少林寺列伝
2026年07月03日 金曜日チャン・チェ監督・脚本、アレクサンダー・フー・シェン主演の1976年の香港映画「少林寺列伝(少林寺 Shaolin Temple)」
少林寺の門前にファン・シーユイ(方世玉)、フー・ホイチェン(胡恵乾)、ホン・シークァン(洪熙官)の三人が五日間座り込んで少林寺への入門の許しを待っていた。
少林寺の武術は門外不出だったが少林寺は清から目を付けられており、将来に武術を残す為により多くの後継者を育てるとして外からの修行者を取る事にした。
更には台湾からの明の武将達も少林寺にやって来て多くの人々が少林寺で武術を学び始めるが、やがて清の軍勢が少林寺へと迫って来た。
何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので幾つか古い香港映画を見ていて、その中で知ったチャン・チェの映画を続けて見てみた。
この映画も以前見た同じチャン・チェが監督した「水滸伝」の様に人物が初めて登場すると映画内に多分役者名と役名が字幕が出て来るので、これも当時のショウ・ブラザーズのオールスター映画だと分かる映画で、これまでのショウ・ブラザーズの映画で見た事がある人達が多く登場しているので、そこでは楽しさがあったし、この映画の前に見た「嵐を呼ぶドラゴン」が少林寺の焼き討ちから始まり、しかも「嵐を呼ぶドラゴン」と同じくアレクサンダー・フー・シェンがこの映画でもファン・シーユイ(方世玉)を演じて、少林寺の外だと同じく白い服を着ていて、まるで「嵐を呼ぶドラゴン」の前日譚的で、そこでも楽しさがあった。
ただ、オールスター映画だからなのか、いまいち話の的が絞れず、人が多いからなのか結構間延びしたり散漫な感じで、話も延々修行ばかりで少林寺に修行に来た人々の背景が全然描かれないので修行話にも乗って行けずでいまいちだった。
オールスター映画だからもっと各人物の紹介があってもよさそうなものの、主人公であるファン・シーユイ(方世玉)でさえ何故少林寺に来たのかも描かず延々と修行するだけなので目的不明で、何処に向かうのか分からない修行話はおもしろくはない。
中盤になって復讐だと言う話が出て来るのだけれど、この詳しい顛末は描かれず、復讐の為に木人巷を突破してまで少林寺から逃亡したのに外に出てからの復讐は描かれず、少林寺に居続けた人が何処からどうやって知ったのか分からない「復讐を果たした」と言う話をするだけで終わってしまう。
木人巷も突然出て来て、それまでに触れられる事も一切無く急過ぎて「??」になってしまったし。
他にも後から少林寺にやって来た人達も何があって、何が目的で少林寺で武術を学びたいのかが全然無いし、デビッド・チャンやティ・ロンが演じる台湾からやって来た人達も何があって台湾からやって来たのかも、そもそもこの人達が何者なのかも描かないので、ずっとよく分からない人達が何の目的か分からないまま延々と修行をしているだけの話なので全然興味は湧かず話には乗って行けない。
他にも色々と出しておきながらほったらかしの事も多く、あれだけ意味有り気な感じで壁に向かって顔を見せずに座禅をしていた謎の僧は結局どうなったのかも無く、顔すら見せず仕舞いだったし、アレクサンダー・フー・シェンに拳法を堂々とこっそりと教えていた人は誰で、どうしてだったのかも無かったし、デビッド・チャンは井戸に毒が入れられた事を感づいていたのに内緒にしていたのは何故?とか、少林寺の僧達も一瞬で相手の特性を見抜いて修行をさせて、見ずとも感じて理解する位の感の鋭さなのに、直ぐ側にいて常に顔を会せている様な大師の裏切りに全く気付いていないとか、あちこちで説明不足と説明放棄が多くて脚本が継ぎ接ぎした様な雑多さ加減。
更にオールスター映画だからか、それぞれに見せ場を与える為に各人がそれぞれ違う修行をして行くけれど、結局高く飛べました、軽く飛べましたと似た様な能力の習得になっていたし、アレクサンダー・フー・シェンも飯炊きしていたけれど棒術はしないし、他の人と同じ様な拳法をしているしで修行の結果が微妙。
それに、あれだけ毎日毎日修行をしている少林寺の人々が刀や槍や弓を持った清の兵に対して素手で生身で戦いを挑むから、役名がある人達はそれなりに見せ場があるものの、他の人達は当然あっさりと殺されてしまって、あの修行の無駄感、間抜けさ感が凄かった。
その修行は見所ではあって、毎日飯炊きで棒で混ぜていると棒術が自然と身に付いているとか「ベスト・キッド」を思い浮かべてしまったし、足に重りを付けて跳び続けたり、尖った石に紙を敷いてその上を紙を破かずに歩くとかの漫画みたいな修行は「少林寺三十六房」だったり、木人巷や木の枝で接近戦の稽古をするのは「少林寺木人拳」を思い浮かべてしまったけれど、こういうのはこれ以前の香港映画では結構あった物なのか?どの映画が、どの映画に影響を与えているのかしらん?
修行は「少林寺三十六房」の方が主人公一人に絞って、更にやり過ぎだったので強かったけれど、木人巷はこちらの方が良かった。
「少林寺木人拳」は着ぐるみの中に人が入っていて、何じゃこりゃ?ではあったけれど、こちらは木が回転する仕掛けで、回転する腕の間をすり抜けるズルも出来つつも先に進むとそれも難しくなって行くのが実際にありそうな感じで良かった。
話がそうだから仕方無くはあるけれど、構成が一時間半位延々と修行をして実戦は残り三十分位になってから、しかも三十分位延々と戦い続けるのでめりはりが無くて、どっちも見ていると結構疲れて来る。
だからなのか、アレクサンダー・フー・シェンの役が結構道化役でもあって笑いが入る様にはなっていて、人物の特徴で飽きさせない様にはしていた。
このアレクサンダー・フー・シェンを見ていると、決して常に強くは無く、文句も言いつつ人を笑わせる様な人物なのでジャッキー・チェンを感じてしまった。
ただ、顔を見ていると、「24」を見続けているので、クロエ・オブライエン役のメアリー・リン・ライスカブを思い浮かべてしまった。
この映画、登場人物達の背景が全然描かれないので修行をする理由や目的が見えて来ずに何処に向かっているのか分からないままなので延々と続く修行話には身が入って行かなかったし、オールスター映画なので各人に見せ場が必要となったのか話は散漫になりがちで、最後の戦いも各人の見せ場の為に長くなって結構ダレてしまい、全体的に説明不足と各所の配分が悪くてもっとおもしろくなりそうなのにいまいち弾け切れない感じのままでした。
☆☆★★★