ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT

2014年08月17日 日曜日

ジャスティン・リン監督、ルーカス・ブラック主演の2006年の映画「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(The Fast and the Furious: Tokyo Drift)」。
シリーズ三作目だけれど、時系列的には六作目の「ワイルド・スピード EURO MISSION」の後の話らしい。

同級生との自動車競走で事故を起こし日本の父親の元へ送られてしまったショーン・ボズウェル。父親に自動車に乗る事を止めさせられていたが、地元のチンピラ達のドリフト競争に参加した事によってドリフトに目覚める。

最近のシリーズ映画って、大体一作目が当たったので制作費上げて二作目を作って大ヒット。しかし、三作目で「何だかなぁ…」という展開が多いけれど、これもそう。元々一作目「ワイルド・スピード」から何で続編が作られるのか分からない位おもしろくない映画で、二作目「ワイルド・スピードX2」も更におもしろくなく、三作目にしてこれまでの主人公だったポール・ウォーカーさえ出て来ず、何故か舞台が日本で、もう訳が分からない。
これまではアメリカが舞台だったので、町中の自動車競争でも「こんな事もあるのかなぁ…」位でまだ見れたけれど、今回は良く見る景色の日本が舞台なので、その景色の中での自動車競走の嘘っぽさしかなく、この映画自体だけでなく、シリーズの頭の悪さが顕著に見えてしまう。立体駐車場での大勢での自動車競走や街中でのドリフトなんて速攻で警察が飛んで来るだろうし、そもそも日本の交通事情だとあれだけ速度出せないだろうし。港で集まっているのなんて昭和の日活映画かよ!だし。話も高校生コスプレした髭がきっちり青いルーカス・ブラックが恋愛と喧嘩をする学園モノに加えて自動車を走らすだけというしょうも無さ。終始、主人公や各登場人物は何が目的で何をしているのか?が何だかよく分からないし。見せ場であるはずの自動車で走る場面は度々あるけれど、ほとんどが主人公が普通に運転しているか、ドリフトの練習しているだけだしで終始つまらない。話的にハリウッドが作った雰囲気が無く、日本人脚本家が脚本書いて、香港映画の監督が監督したみたいな雰囲気がある。…と思ったら、監督のジャスティン・リンって台湾系のアメリカ人なのか。
しかし何でか分からないけれど、ハリウッドの制作陣が日本を撮ると物凄く古臭く見えるのは何なのだろうか?夜のネオンとか昭和50~60年代に見える。あえてアメリカから見た変な日本を出しているのはいいとしても、映像がカッコ良くない、古臭いのは単なる監督の問題?

それにやっぱり、道路の狭い日本で自動車をぶっ飛ばすって、映像的にカッコ悪過ぎ。以前、片側一車線で歩道に人一杯、道路までに放置自転車がある様な道でフェラーリが爆音あげてゆっくり走って行ったのには、余りにカッコ悪過ぎて声出して笑ってしまったし。作内で途中に横断歩道を歩いている大勢の人々を轢きそうになる場面が出て来るけれど、自動車で人の中に突っ込んで無差別にひき殺したという事件を思い出した。日本の街中で自動車をぶっ飛ばすと危なくてしょうがないという事を見せる為にも、ここで大量虐殺をしてしまう展開だと凄いのに。
実際に日本の公道での撮影は難しかったのか、さっきまで渋谷にいたはずなのに次の場面では行き成りアメリカの町並みの中を走っていたりして、映像の繋がりグッダグダ。また実際の日本の道路で走っていないので、背景と合成して日本で走っている様には見せているけれど、それが結構浮いていて安い。

主役のルーカス・ブラックは高校生役だけれど、どう見ても高校生には見えない。この時の実年齢二十代中盤そのものにしか見えない。それなのに高校生役って配役自体が意味不明。ルーカス・ブラックが高校の制服着たら笑ってしまうじゃん。完全にコント。しかも、行った高校の担任が柴田理恵って、日本人を笑わしたいだけじゃん。日本を知っている人なら笑うだろうけれど、ルーカス・ブラックの制服姿ってアメリカ人や、その他の外国人はすんなりと見ていたのだろうか?
主役の敵役としてブライアン・ティーサン・カン等ほとんど韓国系アメリカ人が日本人役で出ているけれど、日本なのに日本人俳優が目立たないのって、やっぱり英語の問題。結局アメリカ映画のアジア人は訛りの少ない英語を喋れるかどうかなんだろうなぁ。あれ程目立つ役をしている渡辺謙でも英語の発音がいまいち過ぎるし。
そう言えば、妻夫木聡が出ていて、確かテレビ等の宣伝でも彼が出ている場面が大きく使われていたけれど、妻夫木聡の登場場面ってあれだけなのか…。多分「ハリウッド映画に出ています」の箔付けなんだろうけれど、色々恥ずかしい。柴田理恵とか、妻夫木聡とか、真木よう子とか、土屋圭市とかが少しだけ出て来るのって、日本の映画でたまに見る「豪華でしょ!」と言いたいが為の少しだけ色んな人を出すという、あれか。この恥ずかしい感じって、やっぱりハリウッド映画っぽくない。

あと、これを吹き替えで見てしまったのは完全に失敗。アメリカ人が日本語で喋り、日本人が日本語で喋っているのに言葉が通じていないのも、頭の中がグラングランして来た。

この映画、シリーズモノの三作目なのに全くシリーズと関係無い上に、終始何をしているのか、何が目的なのかもよく分からず話がつまらなく、自動車競走部分もつまらないと何にも良い所がない。
まあ見事にこけた様で、アメリカ国内では興行収入が製作費を下回り、全世界でも製作費の二倍まで行かなかったという、シリーズ最低の成績。この結果なのに、更に続編が作られる意味が分かんない。

★★★★★
 
 
関連:ワイルド・スピード
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