2024年06月14日 金曜日
スティーヴン・ソマーズ製作総指揮・監督・脚本、チャニング・テイタム主演の2009年のアメリカ映画「G.I.ジョー(G.I. Joe: The Rise of Cobra)」
兵器会社MARSが開発した無機物をナノレベルで破壊するナノマイトの弾頭をNATOが買い入れ、その運搬をアメリカ兵のデュークとリップコードの部隊が任された。
その運搬中に何者かによって襲撃されるが、そこに現れた謎の部隊によってデューク達は助けられた。
助けられた謎の部隊によってデューク達が連れて行かれたのは世界の各部隊からなるGIジョーという秘密部隊の基地で、仲間の兵士を殺されたデューク達は敵を追う為にGIジョーに志願し入隊。
敵の謎の部隊はNATOに責任を負わそうとしていたMARSの兵士達で、MARSの創始者はナノマイトを使って世界を支配しようとしており、ナノマイトを巡ってGIジョーとMARSが争奪戦を繰り広げる。
Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみたけれど、これが物凄くつまらなかった。
話はナノマイト争奪戦だけで展開は面白味は無く、そもそもMARSが自分の所で作った兵器をNATOに渡してNATOから奪う一手間の意味がよく分からず、単にGIジョーを絡める為にこんな展開になっているんだろうけれど脚本がまあつまらない。
登場人物達の台詞もここは面白い所ですよのジョークが全て一々つまらないし。
一番の問題は映像と編集で、常にカメラを振る。動かしまくって各カットを短く繋いで次のカットに行ってしまうので、特にアクション場面なんかは今何をして、何が起こって、どうなったかがよく分からないままさっさと次の場面になるので本当に見ていても何をしているのか分からず、ただガチャガチャしているだけ。
色んな場所で色んな事をしていて舞台セットやCGとかお金かけたんだろうなぁとは思うけれど、それもさっさと次に行ってしまうので見ていても場面の無駄遣いにしか思えなかった。
元がアクションフィギュアや玩具のG.I.ジョーの映画なので、まるでおもちゃを売る為の日本の特撮ヒーロー並みに各人物やガジェットが玩具売る気満々な悪い意味で漫画染みた見た目なのに、それらも全身像をじっくりと映す事無く次のカットに直ぐ行ってしまうので全然印象に残らない。
これのアクションフィギュアや玩具を出したそうだけれど、それを売りたいならもっとちゃんと見せた方がいいんじゃないの?と思うし。
GIジョー側も敵側もやたらと濃い目な人物や見た目なので逆に主人公が目立たなくなってしまい、登場人物の中では一番キャラが弱くなってしまっているし、一番意志薄弱な感じだしで主人公が印象に残らない。
この映画に関してはどうやら出演陣も批判をしているみたいで、主演のチャニング・テイタムはこの映画が嫌いだそうで「パラマウントと三作の契約があり、その履行の為に出演を強要された」と言っているみたい(https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/channing-tatum-hates-gi-joe-804629/)
役者はMARSのマッカラン役の人って何処かで見た事あったよなぁ…と思ったら「ドクター・フー」の九代目ドクターだったクリストファー・エクルストンか。
「ドクター・フー」第1シリーズの時が2005年でこの映画とはそんなに離れていないのに結構印象が違ったので気付かなかった。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットも出ていて、序盤にこれだけしか出ないの?と思ったら実はドクターでした…だったけれど、顔がほとんど出ていないのでジョセフ・ゴードン=レヴィットでなくてもいい役ではあった。
顔が出ていないだと謎忍者スネークアイズは何故顔を最後まで出さないのか?の説明がないままで、元がそうゆうフィギュアだからという理由なんだろうけれど、この中の人ってスター・ウォーズシリーズのダース・モールでお馴染みのレイ・パークだとは知らなかった。
これもレイ・パークである必要が全然無いし。
スティーヴン・ソマーズの映画ハムナプトラシリーズで主役だったブレンダン・フレイザーやイムホテップ役だったアーノルド・ヴォスルーも出ていて、しかもGIジョーの基地がエジプトにあったりとどんだけハムナプトなんだよと思ったりもしたし、ブレンダン・フレイザーは後から救出部隊とかで出て来るのかな?と思ったら最初の一場面だけの本当にカメオ出演だけだった。
この映画、何かおもしろそうな雰囲気はあるのに終始おもしろくはないというやっぱりスティーヴン・ソマーズ映画で、しかもこの映画は映像と編集が酷いので更につまなくなってしまって、この内容でよく当たったなと思ってしまう映画。
最後に続編に続かせる気満々で終わって、そこでも物凄く萎えてこの続編なんか見る気が全く起きないんだけれど、その続編をちょっと調べてみたらドウェイン・ジョンソンやブルース・ウィリスが出ている事を知ってしまい、この酷い映画の続編だけれどビッグネームが登場してしまうとちょっと気にはなってしまうという、まんまと配役興行に陥ってしまったので見るか…見ないか…。
☆★★★★
関連:G.I.ジョー バック2リベンジ
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2024年06月13日 木曜日
リサ・ジョイ製作・監督・脚本、ヒュー・ジャックマン主演の2021年のアメリカ映画「レミニセンス(Reminiscence)」
海面が上昇して多くの地上が水没してしまった近未来のマイアミ。
退役軍人のニック・バニスターは記憶を視覚化・追体験させる装置で記憶を呼び出す水先案内人レミニセンスとして過去を懐かしむ人々に過去の記憶を提供していた。
ある日、鍵を何処かで無くしてしまったと言うメイがやって来て彼女の過去を見たニックはメイに惹かれ二人は付き合い始めた。
しかし、数か月が経つとメイは突如として消えていなくなってしまった。
メイの行方を探すニックだったが見つからず、検事から依頼で麻薬の密売人の記憶を呼び出す仕事を受けるとその密売人の記憶の中にメイが現れ、事件を追いながらメイを探し続けた。
ヒュー・ジャックマンが出ているSFっぽいという理由と、Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみた。
始めはいなくなった彼女を探す恋愛話だったのが徐々に犯罪事件の話になり、主人公の自分の記憶や人々の記憶を見ながら真相に辿り着こうと探るミステリーになり、これが結構おもしろい推理モノで中々見入ってしまった。
ただ、この映画の後に付いていた製作者インタビューやメイキングでも監督のリサ・ジョイが話していたけれど、この映画では記憶はまるでハードディスクに記憶された詳細な映像データの様に扱っていたのでそこがどうにもしっくり来ず、話の展開上そうならないと面倒臭いというのはあるにしろ記憶の絶対感がいまいち納得しないままでいまいちモヤモヤ感が抜けないままだった。
記憶って非常に曖昧で、同じ事でも自分の記憶と他人の記憶が全く違う部分があったり、自分の記憶でも覚えている部分以外ほとんど覚えていない事がほとんどだし、記憶だと思っていたモノが後から何かの情報で上書きされて出来た本当ではない記憶だったり、自分自身で捏造した、捏造されてしまった記憶だったりと記憶なんて当てにならない事が多々。
記憶ってそんなモノだと思っているので、そこの記憶の齟齬とか捏造とかを一切突かない緩さが気になって、そのままスラスラ進んで行くのに何処かでいまいち付いて行けない部分があった。
最後も主人公は過去の繰り返しだけになってしまって、それを何か良い感じで締めてはいたけれど凄く怖いと言うか、薄ら寒さを感じてしまって恐怖で終わった印象。
良い感じで見せているけれど悪く言ってしまえば、引き籠って同じオナネタでオナニーし続けました…で、これって良い話?
それにあのままだと食物摂取とか排便とかどうしているの?という疑問も感じて、と言う事は主人公は時々は起きて食事して、髪の毛切って、爪切って、あのムキムキな筋肉という事は筋トレして再び記憶にという事?と説明の無い部分も気になったし、どんなに良い記憶でも何年も何十年も見続けても飽きないの?とも思ってしまったし。
この監督は高級な霜降り肉のステーキを毎日食べ続けられるぜ!な人なんだろうなぁ。
あと気になったのは、主人公が犯罪者のボスの所に行って殺されそうになった所にタンディ・ニュートンがまあ丁度で助けに来てくれるという展開だったけれど、この後タンディ・ニュートンが何でこんな上手くやって来たのか?とか、何でこんなに強いのか?とか一切説明が無いので凄く都合の良いだけの展開に思えてしまった。
この記憶で人を追ったり、事件捜査って何だかフィリップ・K・ディックっぽいし、最終的に何だか幸せの様で悪夢みたいな話だしリサ・ジョイは影響受けているのかな?と思ったのだけれど、このリサ・ジョイの夫ってこの映画の製作でもあるジョナサン・ノーランなのか。
ジョナサン・ノーランって「メメント」の原案だったり、「インターステラー」の脚本だったりと記憶や過去と現在の映画が好きな人なので夫からの影響が強そう。
この映画から10~20年前位の映画やドラマで見ていたヒュー・ジャックマンやタンディ・ニュートンが出ていて、最近の映画を見ていなかったので何か年取ったねえと思ってしまった。
でも、やっぱりヒュー・ジャックマンが裸で水から出て来るとどうしてもウルヴァリンに見えてしまう。
この映画ではそれって狙っていたのだろうか?
おもしろかったのがあの記憶を映し出す立体モニターで、映画を見ている時は何も無い所で役者は演じているのだろうなぁ…と思っていたけれど映画の後に付いていたメイキングではちゃんとあそこに薄い膜のスクリーンがあって、そこに映像を映して、それを見ながら役者が演じていた事。
しかもそのスクリーンは撮影カメラに合わせて動かせるので映る映像も立体に見える様にしていて、完全CGだと思っていたら凄い手間とこだわりで驚いた。
それとこの映画を見ていて思い出したのが、少し前にYouTubeで見たアメリカのニュースで「サン・フランシスコ湾に家が漂っている(https://www.youtube.com/watch?v=vvW_Cyc7t6c)」というので、この映画みたいに本当に海上に家が浮かんでいた。
どうやらこれは湾の奥の方でボートハウスに住んでいる人が結構いるみたいで、その家が流れて来たみたい。
なのでこの映画の景色ってアメリカ人からするとSFではあるけれどそれ程行き過ぎたSFでもないんだろうなぁ。
この映画、記憶を使った人探し、事件捜査としては中々おもしろかったけれど、記憶の曖昧さ、当てにならなさが全然無いのでしっくり来なかった部分はあるし、最終的に何だかなぁ…な感じで終わり、おもしろくはあるけれど結構微妙な映画でした。
☆☆★★★
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2024年06月10日 月曜日
チュー・イェンピン監督、ジミー・ウォング製作・主演、ジャッキー・チェン共演の1982年製作の台湾・香港映画「ドラゴン特攻隊(迷你特攻隊)」
第二次世界大戦時日本軍の襲撃によって50万ドルの軍資金が奪われ、アメリカ軍・イギリス軍・フランス軍・アフリカ軍の将軍が捕虜となってしまった。
ドンに救出命令が出て、ドンは各地にいる馴染みの者を集めて特攻隊を作ろうとする。
ジミー・ウォングの「片腕必殺剣」「片腕ドラゴン」「ファイナル・ドラゴン」と見たのでAmazon プライムビデオの検索で出て来たこの映画も見てみた。
「ファイナル・ドラゴン」と同じくサムネイルではジャッキー・チェンしか写っていないけれどジミー・ウォング主演。
なんだけれどジミー・ウォングは中盤から全然出て来なくなるし、これまで大した役でもなかったジャッキー・チェンが最終的には主役になってしまうという変な映画。
しかも、ずっと何処で何をしているのか分からない話で、コメディ要素を推し出しているけれど終始滑りまくっているというつまらない映画で酷かった。
導入からコメディ的はあったけれどオープニングクレジット終わりから行き成りミュージカルで早くも「何じゃこりゃ?」
しかもミュージカルはこの部分だけで以後ミュージカルは無くて、この掴みだけのミュージカルの意味不明さったらない。
そこからジミー・ウォングが仲間を集める話になるけれど、ほとんどが仲間のどうでもいい一幕が続き、ジミー・ウォングは最後にちょっとだけで出て来て誘うだけ。
仲間が集まると謎のアマゾネス軍団が襲って来てジミー・ウォングはどうやら死んだらしいという話になり、これ以降は仲間だけで話が進んでジミー・ウォングが全然出て来ない。
最後にジミー・ウォングが生きてました…になるんだけれど、このアマゾネス軍団にジミー・ウォングが捕まったのかと思いきやそういう話も無く、ジミー・ウォングは結局どうしていたのかは分からないまま。
このアマゾネス軍団の話が長く続く割にこの話は一切必要も無く、最終的にはアマゾネス軍団皆殺しにして終わりという無茶苦茶な締め方。
その後は突然幽霊屋敷が出て来るホラーになり、これも全く必要が無い。
残り二十分位になってようやく将軍達を助けに行くのだけれど、序盤で日本軍が捕虜をアムステルダムから東京に移送するという話が出ていたのに、どう見てもアムステルダムにも東京にも見えない場所に行き、そこはナチスの基地?で、そこに第二次世界大戦時代の自動車には見えない当時の現代の自動車が押し寄せ、それに「マッドマックス」的な仮面を付けて上半身裸の男達と袴に刀を持った侍が乗ってやって来るという無茶苦茶な最終決戦になる。
そこで今までの仲間は全員死亡し、そこに突如現れたジャッキー・チェンが加勢して機関銃で敵を皆殺しにし、実は金目当てで仲間にナチスと戦わせたジミー・ウォングが突如現れて良い者の主人公となったジャッキー・チェンと悪役ジミー・ウォングとの最終決戦になってしまい、もう何を見せられているのか分からなくなってしまう。
スターになって来たジャッキー・チェンとジミー・ウォングの戦いをしたいならそこで話を作れば幾らでもおもしろく出来ただろうに、何でこんな映画になってしまったのだろう?
この映画、終始その場の思い付きみたいな展開を繋ぎ合わせた話の連続で、主演で主役だと思っていたジミー・ウォングが全然出て来なくなり、かと言って最終的に主役になってしまうジャッキー・チェンが序盤中盤と活躍する訳でも無い脇役の一人のまま仲間達のどうでいい滑りまくった寸劇が続くだけの酷い映画。
何もおもしろがって見たらいいのか分からず、結構早い段階で早送ってしまい、そのまま最後まで行ってしまった。
★★★★★
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2024年06月07日 金曜日
ロー・ウェイ製作・監督、ジミー・ウォング主演、ジャッキー・チェン共演の1977年の香港映画「ファイナル・ドラゴン(風雨雙流星)」
放浪を続ける武術家の梅星河の下に有名な武術家の花無病から使者が来たので花無病の屋敷へと赴いた。
花無病は病床に伏せており、この病気は花無病の妻が盛った毒が原因で花無病から妻を殺して解毒剤を奪って来て欲しいと頼まれる。
梅星河は王宮の密偵で花無病が盗んだとされている宝物の証拠を見つける為に花無病からの頼みを受け入れ、妻から解毒剤を奪おうとする。
ジミー・ウォングの「片腕必殺剣」「片腕ドラゴン」と見たので続けてこの映画も見てみた。
この映画のサムネイルではジャッキー・チェンしか映ってなく、この映画の後にジャッキー・チェンがスターとなってからはジャッキー・チェンの映画みたいに扱われているみたいだけれどジミー・ウォングが主役の映画。
映画は頻繁に特に説明もされずに新たな人物が登場してはよく分からないまま話が進み、人物が行き成り殺されたり死んだりの急展開が連続し、実は死んでませんでしたとか、実は…の細かいどんでん返しが頻繁にあって、見ていても理解する前に何だかよく分からないままで話が勝手に進んで「?」の連続で常に置いてけ堀。
序盤はこんな凄い人が恐れたり尊敬するのがこの人物というまどろっこしい人物説明が連続して、その時点で面倒臭いと思ってしまったけれど急に新人物登場から何だか分からないまま話が進んで何だか分からないまま次の話になり、何処に向かっているのか分からないまま主人公が新たな人物に連れ回される展開が続き、終盤は突如説明も無く最初の泥棒達が主人公の手下として現れた以降、「実は~でした」「実は~は死んでいませんでした」の連続どんでん返しでもう何のこっちゃ?
映画中ずっと主人公が今まで使った事は二回だけしかない謎の武器の奪命流星を引っ張りに引っ張り続けた挙句、最後に取り出した奪命流星は棒の両端に棘の鉄球が付いたヘンテコな形で拍子抜けして、更にその奪命流星は棒部分が伸びたと思ったら鉄球が回転し始め、離れた敵目掛けて鉄球が飛び出して敵にぶつかると鉄球が爆発して敵死亡という謎武器で、もう笑ってしまった。
その後のジャッキー・チェンとの戦いでも奪命流星を使うのだけれど、今度は鉄球部分が空中に発射されると花火の様に火を噴いて落ちて来て、「うわー!」と驚て見ているジャッキー・チェンにぶつかって爆死という謎過ぎる武器で、もうついて行けず。
ジミー・ウォングは歳を取ったからなのか、太ったからなのか以前よりも顔に精悍さが無くて無敵の武術家感がいまいちない。
これはジャッキー・チェンが大スターになった事を分かって見ているからか、ジミー・ウォングよりもジャッキー・チェンの方がスター性があると言うか、見栄えがすると言うかで、ジャッキー・チェンの方が映画スターになるのも分からなくもない。
この映画、常によく分からない人物が次々と現れては行き成り死んだり、実は生きてましたの連続と、細かいどんでん返しの連続で見ている方を常に置いてけ堀にさせながら進んで行く悪い脚本で、見ている方が常に話をこっちで補完しないといけないけれど補完した所で直ぐにそれを台無しにしたりひっくり返すのでついて行くのが非常に面倒臭くなる映画。
ジミー・ウォングとジャッキー・チェンが戦っているという部分だけの見所で見るモノなのかと思うけれど、ジャッキー・チェンは結構自分でアクションしているのに多分ジミー・ウォングは所々スタントダブルでさめるしで、アクションも別におもしろい訳でも無くてアクション映画としても微妙。
☆☆★★★
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2024年06月07日 金曜日
ジミー・ウォング製作総指揮・監督・脚本・主演の1972年の香港映画「片腕ドラゴン(獨臂拳王)」
敵対する道場の弟子と揉め事を起こしたチェンロンは師匠から怒られてしまう。
気が収まらない相手の道場主は外国から武道家達を呼び集めてチェンロンの道場に殴り込み師匠や弟子達を皆殺しにし、チェンロンは右腕を切り取られてしまった。
ジミー・ウォングの「片腕必殺剣」やジミー・ウォングは出ていないけれどその続編的別映画の「新・片腕必殺剣」を見たので更にジミー・ウォングの映画をもっと見てみようと思い、この「片腕ドラゴン」を見付けたものの、何故かAmazon プライムビデオには吹き替え版しかなかったので仕方なく吹き替え版で見てみたけれどこれが大失敗。
吹き替え版が酷い。
ジミー・ウォングはこの時三十歳前なのに声がおじいちゃん。
ジミー・ウォングの田中信夫の声が完全におじいちゃんで時々呂律さえ危なっかしい事もあるし、このジミー・ウォングと全くあっていない。
しかも、ヒロイン?の吹き替えの高橋ひろ子もおばあちゃん声で、ジミー・ウォングとヒロインの場面は映像を見ないとおじいさんおばさんの会話にしか聞こえないという最早吹き替えコント。
日本語版の吹き替えが何時録音されたのか分からないけれど、多分1970年代やそれ以降の吹き替えではなくて新たにソフト版を出した時の2010年位に新録された時の物だと思われ、だったらわざわざベテランになってしまった声優で新たに撮り直さなくてもと思ってしまう位この吹き替え配役が完全に失敗していた。
それにこの映画は時代物でもあるのに登場人物が「コントロール出来る」とか「3センチ下だ」とか言っていて翻訳自体も酷い。
映画自体もつまらなく、始めは主人公が切っ掛けとして話が進むものの直ぐに主人公が登場しなくなり、延々と主人公側の道場の人々と敵側の人々の揉め合い、戦いになり、しかも敵側の話が多く、主人公がいないままで話しが進むので暫くするとずっと何を見させられているのか分からなくなって来る。
敵側が外国から武術家を集めて来ておもしろそうな事になりそうなのだけれど、道場で弟子対武術家の戦いを延々と繰り返し、投げ技の柔道家以外は皆同じ様なカンフー?の様な動きなのでアクションもおもしろくなく結構退屈。
外国からの武術家達はやたらと役が濃いのに特に話を膨らます事も無く、沖縄空手とチベット仏教僧との対立を序盤に出しておきながらここの関係性を何も描かないし、主人公の復讐が始まると初めは各武術家と主人公が順番に戦っていたのに面倒臭くなったのか行き成り全員集まってまとめて同じ場所での撮影になったり、折角おもしろくなりそうな全く違う武術対主人公も活きて来ない。
「片腕必殺剣」に続く片腕モノなので、どうしてもどうやって、どういう理由で片腕になってしまうのかが気になる所でもあり、見所でもあるはずなのに、道場で次々と弟子達と武術家が戦う中の一人として主人公が戦い、そこで右手を手刀で切られるという大分無茶な理由で全然おもしろくない。
しかも、腕を切られると医者に運ばれて主人公が出て来なくなり、また道場の人達と武術家達の戦いに戻るので流れの中での一つの話程度の扱いで主人公の存在感が薄過ぎ。
その後主人公が医者から抜け出し?道端で倒れている所を助けられて、そこの家で過ごすのだけれど、そこでの出来事は数枚の写真だけで説明してしまい話を一気に端折る。
左手の強化と修業もそこそこに端折ってしまい、片腕になった主人公がどう思って復讐に向いて行くのかとかは全然描かないので続く最後の復讐が全然盛り上がらない。
左手の強化も復讐の時に大活躍とも言えず、この強化いる?だし、そもそも片腕の必要もある?だし、それよりも主人公が倒れた時に体を真っ直ぐにしたまま起き上がって来るという謎能力が発動するけれどこれについては修業の成果とかの説明は一切無しで意味不明。
全体的なアクションも微妙で、各国の武術家を出しておきながらそれ程違いが無いのもそうだけれど他の弟子達もガリガリだったりで強そうには見えないし、アクションも見所が無いしでアクション映画としても楽しくなかった。
沖縄空手の師匠との対決が一番最後なのは分かるけれど、これまでずっと話の中心人物で一番憎き相手のはずの敵のボスと主人公が一切戦わず、敵が投げて来たダイナマイトを投げ返したら敵のボスが爆死で終わるとか酷い展開。
ただ、各国の各種の武術家達が立ちはだかるとか、主人公が苦行に耐えて強い体や能力を手に入れる所なんかは昔の格闘少年漫画の源流なんじゃないかと思えてそこではおもしろかった。
何処まで本気なのか笑わそうとしているのか分からない中国武術とか格闘技って「魁!!男塾」とか「闘将!!拉麺男」とかの感じ。
この映画、ジミー・ウォングが自分で全部何でもかんでもやってしまったからか主人公の出番は少なくなってしまい、そのせいで何の映画か分からなくなる感じだし、主人公があんまり出て来ない前半部分が変に長くて本来描かないといけない片腕になってしまった主人公を端折りまくって展開はつまらなく脚本が全然おもしろくもなく、何度も集中力が切れて寝落ちしそうになってしまった。
以前の「片腕必殺剣」の好評でこの時の時流のカンフーでやったのは分かるけれど全然「片腕必殺剣」の方がおもしろかった。
☆★★★★
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