ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

2025年04月28日 月曜日

ロブ・コーエン監督、スティーヴン・ソマーズ制作、ブレンダン・フレイザー主演の2008年のアメリカ映画「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor)」
シリーズ三作目。

1946年。
勝手に大学を中退したアレックス・オコーネルは中国で2000年前の皇帝陵の発掘を行い、皇帝を埋葬した棺桶と数多くの兵馬俑を見つけ出した。
遺跡の発掘調査から引退したリック・オコーネルとエヴリンはイギリスで暮らしていたが、イギリス政府から上海へ秘宝シャングリラの眼を返還する依頼を受け上海へと向かった。
二人は息子アレックスと合流し発掘品を見に行くと中国の将兵が襲って来てシャングリラの眼を使って皇帝を復活させた。
皇帝の復活はまだ完全ではなく、シャングリラの眼が指し示すシャングリラへと行く事で完全に復活し、数多くの兵馬俑を操って世界を征服させようと企んでおり、その皇帝をオコーネル一家が阻止しようとする。

Amazon プライムビデオでハムナプトラシリーズが終わりそうで、この「3」にジェット・リーが出ているので見てみようと思い一作目から見始め、一作目は結構おもしろかったのに二作目は何かが酷い訳ではないけれどおもしろくはなく、スピンオフ映画の「スコーピオン・キング」も同じく何かが酷い訳ではないけれどおもしろくはなかったので、この三作目もそんなに期待せずに見たら、やっぱり何かが酷い訳ではないけれどおもしろくはなかった。

話はこれまでの「1」「2」でやって来た事をまたやっているかの様な、良く言えばこれまでのシリーズ作としての引用でシリーズを見て来た人におもしろがってもらえる様な展開ではあるのだけれど、それが別におもしろくはなってなく、しかもその今までの事を息子に分散させてやる事で二代目感を出してはいるのだけれど、この息子は二代目主人公としては非常に存在感が薄く、父親のリックもいて活躍するので非常にどっちつかずな感じしかしなかった。
一作目だと肉体担当のリックと説明担当かつ動けるエヴリンの組み合わせがおもしろかったのに、この映画では肉体担当の父と息子にエヴリンと謎の娘リンも活躍するので誰にも絞れておらず散漫。
エヴリンは最早考古学者としては役に立っておらず、リンが説明役なのでエヴリンの存在感も薄い。
兄のジョナサンは変わらずコメディリリーフだけれど出番が少ないので道化師としても弱い。

わたしがジェット・リーが好きなだけなのもあるけれど、ずっと早く出て来いジェット・リーだったので、そのジェット・リーはこのシリーズの敵のお馴染み最初の古代の説明部分で少しだけ登場し、最後残り三十分辺りでようやく完全体になったと思ったら行き成りキングギドラみたいな三つ首の龍になってしまって、「2」のザ・ロックの登場を期待したら結局CGアニメーションでしか登場しなかった最悪手再びかと一気に萎えてしまった。
今回はちゃんとその後ジェット・リー本人が登場したけれど、それでも始めにあれだけ五行の力を身に付けたと出て来たのに、その力は兵馬俑状態の時がほとんどで人型の時は余り使わず、折角五行能力使いながらのジェット・リーのアクションが見られるかと思ったのに、その楽しみは無し。
人型になっても時々謎の怪獣に変身するのでジェット・リー本人のアクションは楽しめず。
ただ、ジェット・リーとミシェル・ヨーの戦いはちょっとおもしろかった。
この場面が短かったので十分二十分は見たかった。
ジェット・リーは出ているのは知っていたけれどミシェル・ヨーが出ているのは知らなかったので、ミシェル・ヨーが出て来たら笑ってしまった。
ジェット・リーはハリウッド映画の主演だと良い役だけれど助演だと悪役という法則が今回もだけれど、役は秦の始皇帝が基っぽく、しかも向こうから大量の矢が飛んで来たりと映画「HERO」っぽく、ミシェル・ヨーの刀剣アクションなので二人だけ「HERO」と「グリーン・デスティニー」やっているみたいで、そこが何かおもしろかった。

あと、役者と言えばエヴリン役で、これまでの二作目までエヴリン役だったレイチェル・ワイズが降板してしまい、今回はマリア・ベロに交代。
この人何処かで見た事あるようなぁ…と思ったら、「ER緊急救命室」のアンナ・デル・アミコか。
アンナ・デル・アミコと髪色も違うので全然違っていて暫く分からなかったけれど、それにしてもエヴリンが朗読していて顔を出したら完全に別人だったので、お前誰だよロックンロール
レイチェル・ワイズのエヴリンと違い過ぎだし、エヴリン自体も性格が違う感じだったのでずっと同姓同名の別人にしか思えなかった。
アレックス役のルーク・フォードもブレンダン・フレイザーにも、マリア・ベロにも、レイチェル・ワイズにも似ていないし、配役は本当にどうかしてる。

しかも、これまで二作続けてエジプト関係の話だったのが三作目で何を思ったのか突然中国話にしてしまったので最早訳が分からない続編。
原題の「The Mummy」とほとんど関係無いし、邦題は何時もの如く日本の映画会社が勝手に付けて二作目からほとんど関係は無かったけれど、三作目でハムナプトラとは関係ないからと今更変えられないにしろ、もうハムナプトラは全く関係無くなっちゃった。
続けて出ているのはブレンダン・フレイザーとジョン・ハナー位だし、この映画のグチャッとした感じ言ったらない。

この映画、二作目が全然大した内容でもないのに儲かっちゃったので更に続編となった時、レイチェル・ワイズは出ない。スティーヴン・ソマーズは監督しない。エジプトが舞台でもないと、もうこれで続編作る意味も無い様な要素がたっぷりな映画。
内容はやっぱりおもしろくはなく、ジェット・リーとミシェル・ヨーが戦う場面を見れたので、そこだけでも良い様な気がしないでもない映画でした。

☆☆★★★
 
 
関連:ハムナプトラ/失われた砂漠の都
   ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
   スコーピオン・キング

スコーピオン・キング

2025年04月25日 金曜日

チャック・ラッセル監督、スティーヴン・ソマーズ制作・脚本、ザ・ロック主演の2002年のアメリカ映画「スコーピオン・キング(The Scorpion King)」
映画「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」に登場したスコーピオン・キングを主役にしたスピンオフ映画。

古代エジプト王朝以前の時代、メムノーンは多くの民族を制圧して王となっていた。
メムノーンの支配を拒む民族の長達はメムノーンに仕える預言者カサンドラが全てを予言している為にメムノーンを殺せないのでアッカド人のマサイアスにカサンドラとメムノーンの暗殺を依頼する。
マサイアスはメムノーン陣営に忍び込み暗殺には失敗したがカサンドラを人質に取る事は出来た。
互いに惹かれ合うマサイアスとカサンドラだったがメムノーンは兵を出して二人を追い、更には反対勢力の壊滅も企んでいた

元々はAmazon プライムビデオでハムナプトラシリーズの配信が終わりそうで、三作目にジェット・リーが出ているので見たくて、じゃあという事で一作目から見始め、「2」を見たのでこの映画も見てみた。
1」は結構おもしろかったのに「2」は普通に退屈するおもしろくはない映画で、その派生映画のこの映画も「2」と同じく何かが酷いとかも無いのに終始おもしろくは無いという映画だった。

始めから終わりまでずっと王の暗殺を狙っては失敗して、退却しては王からの追ってと戦うという事を続けているだけで何か意外な展開も無く延々とロック様が剣で戦い続けるだけの展開なので飽きてしまう。
登場した瞬間に引っ付きそうと思った預言者と引っ付き、長達を裏切って王に付いた息子は何かありそうでだけれどやっぱり何かに特に発展する訳でもなくあっさりとやられてしまうだけという本当に面白みの無い展開が続く脚本。
これも脚本にスティーヴン・ソマーズが入っているからなのかなぁ…。
アクションがおもしろければまだ楽しいんだろうけれど、そのアクションも剣での戦いがほとんどなのでロック様としての良さも特段無いし、何か目を引くアクションの演出も無いし、ずっと薄いアクションが続いて行くだけでおもしろくもない。

そもそも「2」では一番の敵だと思っていたスコーピオン・キングが始めにしか登場せず、最後の十分二十分で登場したのが全部CGアニメーションという看板詐欺みたいなスコーピオン・キングで何で単独映画が作られたのかが分からないけれど、この映画では「2」の時の権力の為にはアヌビスとも契約して皆殺しにした邪悪な王スコーピオン・キングでもなくて、あのスコーピオン・キングになる前を描く訳でもなく、それ以前のスコーピオン・キング前の話なので、ロック様がスコーピオン・キングではあるけれど「2」とはほぼ関係無い人物を演じているだけの映画になってしまっていて本当にこの映画の立ち位置が何なのかよく分からなかった。

見所と言えば、マイケル・クラーク・ダンカンがムキムキ過ぎて分厚過ぎる体位かな。
預言者カサンドラ役のケリー・ヒューって、映画「X-MEN2」でレディ・デスストライクことユリコを演じていた人か。

この映画見ていて気になったので色々と調べてみて驚いたのが、スコーピオン・キングの基となっているのが古代エジプト王朝最初のファラオと言われている実際の歴史上存在したらしいスコルピオン1世だった事。
実際には残っている出土品に王の印としてサソリが使われていたので後からサソリの王という意味でスコーピオン1世になったみたいで、「2」ではそこから下半身がサソリの怪物にしてはいたけれど、この映画だとスコーピオン・キングという名前になったのがいまいちよく分からず、そこでも何だかなぁという感じ。

この映画、後に映画で一番稼ぐ俳優ドウェイン・ジョンソンの映画初主演作として見ればおもしろいのかも分からないけれど、それでもおもしろくはない脚本に、ザ・ロックとしての面白みが無いアクションが延々と続くので酷くはないんだけれど終始おもしろくはない映画。
それでも制作費の三倍位はヒットしたので続編が作られてスコーピオン・キングシリーズとまでなり、「スコーピオン・キング5」が2018年と割と最近まで作られ続けたけれどそこまでシリーズ化する程の映画か?とも思った映画。
ちなみにスコーピオン・キングの二作目以降は全部ビデオ映画でドウェイン・ジョンソンは一切出演しておらず、二作目はこの映画のマサイアス以前を描き、三作目がこの映画の後だけれど王国が崩壊してマサイアスはまた傭兵になり王になり、・五作目で「2」のスコーピオン・キングに繋げて行ったみたいで、そこまでしてシリーズ化する人物だったんだろうか?と思ってしまう。
二作目以降がAmazon プライムビデオでは別レンタルなので予告編という名の本編の一部見せを見てみたらビデオ映画だけあって非常に安っぽくてお金を払ってまでの興味は無いし、五作あってスコーピオン・キングを演じたのは四人とか、もう本当に何だかなぁなシリーズ。

☆☆★★★
 
 
関連:ハムナプトラ/失われた砂漠の都
   ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
   ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

ハムナプトラ2/黄金のピラミッド

2025年04月23日 水曜日

スティーヴン・ソマーズ監督・脚本、ブレンダン・フレイザー主演の2001年のアメリカ映画「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド(The Mummy)」
シリーズ二作目。

前作から九年後の1933年。
リック・オコーネルとエヴリンは結婚して息子アレックスが生まれていた。
一家はエジプトの遺跡でアヌビスの腕輪を発見しイギリスに持ち帰えるが、そのアヌビスの腕輪は五千年前にアヌビス神の下僕となったスコーピオン・キングと、スコーピオン・キングが率いた世界を支配出来る程の力を持ったアヌビスの軍隊が封印された遺跡へと導く鍵でもあり、アヌビスの軍隊の力を狙う一団がアレックスを誘拐し、彼らは前作の敵だった神官イムホテップを蘇らせてスコーピオン・キングと戦わせて自分達がアヌビスの軍隊を支配しようと企んでいた。

ハムナプトラシリーズがAmazon プライムビデオでの配信が終わりそうだったので、三作目にジェット・リーが出ているのでそれを見たかったので一作目から見てみようと思い一作目を見てみると意外とおもしろかったので、その期待もあって見た続編だったけれどこれがまあつまらない。

一作目はちゃんと各人物を立てながら発掘物で進み、イムホテップが復活してからはモンスターパニックモノへとなって余り退屈する事なく一気に見れたのに、この二作目はよくある導入の掴みアクション場面から始まるけれどそんなにおもしろくはないので「まあこんなモノかな…?」と思っていたら、息子が誘拐されたそれ以降の展開が全然おもしろくなく退屈してしまった。
今回も色々と人物は出て来るけれど一作目の様に各人物を立たせて話を進めるでもなく、息子が誘拐されていないのでオコーネル一家の家族感は薄く、リックとエヴリンは一緒にいるのに共闘して強いとかは大して無く、イチャイチャし過ぎとかの夫婦感は薄くてそこを出す感じでもなく、敵も結局大英博物館の館長は何者で、そもそもあの赤い衣装の一団は何者だったのかも分からないままだし、アナクスナムンそっくりの女性も何者で何が目的だったのかも分からないとか人物全員の扱いが非常に雑。
前作で強烈な印象を残したイムホテップが結構まさかの再登場で、こういう映画での続編では前の敵は倒しているので大抵出て来ないのに人気が出たからなのかの続投で復活したのは興味が湧いたのだけれど、前作の様なガンガン魔法を使って攻撃して来るあの無敵の強さを余り描かず一作目よりも遥かに存在感が薄まってしまい、更にはイムホテップが復活してあれだけスコーピオン・キングの話を振っておいたのだから最後はイムホテップとスコーピオン・キングの魔法合戦かバチボコの殴り合い、演じるアーノルド・ヴォスルーと当時はまだドウェイン・ジョンソンではなくザ・ロックなのでバチボコに殴り合うんだと期待していたら、イムホテップは何故か魔法を封じられ、スコーピオン・キングは全部CGアニメーションと肩透かしもいい所で、これだったらイムホテップはいらなかった。

スコーピオン・キングも始めにあれだけ見せていたから一作目のイムホテップの様に中盤に復活して主人公側や敵側を翻弄して大活躍するのかと思いきや、最後の十分二十分になってからやっと登場したと思ったら下半身サソリのCGアニメーションでザ・ロックが全く登場しないとか羊頭狗肉。

序盤からエヴリンは過去の幻影を見ていたけれど、それがどうやら前世の記憶らしく、エヴリンはイムホテップが殺した王の娘ネフェルティティの生まれ変わり?らしいとか、リックはその姫を守る戦士?とか、詳しい説明もないまま進んで、もう話が取って付けただけの安っぽい事になってしまい、結局何だかよく分からないままで投げっぱなしジャーマンスープレックスで終わってしまう。
エヴリンも終盤で行き成り殺されてしまうけれど、これも生き返るのは見え見えで、本当に直ぐにピンピンして生き返るしで、今回は脚本が酷い。

結局前作も今作もアーデス・ベイが美味しい役で、こんな雑な扱いのスコーピオン・キングでスピンオフ映画作るならアーデス・ベイで冒険アクションモノ作った方が良かったんじゃない?と思ってしまった。

息子を出して来た事でファミリー・ムービーに舵を切りまくっていて、大体こういう子供って小生意気な人物にするけれどこの人物設定って誰が喜ぶんだろう?と何時も思ってしまう。
子供が見たら面白いんだろうか?

この映画、一作目が結構おもしろかった分だけ期待があったけれど、まあ酷くつまらない続編だった。
人物は立たないし、描きも薄い。
序盤が終わるとずっと間延びして退屈。
一番の目玉の敵であるはずのスコーピオン・キングが全然出て来ないし、出て来たら安っぽいCGアニメーション。
一方のイムホテップも微妙。
家族になったはずのオコーネルの家族感も全然薄いと駄目な部分ばかり目に付いて一作目のおもしろさが全然無かった。
スティーヴン・ソマーズって今作も前作も監督と脚本をしているのにこの違いって何だろうか?
この映画見ていたらスティーヴン・ソマーズってあのおもしろかった「ザ・グリード」や一作目が本来の力ではなくまぐれ当たりで、この二作目や「G.I.ジョー」こそが本来の力なのかと思ってしまった。

☆★★★★
 
 
関連:ハムナプトラ/失われた砂漠の都
   スコーピオン・キング
   ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

ハムナプトラ/失われた砂漠の都

2025年04月18日 金曜日

スティーヴン・ソマーズ監督・脚本、ブレンダン・フレイザー主演の1999年のアメリカ映画「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(The Mummy)」
シリーズ一作目。

1923年。
カイロの博物館に勤めるエヴリン・カナハンの兄ジョナサンが伝説の都ハムナプトラへの地図を持って来た。
エヴリンとジョナサンはハムナプトラに行った事があると言うリック・オコーネルを連れてハムナプトラへと向かい発掘をすると一体のミイラを発見した。
更に見つかった死者の書をエヴリンが声を出して読むとミイラが復活。
ミイラは三千年前に王の愛人と恋に落ち、王を殺害した事の罰として生きたままミイラにされた大神官イムホテップで、復活したイムホテップは自分の体を取り戻す為に発掘隊を襲い、愛人を復活させる為の生贄としてエヴリンを狙っていた。

ハムナプトラのシリーズは、ブレンダン・フレイザーのこの役を見た記憶があるので、多分地上波のテレビ放送で見かけたのか、ちゃんとどれか見た事ある様な無い様なな感じで、Amazon プライムビデオでシリーズ三作の配信が終わりそうだったのと、三作目でジェット・リーが出ているので見たかった事もあってシリーズの一作目から見てみる事にした。

で、見てみたらちゃんと分かりやすく各人物を早い段階で立てて、飽きさせない様な次から次の展開と続けて思っていたよりもおもしろかった。
人物は脇役も皆役者の濃さもあり、台詞や行動で早い段階でちゃんと役を立てていて、何だったら主人公のブレンダン・フレイザーが一番薄いんじゃないの?と思える位でしっかりしていた。
主人公が肉体担当で、レイチェル・ワイズが考古学者で説明担当と、単なる主人公だけが目立つ訳でもなく、メロドラマ部分のヒロインだけという役割でもなく、この役分けは興味深かった部分。
ただ、主人公は肉体担当なので賢くはなく、ヒロインもヒロインの中途半端な知識と無知が大体の元凶なので賢くは思えず、更に兄貴は調子乗りの馬鹿なので冒険物での賢さはあんまり無かったけれど。
一方、アーノルド・ヴォスルー演じるイムホテップが圧倒的に強くてたじろがないのでカッコよく、強烈に印象に残った。
その他の脇役はハリウッド映画的な役を立てておいて特に意味も無く殺して退場させてしまうという典型は多かったけれど。
初めの刑務所の所長とか、終盤のイギリス軍の飛行士とか、後から付け足して放り込んだので急な退場だった様な感じもあった。

展開も始めにイムホテップの説明を一気に見せ、そこから徐々に登場人物が増えて行きながらの発掘冒険物から、中盤でイムホテップが復活するとモンスター・パニック・ホラーにして、終始ダレずに最後まで突っ走って行くのでおもしろく見れてしまった。
如何にもなコメディ部分は真顔になってしまうのは当時の分かりやすいファミリー・ムービー的なアクション映画の典型ではあるんだろうけれど。

CGは1999年なので合成が浮いていたりもするけれど、近年の何でもCGであり得ないド派手さで白けてしまうのよりも全然見れたし、イムホテップの強さ感が良かった。
セットはハリウッドのアクション映画なので作り物感は否めず、エジプトの発掘って遺跡がやたらと狭かったり、砂と土を下に掘って行って見つけ出す印象なのに、ただだだっ広い空間が広がっているのは何とも。

この映画は1932年の「ミイラ再生」のリメイクという名目にはなっているみたいではあるけれどほぼハリウッドのアクション映画になっているのでリメイクなのか?と言うのはある。
でも、途中で出て来た博物館の窓から見えるイムホテップがちょっと吸血鬼と言うよりもドラキュラっぽいとか、民衆がゾンビっぽいとか、他のモンスター・ホラー映画をちょこちょこ入れている感じはあった。
そう言えば、古代遺跡発掘冒険物の先駆のインディアナ・ジョーンズっぽさって無かった気がする。

おもしろいのはその「ミイラ再生」のリメイクとして企画が上がって来た時に監督を依頼した人達で、ヘルレイザーシリーズのクライヴ・バーカーや、狼男の映画「ハウリング」やグレムリンシリーズのジョー・ダンテ。ゾンビのジョージ・A・ロメロ。「エルム街の悪夢」や「スクリーム」のウェス・クレイヴン等そうそうたるホラーの人達に話が行っての何故かのスティーヴン・ソマーズになったという事。
わたしは先にG.I.ジョーの12を見てしまっていたので、そのつまらさなから何故スティーヴン・ソマーズ?となってしまったけれど、この映画の前は「ザ・グリード」を撮っていて、この映画は上手い所を付きつつも上手く外して来るという非常におもしろ映画でわたしは大好きな映画で、今では結構カルト映画化しているみたいだけれど当時は謎の強大なモンスターと戦うアクション映画として評価されての事だったんだろうなぁ。

この映画、設定は多分当時過去になっていたミイラ物をアクション映画として作った事で、よく言えば王道、悪く言えば1990年代的ファミリー寄りのハリウッド映画で、色々押さえつつ見せ切った事で結構おもしろくなってちゃんと見れてしまった。
これが当たったのも分かるし、続編が作られてシリーズ化したのも分かる映画でした。

☆☆☆★★
 
 
関連:ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
   スコーピオン・キング
   ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

新スタートレック シーズン4

2025年03月21日 金曜日

新スタートレックStar Trek: The Next Generation)」のシーズン3の最終話「浮遊機械都市ボーグ・前編」がクリフハンガーで終わったので、そのまま続けて一話目を見たシーズン4。

1話「浮遊機械都市ボーグ・後編」は、前編の絶対絶命から何とか乗り切る展開にワクワク。
前編でのライカーの今後とライカーとシェルビー少佐との軋轢を上手い事使いつつライカーが活躍する回で、ピカードよりもライカーが主役の回。
他のクルー達も活躍し、こういう皆がキビキビと活躍するのは好き。
ただ、惑星連邦もボーグも結構あっさりやられてしまったり、先に「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」の一話目のウルフ359を見ていたのでこっちでのウルフ359での残骸の大した事無さから、意外とそんなに多くない予算の中で頑張って何とかやっていたのかな?とも思ったり。

2話「戦士の休息」は、前二話の激戦の直接的な締め回で、原題「Family」の通りピカード、ウォーフ、ウェスリーの家族の話。
誰でも何時ででも通じる家族話で、感動的感情的という部分ではこれまでのTNGでは一番良かった回。
わたしには男兄弟がいないけれど、見たり聞いたりの男兄弟ってピカード兄弟の感じで、男兄弟って面倒臭いなぁと思いつつも実は優しい兄ピカードとか、クリンゴンなのでどうしたらいいのか迷うウォーフの地球人の両親とか、お互いに会う事がなかったクラッシャー親子とか、まあジーンと来る話の連続。
ここまで普遍的でSF感スタートレック感の無い回だからこその良さなんだけれど、どうやらこの回のそのSF感スタートレック感の無さがジーン・ロッデンベリーには不評だったらしいのに、このロナルド・D・ムーアの脚本をショーランナーのマイケル・ピラーリック・バーマンが通したみたい。
TNGってジーン・ロッデンベリーの手から離れて行ってドンドンと良くなったのかな?
気になったのは、兄ピカードのロバートが結構おじいちゃんで(でも演じていたジェレミー・ケンプは当時55歳)、マリー・ピカードも結構おばあちゃん(でも演じていたサマンサ・エッガーは当時51歳)なのに息子のルネが幼いのは何かある親子なのか、未来では生体的医学的に発展したので歳を取ってからの子供も普通という事なのかと思ったり、ジャン=リュック・ピカード役のパトリック・スチュワートはイギリス人なのにフランス人役を演じるのってどう思っているんだろうと思っていたら、ジェレミー・ケンプもサマンサ・エッガーもルネ役のデビッド・バーキンも皆イギリス人で何だこの配役はと思ったり。
配役は単に英語を喋らないといけなく、かつヨーロッパな匂いがある人という事だけなのかも。
それとウォーフが自室で座っていた棒の先に球体が付いた黒い椅子って氷室京介が「SQUALL」のMVで座っていた椅子じゃない?
どうやらノルウェーのピーター・オプスヴィック(Peter Opsvik)が1985年に作った「Garden」と言う椅子みたい。

3話「永遠の絆」は、死んだと思われていたデータを作り出したヌニアン・スン博士に呼び出され、データは親と初対面となる所に兄のローアもやって来る話。
前話ではデータが全く登場しなかったと思ったら次話で丸々データの家族話をしてデータは皆好きなんだなぁと思う、前話の更なる続編の様な回。
始まりは暴走するデータのサスペンスから良い親子話になり、問題児の兄と弟の物語が続く今後へ向けた話でもあっておもしろかった回。
ただ、日本語吹き替え版はやっぱり頂けない。
前にローアが登場した時も思ったのだけれど、データもローアも、今回はヌニアン・スンもブレント・スパイナーが演じているのに何故か吹き替え版では三人の声を別の声優が演じている意味が分からない。
所々英語の原語で見てみるとブレント・スパイナーはデータは何時も通り丁寧に喋り、ローアはぶっきらぼうな感じで感情を出し、ヌニアン・スンはおじいちゃん的に低い声で歳を取った感じの喋り方にしているのに、吹き替えだと完全に別人なのでそこのおもしろさが全然無くなってしまっている。
特にデータだと思ったら実はローアだったという場面は感情チップを入れたからデータが何か変なのか?からのローアの喋りになるのがおもしろいのに、吹き替えでは大塚芳忠から行き成り牛山茂に変わってしまうので何じゃこりゃ?になってしまった。
吹き替え版は時々誤訳があるみたいだし、訳を統一出来てなかったりするけど、今回みたいなローアが登場する回は特に原語でみた方が良い。

4話「宇宙孤児ジョノ」は、保護したタレリア人の中に地球人の少年がいたので地球に戻そうとするけど少年はタレリア人としてタレリアに戻りたがっているのでどうするかの話。
ここまで続けて親や子の話が連続するのは製作陣に何かあったのかと思ったけれど、ウォーフが良くてこの少年は駄目というのがさっぱり分からないので全然乗って行けず。
少年と似た境遇のウォーフがいながら都合良くウォーフを無視して話を進める酷い脚本だなぁ…と思ってしまった。
相互理解や相手の尊重を勧めて来たのにそこは何故か忘れられてたし、平和的であると言う惑星連邦のなのに結構あっちゃこっちゃで戦争しててその後も緊迫関係になってるんだとも思った回。

5話「恐怖のワープ・バブル」は、ビバリー・クラッシャーの周りの人々が次々と消えて行き、残っている人達は消えた人達の記憶が無くてビバリーに何が起こっているのか?というサスペンスホラー回。
設定はおもしろいし、ビバリーが自己問答をしながら事実を理解して行くのはおもしろかったのだけれど、解決策が突如都合良く現れた旅人によるウェスリーへの精神論での魔法でビバリーを連れ戻すという結構酷いやり方でこの脚本には凄くさめてしまった。
多分まず人々が消えて行くという設定を思い付いて、それを何とか成立させようとしたらワープ・バブルの中で想像の世界を実現した?そこから理論を超えて意識で連れ戻す?とか訳の分からない都合の良いファンタジーになってしまって終盤で急にしょっぱい話になってしまったのかな?と思ってしまった。

6話「革命戦士イシャーラ・ヤー」は、エンタープライズ元クルーのターシャ・ヤーの故郷の星の話で妹のイシャーラ・ヤーが登場する回。
シーズン3でも並行世界のターシャ・ヤーが登場したけれど、シーズン1で降板したターシャ・ヤーをまた更に掘り下げる話をここでも入れて来るって何なんだろうなぁ。
この回も最終話への伏線回として使ったという事なんだろうか?

7話「勇者の名の下に」は、毒を盛られて死にかけていたクリンゴン帝国最高評議会総裁クンペックが次期指導者の選出の儀式をピカードに任せようとするが陰謀うごめく話になる。
序盤からシーズン2の「愛の使者」に登場したケーラーが再登場し、しかもウォーフの息子アレキサンダーを連れているし、後の総裁になるガウロンやバトラフ等、後に重要となって来る人物や物がこの回で初登場していて結構興奮。
話もウォーフ関連のクリンゴン話になると陰謀話になってワクワク感があり、しかもロミュランが関わっている?という話にまでなって来て非常におもしろかった。
アレキサンダーとの親子関係はどうなるの?だし、ウォーフの仇であるデュラスは殺せたけれどクリンゴンとしての名誉は復活はまだで今後の展開を期待させる回でもあり楽しい。
ただ、クンペックの暗殺は結局誰だったのかは謎のままだし、デュラスはロミュランと繋がっていた?デュラスの一族はどうしてロミュランと繋がっているのか?とかの解明も無いままなので、これも今後なのか。

9話「ファイナル・ミッション 新たなる旅立ち」はウェスリー主役回で、ピカードとの関係を深めつつ、艦隊アカデミーに行くのでエンタープライズから去って行く話。
ウェスリーってレギュラーなんだけれどどうにも印象が薄いままで、少年なのでそこら辺の話担当になるのかと言えばそうでもなく、ビバリーとの母子関係はもっと深堀り出来そうなのにそこも薄かったし、この回でのピカードとの関係も普段はそれ程頻繁に対話していた訳でも無いので取って付けた感じで薄かったし、ピカードの裁量でやたらと好待遇だったのに天才感を押し出すだけで人物的にはあんまりおもしろくはなかった。
そんなウェスリーがここで急に降板なので何か最後まで微妙な登場人物ではあった。

10話「失われたテレパシー」は、二次元生命体らしき物とディアナ・トロイのテレパシーが消えて困惑する話。
二次元生命体の方はSF的でおもしろかったけれど、トロイの方はテレパシーが消えたという話をする為に色々と取って付けた感じがしていまいちだったし、どちらかと言えばファンタジー的なテレパシーが無くなったベタゾイドと地球人のハーフのトロイの狼狽え振りが全然理解も共感も起こらず、普段はあれだけ穏やかだったのに仲の良かった人々に対するトロイの突如の攻撃的排他的態度が全然ピンと来ず。
この回見るとトロイって相当精神的に脆く、実は心根の部分で結構根性がひん曲がっていたり、どす黒いモノを抱えた危ない人なんじゃないの?という印象が植えつけられてしまった。

11話「ヒューマン・アンドロイド・データ」は、データの個人通信を独白という形でデータの思った事を語りつつ、データ目線でデータの日常を描いた回。
余り描いて来なかったクルーの普段とそこにロミュランとの接触もありで、これまで暫く微妙な回もあった中で非常におもしろかった。
製作陣皆んなデータの事大好きだったんだなと分かるデータの日常思う事を描くデータの深掘り回ではあるんだけれど、ボリアンの理容師がいる散髪室があったり、エンタープライズでの結婚や出産等の生活が描かれ、この日常が非常に楽しかったし興味深かった。
特にオブライエンとケイコの結婚はDS9の方が馴染みがあるので物凄くおもしろかった。
DS9でも夫婦で揉めたり喧嘩していたけれど結婚前からそんな感じだったのかとか、オブライエンの名前がマイルズ•E•オブライエンとミドルネームのE(エドワード)が出て来たのってこの回初?とか、ケイコってイシカワさんだったのねとか、実はオブライエンの深掘り回でもあって、オブライエン好きなわたしはこの回は興味津々だった。
一方、惑星連邦のヴァルカンの大使が実はロミュランのスパイだったという話は推理仕立てでおもしろかったものの、惑星連邦が長年全く気付かなかったのは間抜けに思えてしまって、惑星連邦ダイジョブ?になってしまった。

12話「不実なる平和」は、惑星連邦との戦争から和平を結んだカーデシアの基地を惑星連邦のUSSフェニックスが襲撃した事が分かり、エンタープライズにカーデシアのガル・マセットが乗り、フェニックの行方を追いつつ何が起こったのかを探る話。
今後DS9でも主要種族となるカーデシア人の初登場回で、前話に続きオブライエンの活躍回でDS9好きのわたしからしたら楽し過ぎた回だった。
初登場したカーデシア人はお馴染みの姿ではあるけれど少々違う部分があり、肌は白っぽくなくて赤味掛かっていたり、見た事無い謎のヘルメット?を被っていたり、見た事無い茶色の服着てたり、顎髭生えていたりと初回だからのその後無くなった部分もおもしろく見れてしまった。
特に髭の生えたカーデシア人って見た事無くて、この回だけ?
それに今回登場したガル・マセットってガル・デュカット?と思ったら演じていたのはマーク・アレイモで正にそうで、やっぱりTNGで演じた種族をそのままDS9でも演じた俳優が多い流れはあったのか。
今回のガル・マセットを髭の生えたガル・デュカットとして見てしまうと余計おもしろかった。
オブライエンの深掘り回でもあり、オブライエンが育って行っているのも楽しい部分なんだけど、このオブライエンって非常に優しくてカーデシアにも理解ある態度だったけどDS9だともっと反発的懐疑的じゃあなかったっけ?
新たな種族勢力としてここでカーデシアを初めて出したのでしょうがないとは言え、惑星連邦との戦争が結構長い間激しくあったらしいのにこれまで言及は一切無かったし、平和を愛する惑星連邦と言う割にやっぱりあちこちで色んな勢力と戦争しまくってるじゃんとも思ってしまったし、今回の事を見てしまうと何時も惑星連邦が被害者だったり仕方無くでの戦争かと思っていたのが結構惑星連邦側にも問題あるんじゃないの?とも思ってしまった。

14話「空白の一日」は、惑星調査をしようとするとワームホールに飲み込まれてしまい、クルー全員が30秒間意識を失ったとアンドロイドだったので唯一意識を失わなかったデータが言うが、本当は30秒間ではなく一日の時間が経っていたようだと分かって来る話。
SF推理モノになっていておもしろくはあったけれど、この設定と展開の為に色々と緩い部分があっていまいち乗って行けなくもあった。
データの受け答えからデータがはっきりと答えないので何かあると分かるけれど、ピカードがデータを信用していない展開になってしまい、まだシーズン1ならピカードの反応も分かるのにここでこれだと今更感があったし、全然ピンと来ていないピカードのこの回の急な気付きの遅さが展開の為感が強かったし、何時もなら無茶な要求を出して来る相手はもっと交渉して上手い解決策を出そうとするピカードがあっさりと相手の言いなりになったのも違和感を感じてしまったし、最終的に最初の一日に調査期間とやり直しの一日合わせて三日弱のずれが出て来るけれど航星日誌とか様々な記録類はエンタープライズ側で日にちを弄っても外部と照らし合わせたら直ぐバレそうなのにどうやってずれを誤魔化したのかもよく分からないまま終わってしまって、結構脚本が緩くて微妙でもあった。

15話「ファースト・コンタクト」は、これからワープエンジンを作り出して宇宙へと飛び出そうとしているマルコリア星とのファースト・コンタクトの事前調査の為にマルコリア星人に変装して調査していたライカーが行方不明になったのでマルコリア星人と早いファースト・コンタクトを行う事になってしまった話。
視聴者はエンタープライズ側目線ではあるけれど現実はマルコリア星人に近いのでマルコリア星人に共感して見る様な構成になっていて、一々マルコリア星人の反応や行動に納得出来て、逆に惑星連邦の不用心さや間抜けさに引っ掛かるという回で、何時もとは逆転した構図がおもしろかった。
やっぱり惑星連邦の不干渉や隠密調査って色々緩過ぎだし、通常対応や非常時の行動規範をきっちり決めておかないの?と毎回思ってしまう。
マルコリア星人って当時の宇宙人ビリーバーをネタにした感じで、ライカーと寝ちゃうマルコリア星人とか完全に笑いに走ってたし。

16話「ギャラクシー・チャイルド」は、初めにラ=フォージに関係して以前登場したリア・ブラームス博士の名前や話が出て来たので、シーズン3の6話「メンサー星人の罠」をざっと見直して、ああこういう話で、リア・ブラームス博士のホログラムってこんな感じだったと思い出してからのこの回を見た。
「メンサー星人の罠」では、やたらジョーディと博士がイチャイチャしていて笑ってしまったけれど、それを振りに使えば当然やたらと対立する関係になり、そこから理解するという、まあ当然の展開なんだけれど、前回の様に二人が知識や発想を出し合って危機を乗り切るという同じ展開で理解し合う事になって、それはそれで良く出来た前後編になっていて楽しかった。
こういう既に登場した人物を使って更に発展させる展開は好き。
一方の、むしろ脇筋になっていた題名の謎の宇宙生命体の方は結構抜けていて、最初に生命体だと気付いてから相手をどれだけ傷付けるかも分からないけれどフェイザーを発射して見事に殺してしまって後悔したり、その後に子供が生まれそうなのに母体の方を全然調べもしないし、最期も仲間が住んでいた場所も全然調べもせずに速攻で移動したり、そもそも完全に未知の、初遭遇の生命体を大して調べもしないというのは宇宙艦隊の船としてどうなの?と思ってしまった。

17話「謎めいた狂気」は、U.S.S.ブリテイン号を助けに行ったら自分達も同じ様に精神的におかしくなって行く話。
夢を見れないから狂気に陥ってしまうというのはおもしろかったのだけれど、結局原因がテレパシーなのでファンタジーなので科学では分からなかったという事になるのがどうにも都合が良くて好きじゃない。
それに断層の向こう側にいた船や人達と何も通信する事もなく、U.S.S.ブリテインもほったらかしで速攻で基地へ帰還って、話も任務もぶん投げ過ぎ。

18話「アイデンティティー・クライシス」は、ラ=フォージが関わった過去の調査からの話で、ラ=フォージの人間関係の話を結構続けざまにしている。
今回は調査した惑星に呼び戻される理由を見つける為にホロデッキを使って過去の調査時の映像の再現から謎を解こうとして、ホロデッキをこういう使い方をするのはおもしろいと思った。
ただ、今現在の技術でも映っている影から映像内だけで分析して再現は出来そうな気もしたので、35年の歳月って凄い展開になっているのか。

19話「謎の頭脳改革」は、レジナルド・バークレーがシーズン3に続いて二度目の登場回で、バークレーが異星人の探査船の影響で賢くなり過ぎて自分の脳処理を任せる為にエンタープライズに繋げて暴走してしまう話。
主軸の話は理由も説明せずにバークレーを改造して船の航行に危険を及ばせて遠くまで拉致する異星人に対して普通だったらぶち切れるはずのピカードが相手は凄い科学技術持っているのでその恩恵もあやかれるかな?で不問にしてしまうとか、あれ程エンタープライズとは切り離せないと言っていたのにあっさりと直ぐに切り離されたバークレーの都合の良さは、こっちから出向くではなく、こちらを呼び寄せるという発想を無理矢理まとめたからなんだろうなぁ…と思ってしまった。
バークレーにあの謎の光線を頭に当ててエンタープライズと繋がっていると言う見た目の安っぽさとかあるにしろ、バークレーを育てようとしている感じがおもしろかったり、何よりバークレー役のドワイト・シュルツが初めは人見知りのバークレーの下手演技から始まり、急に自信を付けてカッコよくなったバークレー。全てを支配する怖いバークレー。元に戻ったバークレーと芸達者っぷりを見せた回で、バークレーの回ではあるけれどドワイト・シュルツの為の様な回だった。

20話「QPID」は、シーズン3の「大いなるホリデイ」に登場したヴァッシュが再登場し、ピカードとの関係はどうなるのか?と思ったら急にQが出て来てロビンフッドコントになって台無しになった回。
続き物として奔放なヴァッシュと個人的な感情を全然出さない艦長としてのピカードの微妙な恋愛関係がおもしろかったのに、そこにQが出て来て何故かロビンフッドの話にしてしまい、折角のピカードの個人話になって、それをどうするのか?が見たかったのに結局Qに振り回されてコメディになってしまい、命を懸けて救ってくれたからめでたしめでたしというつまらない結末に持って行って、この回は展開もオチも非常につまらなかった。
Qじゃなくてもホロデッキで出来る話だし、ピカードの恋愛話は自らでかたを付ける方が全然良いしで、何でこんな展開にしたんだろう?
このQを見ていると、もしかしてQってピカードに対して興味と言うよりも恋愛に近い感情があってヴァッシュを当て馬に使っているのでは?という感じがしたんだけれど、ここでヴァッシュを出して来て、更にQとヴァッシュという変なコンビにしたから更に次の展開も見せたいのかなぁ?とも思ったけれど、このヴァッシュって次ぎ登場するのがDS9なのか。
結局折角ピカードの深堀とおもしろい関係性にしたヴァッシュをここでのコメディにする為だけに使い捨てって勿体ない。

21話「疑惑」は、またクリンゴンとの交換派遣で案の定そのクリンゴン人によるスパイ行為があり、それから波及してエンタープライズの乗組員への狂気的な疑惑へと発展してしまい、それを自由と信頼を重んじるピカードが何とかしようとする話。
始めから行き成りワープエンジンが爆発していてクリンゴン人への尋問からという早い設定でちょっと驚いたけれど、そこよりもその後の疑惑の方の話が大きいのであんまり時間を割いてられないからの割にサティ提督のあの狂信的な追及の原因は結局何だかよく分からなかったり、証拠も無いのに追及した所で何になるのかとかもよく分からなかったりで描きが緩い部分もある。
主題の魔女狩りや熱狂で暴走する正義とかの話は非常に良いんだけれど、それよりも問題なのがワープエンジンの蓋?に感知出来ない微小の傷があって、それによってワープエンジン爆発って「そうだったのね。」で終わったけれどこれはヤバ過ぎる。
惑星連邦の船のワープエンジンがあっちこっちで急に爆発しまくってんじゃないの?
でも、ワープエンジンが爆発してもあんまり大爆発でもなく致命的な事でもない様で、ワープエンジンってそんなに危険でもなく、今回の事故も大した事でもない感じなのか。
主題の方は何時でも成長しようとする人はいつつも、陰謀論的疑惑でも大勢の狂信的正義の味方がいるので、今を見ていても人間が全員死滅するまでおんなじ事を繰り返し続けるんだろうなぁ…と思った次第。

22話「決別の儀式」は、毎度突然現れるディアナ・トロイの母親ラクサナ・トロイの主人公回で、恒星が衰退している惑星ケイロンの科学者の研究の実験が上手く行かず、しかしケイロン人は六十歳で死を迎えなくてはいけないと掟があり、それが間近に迫った博士とラクサナの恋愛話であり、異文化の相違話であり、老後の生き方死に方の話でもある回で非常に良く出来た、非常に刺さった話。
ラクサナの言う事も博士の言う事も間違いではなくて、何が正解かは分からない話を正面から見せて非常に見応えがあった。
身近な人の死に合うと、何の覚悟も無く、何も言えずに死を迎える事は残された側からするとどうにも出来ない事で残り続け、ケイロン人達の様に別れを告げる事が出来ると言うのは幸せな事かとも思う一方で、死を迎える個人からするとラクサナの言う事も尤もで、しかし全ての生き物や異星人が死という仕組みから逃れられないモノならば自ら決心して死を迎えるのも生き方死に方で、個々人での意見がある題材をじっくりと描いていて素晴らしい回だった。
こういう自分の感情や主観だけで相手に押し付ける人ってエンタープライズのクルーの中にはいないのでラクサナじゃないと成立しないから急なラクサナなのかと思い、その分何時ものレギュラー陣は本当に脇役という珍しい回でもあり、長いシリーズとなったから出来る何時もとは違う回なのかな。
あと、博士の娘役の人見た事ある様な…?と思って見ていたら、口周りのほくろとかでこの人後に登場するベイジョー人の士官ロー・ラレンじゃない?と思ったら、正にその人ミシェル・フォーブスだった。

23話「愛の化身オダン」は、紛争の解決の為に乗船して来たトリル人の大使とビバリー・クラッシャーが恋に落ちたは良いけれど、大使はシャトル移動中の攻撃で瀕死状態になったのでトリルをライカーへと移植し、二人の関係はどうなるのか話。
二話続けて外部の人との別れの恋愛話。
前話はそれでも理解しようとしたけれど今回はそれが出来なかったという対比的でもあった。
でも、何度も別人になってしまったから、女性になってしまったから駄目ではあったけれどライカーなら良いかというのはどうなの?とも思ってしまった。
一応何度も別人になるのでついては行けないと言うのは分かる理由ではあるけれど、仲間であり、友人でもあるライカーでもオダンだから愛してるって何か微妙。
これがライカーじゃなくてウォーフとか、オブライエンだったらこうなってはいなかった様な気がするんだけれど。
結局個人に対する認識の問題で、そりゃあ精神と肉体が分かれる事無く同じでしかない人間は見た目が別人になれば別人とは思うしかない。
この中では長い深い友情とつい最近の恋愛の葛藤が全く出て来なくて乗れなかったのもあるけれど、最近の恋愛が勝ってしまうビバリーって見た目や今までの感じよりも相当若い気がしてしまった。
あと、トリル人が全然違う。
「DC9」でトリル人のジャッジア・ダックスがレギュラーだった事でトリル人を後から深く描いて、そっちの方の馴染みしかなかったけれど、このトリル人は体に帯状の斑点が無く、額辺りに突起がある全然違う見た目だし、ホストの意思や自由が無くてほぼトリルだけの意思と行動になっていたりと初登場のトリルってこんな感じだったのか。
まあ、ライカーの意識がある状態だとこういう展開に出来ないからトリルだけにはなっているんだろうけれど。
トリルは異星人としてはおもしろい設定ではあるけれど、どうしてトリルを「DC9」でレギュラーにしたんだろう?
内容よりもトリルのその後との違い過ぎに意識が行ってしまった。
今回もピカードは完全脇役。

24話「裏切りの序曲」はクリンゴンの植民星での独立紛争に惑星連邦が武器提供をしているという疑惑が出た為にクリンゴンの大使を乗せたエンタープライズが向かうが、休暇から戻って来たラ=フォージはロミュランに拉致されて洗脳されていてクリンゴンの紛争に絡んで来るという話。
クリンゴンとの交渉。ロミュランの陰謀。エンタープライズ内の裏切り者捜査とてんこ盛りの内容でおもしろかったのだけれど、一番はやっぱり突如ラ=フォージに殺されるオブライエン。
ラ=フォージの横でフギャ~となった顔で死んでいるオブライエンには笑ってしまった。
これはホログラムだったけれど、実際にラ=フォージがオブライエンに飲み物こぼすのって何だったのだろう?
ロミュランの前の指令が残っていたとかも特にないし、見ている側へのちょっとした緊張と笑いなんだろうか。
クリンゴンは何時でも怒っているし疑い深いのに、ちゃんと証拠を示すと大分すんなりと理解して引くのはおもしろい性格。
結局この回では大使が何でロミュランに加担していたのかの理由が分からず仕舞いで、この後に出て来るのだろうか。
一方のロミュランは余り表に出て来ずとも陰湿な陰謀で強烈にロミュランの印象を残せていて上手い。
ロミュランの艦内が緑や青やピンクの照明で、まるで「宇宙大作戦」の時の用で、そこでもおもしろかった部分。

25話「恋のセオリー」はデータに惚れた士官から恋愛というモノを理解しようとするデータの話と新たに訪れた星雲での謎に出会う話の二本立てで、データの話が主軸の回。
前回と次の回が緊張感のある話だからか、この回はほっこりした感じと笑いもある柔らかい話になっていて楽しく見れた。
結局人もアンドロイドも恋愛って難しいよね。特にアンドロイドだと。という話だけれど、この士官はデータに何を求めていたんだろう?と思ってしまった。
まあ、データってこうじゃんという話で、士官は結局は恋愛が終わった悲しさ寂しさで開いた穴をデータで埋めようとしたという話なのかしらん。
一方の星雲での話はデータの話の割合が多いので小さい話題位の内容で、それでも見せ場が少ないと思ったのか、何故かピカードが艦長自ら危険を冒してシャトルで先導して見せ場を作っていたけれど、ここ数話でピカードの脇役感が目立つ感じ。
データに助言する各人がそれぞれの性格を見せていておもしろかったのだけれどオチがピカードだったし。

26話「クリンゴン帝国の危機・前編」は、クリンゴンの総裁に決まったガウロンが総裁に就任する事となったが、かつて対立候補でウォーフに殺されたデュラスの姉妹ルーサとベトールがクリンゴン内で強い権力を持っているのでガウロンの権力は非常に不安定で、誰も信用出来ないガウロンはピカードを調停役に選び就任式を行おうとする。
そこにルーサとベトールがデュラスの息子を連れて来てガウロンの就任に待ったをかけた事でクリンゴン内を二分にする内戦へと発展。
しかし、ルーサとベトールにはロミュランが裏で協力していたという、これまでのクリンゴンの内情とウォーフのクリンゴンにおける立場と暗躍していたロミュランを一気に詰め込んだシーズン最終話。
シーズン3から始まった、シーズン最終話はクリフハンガーでのシーズンまたぎがシーズン3ではボーグで、シーズン4はクリンゴンとロミュランを絡めての展開。
揉め続けているクリンゴン内部の権力闘争に加えて暗躍するロミュランの今までの事情を更に発展させての展開なのでワクワク感がたまらない。
おもしろかったのは、今までクリンゴンはその名誉の無い汚いやり方もあってあれだけロミュランを嫌っていたのに、自分達が権力を取れればロミュランとも組むというクリンゴンがいるという部分。
内部の権力闘争だけでなくクリンゴンの深堀が楽しい。
一方のウォーフはあれだけ揉めて追放されて「名誉が~!」って言って引っ張っていたのに結構あっさりと名誉回復したのは肩透かし。
途中でキトマーの情報は皆に公開するとは言っていたけれど、そこら辺の描きが少ないので簡単に復帰してしまった印象。
ガウロンもこの情報を使えばデュラスの名誉を落とせて有利なはずなのに、そこら辺の駆け引きを全然描かないのも物足りない。
ウォーフはクリンゴンの血が騒いでエンタープライズを降りて、後々を知ってしまっていると「そういう展開ね。」にはなってしまうけれど、放送当時はTNGって結構各シーズンでのレギュラー降板があるので「ウォーフどうなるの?」だったのかしら?
まあ、これだけ話を展開させておいての「..To be continued」なので続けて見るしかないという事で、続けてシーズン5の「クリンゴン帝国の危機・後編」も見てみた。

シーズン4は全体の丁度真ん中になり、TNGのおもしろさが出て来た感じで非常に楽しめた。
カーデシアもしらっと初登場だし、クリンゴンやロミュランをドンドン深堀して行くし、各クルーも掘って行くしで世界が広がって行く感じが良い。
それにこのシーズンは結構後に繋がる様な展開や、これまでの展開を受けて、それを発展させた展開も増えて行き、段々と作り手側も慣れて来て大きな枠で作って行っていた感じもした。
 
 
関連:宇宙大作戦 シーズン123
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   新スタートレック シーズン2
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