)」。
元々連続テレビドラマだったスタートレックシリーズの一作目「宇宙大作戦(Star Trek)」の登場人物達とは同じ名前だが並行世界の別シリーズの一作目である2009年の映画「スター・トレック」の続編。

イギリスの惑星連邦の宇宙艦隊の施設が爆破された。
そのテロ事件の首謀者であるジョン・ハリソン中佐の対策をする為、艦隊本部に士官達が集まるが、そこをジョン・ハリソンが襲撃。
ジェームズ・T・カークはジョン・ハリソンを追う為にプロトタイプの魚雷を提督から預かり、U.S.S.エンタープライズでジョン・ハリソンが逃げたクリンゴン帝国のクロノスへと向かう。

わたしはテレビドラマの「宇宙大作戦(TOS)」は余り見ておらず、スーパー!ドラマTVでCS無料放送の時に見た位なので強い思い入れは無いけれど、その後の「新スタートレック(TNG)」「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン(DS9)」「スタートレック:ヴォイジャー(VOY)」は地上波で深夜に放送していた時にほぼ全て見ていて、24世紀のスタートレックは好きで、特に「DS9」好き。
だから、スタートレックと言えばSFのセンス・オブ・ワンダーや人間ドラマの側面の印象が強い分、前作の映画「スター・トレック」から「これじゃあ、ない…」は強く、しかもわたしはJ・J・エイブラムスが嫌いと言うか、J・J・エイブラムスの見る映画見る映画、どれもまあつまらないという感想で、一作目の「スター・トレック」も全然つまらなかった。
なので、この「スター・トレック イントゥ・ダークネス」も必然的につまんない。クソつまんなかった。

J・J・エイブラムスって、まるで次世代のスティーヴン・スピルバーグジョージ・ルーカスみたいな扱われ方している様に思うのだけれど、いや、J・J・エイブラムスの映画って、どれも映像的には派手だけれど中身スッカスカの張りぼて映画ばかりで、レニー・ハーリンマイケル・ベイの様な監督の後継者としか思っていないけれど、この「スター・トレック イントゥ・ダークネス」も正にそれ。
映像的には派手だし、派手な見せ場もあるけれど、人間ドラマはしょうもないし、話も見終わると残らず、展開も何だか全てがいらなかった様な気がしてしまう。

映画として色々疑問な展開ばかり。
始まりの火山を鎮静化する為にスポックがわざわざ火口まで行くけれど、エンタープライズで魚雷を撃ち込めばいいだけじゃん。
この展開でカークが降格。スポックが転属となる伏線ではあるのだけれど、この離れ離れがその後の展開で、例えばピンチになったエンタープライズをスポックが乗る別の船が助けに来るという熱い展開があるなら別れさせた理由もあるけれど、艦隊本部が攻撃された後にカークが「スポック戻して!」で速攻で元通りになるので、この序盤の展開が必要無い。
このカークとスポックの確執で後半の更なる確執や和解が描かれるのかと思ったら、アクションが先行して二人のドラマが薄くて、カークが死んでスポックが見守っても全然悲しみも無かったし。

その他の展開も微妙だし、在り来たり過ぎて緊張感やワクワク感も無い。
カークとウフーラがターボリフト内でスポックの話をしていてターボリフトの扉が開いたらスポックがいるとか、マッコイとキャロル・マーカスが魚雷解体しようとしてマッコイの手が挟まれ、爆発制限時間に間に合いそうになくなりキャロル・マーカスが無暗に部品を引き千切ると魚雷が止まるとか、カークが死んでもそれより前にカーンの血液取っている時点で復活する事分かり切っているし、そもそも主人公が死んでそのままなんてある訳無い事も分かり切っているとか、ここら辺の展開や演出は「2010年代の大作映画で今更そんな事する?」という位のベタと言ったら良く言い過ぎな、余りに見飽きたつまらないモノばかりで白けまくり。

カーンの復活も微妙。
単に優生人類の話に絞ればいいのに、アレクサンダー・マーカス提督の陰謀も交じるので話が散漫。
映画だけを見ていると分からないのだけれど、カーンが300年前に優生人類として誕生し、人間が冷凍させて追放したという事は、ドラマのスタートレックの世界の並行世界「ケルヴィン・タイムライン」となったこの世界でも、優生人類が支配の為に起こした優生戦争があったという事だよね。
なのにカークは「お前があのカーンか!」という反応は無く、結構ポカーン状態。
まだ、カークは物を知らない馬鹿だから知らないというなら分かるけれど、艦隊本部を任されているマーカス提督が過去に地球の数分の一を支配した事もある危な過ぎる優生人類のリーダーのカーンを蘇らせるとか馬鹿じゃいないかと思える。
実際マーカス提督もカーク並みに無謀で馬鹿で、カーンを蘇らせてまんまと宇宙艦隊だけでなく地球の民間人も攻撃されてしまい、マーカス提督自身もカーンに殺されているし。
それにマーカス提督はクリンゴンに対する攻撃をすべき派で新型戦艦U.S.S.ヴェンジェンスを作っていたけれど、この一艦だけでクリンゴン帝国の全艦隊と戦うつもりで勝てるつもりだったんだろうか?
と言うか、あれだけの巨大艦を製造しているのだから関わっている人も大勢いるのに情報が漏れないというのも都合が良過ぎる。
この映画の宇宙艦隊って色々緩過ぎで、マーカス提督の娘のキャロル・マーカスが偽名使って簡単にエンタープライズに転属するわ、スコッティは簡単に秘密裏に製作しているU.S.S.ヴェンジェンスの施設に潜入出来、U.S.S.ヴェンジェンスに乗り込める程情報の管理や人間の管理が緩いのに、よく秘密が漏れていないよなぁ。

U.S.S.ヴェンジェンスも微妙。
最新鋭艦のエンタープライズなのに直ぐにそれよりも最新の船が出て来てエンタープライズの最新鋭感台無しだし、エンタープライズよりも強い船だからエンタープライズも大きいとか分かりやす過ぎる見せ方もしょっぱいし、何より敵が宇宙艦隊の船で、結局内輪揉めでしかなくて、宇宙での戦闘が盛り上がって来ない。

この映画の一番の宇宙での見せ所って、この内輪揉めなので、まあ盛り上がらない。
まだ何作も使って惑星連邦や宇宙艦隊を見せてからの実は内部に敵がいた!なら衝撃的などんでん返しになるけれど、1作目でまだ士官候補生だったカークを行き成り最新鋭艦の艦長にしたり、この2作目でも情報管理が緩々だし、提督に直訴したら人事が簡単に通ってしまう位の適当な組織で、本部を襲撃されても防御態勢が何も無い様な危機管理の無い様な宇宙艦隊を見せられたら、そりゃあこんな提督はいて当然と思ってしまい、何も意外性も無いし。

そもそも「スターをトレックする」はずのスタートレックなのに地球周辺での話な上、この内輪揉めに納まるという前作同様のこじんまりし過ぎた展開もいらない。
前作も未来からの復讐による地球襲撃だったけれど、今回は過去からの復活で復讐劇と似た様な事を連続でしていて、いい加減深宇宙で未知の現象や他の勢力との話にせいよ。
それに、何でエンタープライズの五年間の調査の前の話ばかりしているのだろう?とも、思ってしまう。
本来のドラマのジェームズ・T・カークって、優秀ではあったけれどちゃんと徐々に昇進し、ちゃんと経験を積んで実績上げてのエンタープライズの船長就任で、それからの五年間の調査あっての伝説の男としての評価なのに、この映画シリーズでは初めからやたらと特別扱いで簡単にエンタープライズの船長就任するわ、我がままな子供的なのに信頼が高かったりと、何でこんな奴が英雄的扱いなのかが分からない。速攻で降格、謹慎モノの事ばかりやらかしているじゃん。
さっさと五年間の調査をやって、様々な経験を積んでいるとしないと、このカークの置かれている立場に違和感しかないし、このカークが全然魅力的ではなく、主人公として話を引っ張って行くだけの求心力が無いし。

あと、微妙なのはクリンゴンも。
カーン一人で大勢のクリンゴンが簡単に全滅って、これまで負けた事も何度もあるとは言え、あの戦闘民族クリンゴンが形無しじゃん。
ドラマではあのモッチャリとしたバトラフでの格闘で、どう見てもアルファ宇宙域最強とは思えないクリンゴンであっても、これだけ弱過ぎるのはやり過ぎ。
一番の改悪でイライラしたのはここの部分。
それに加え、まだこの時代のクリンゴン人って、「TOS」の時の様に額に何も無い地球人と同じ様なクリンゴン人なはずなのに、何で額にトゲトゲがあるのだろう?と疑問。
それにそれに何でクリンゴンが仮面被っているの?
クリンゴンって、自分の武勇を語りたがる戦闘民族だから、仮面被っていたら誰が敵を倒したか判断つかないじゃん。
これって、クリンゴンの顔を見せずにじわじわとした間を作ってから見せるという演出の為だけの仮面じゃん。いらないよなぁ。

今回のゲストとしてはベネディクト・カンバーバッチなんだけれど、そのままのベネディクト・カンバーバッチなので、出て来て瞬間に「あ、シャーロック。」と思ってしまった。
カーンって、ドラマだと本名カーン・ノニエン・シンでアジア系や中東系の設定なのに、何故イギリス人のベネディクト・カンバーバッチがキャスティングされたのかがよく分からない。
この映画でのカーンは主流派から疎外された人として復讐や支配欲にかられてテロを起こしているのでイスラム過激派の比喩的存在だと思うのだけれど、だったら尚更元々アジア・中東系だった人物からわざわざイギリス人役者を配役したのか意味不明。
単にベネディクト・カンバーバッチ人気にあやかっての配役にしか思えない。

1作目でも思ったけれど、J・J・エイブラムスがスタートレックに興味無く、スター・ウォーズが好きなのをわざわざスタートレックで出して来るのには辟易。
クロノスへ向かう丸っこく平ら型のシャトルと、羽が生えた様なクリンゴンのD4クラスの船との追っ駆け合いでシャトルが細いすき間を抜けて行くとか、完全にスター・ウォーズのミレニアム・ファルコンがデス・スターに突っ込んで行く場面の再現じゃん。
宇宙艦隊の制服もスター・ウォーズの帝国軍っぽい暗くて軍服みたいな感じだったし。
J・J・エイブラムスに製作と監督させた事で本来のスタートレックの方向性とは違うアクション映画にしてしまい、まあ見事にこの新たなスタートレックシリーズを踏み台に大好きなスター・ウォーズへと行った訳で、J・J・エイブラムスに監督させるべきじゃあなかったと強く思ってしまう。

この映画、と言うか、このシリーズは完全別時間軸の並行世界の完全別シリーズではあるものの、題名に「スター・トレック」と付けているのだからスタートレック的なモノを期待するは当然なのに、スタートレック的なモノが抜け落ち、スタートレックの人物を使った全く別物のハリウッド的B級アクション映画になってしまえば、そりゃわたしはつまらない。
まだ救いはこの次作の「スター・トレック BEYOND」ではJ・J・エイブラムスが監督ではない事なんだけれど、それでも製作には入っているし、その監督ジャスティン・リンはわたしが非常につまらないと思い、人気シリーズなのにシリーズでも大コケだった「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」を監督した人なんだよなぁ。
救いはやっぱり、このどうでもいい映画シリーズではなく、これまでのドラマと同じ時間軸で製作される予定で、今年の9月から開始予定の新ドラマシリーズ「スタートレック:ディスカバリー」かぁ。
でも、この「スタートレック:ディスカバリー」は作品内時系列としては「スタートレック:エンタープライズ」以降の「TOS」の十年前の設定らしく、いまいちその23世紀設定に興味が無く、どっちかと言うと24世紀の積み上げた歴史のその後を見たいし、何よりU.S.S.ディスカバリーがダサいというのが…。
あの三角形の胴体部分はダサ過ぎじゃあない?

★★★★★
 
 
関連:スター・トレック

« | »

Trackback URL

Leave a Reply