イエロー・ハンカチーフ

2012年11月14日 水曜日

映画「幸福の黄色いハンカチ」を、ウィリアム・ハート主演でアメリカで2008年にリメイクした映画「イエロー・ハンカチーフ(The Yellow Handcarchief)」。

刑務所から出て来た男と若い男女二人が自動車で南に向かうロード・ムービー。

基本の流れは元の「幸福の黄色いハンカチ」と同じ感じではあるけれど、元の映画を知っている分もあり、話を薄めて切り取った様な薄味感しかない。
ただ、舞台はアメリカなので各登場人物や設定はアメリカン。高倉健だった主人公ブレッドは禿げ上がり、口髭を蓄えて、ハルク・ホーガン的な見た目のおっさん。だけれど、結構円らな瞳で可愛らしくも。渋さと言うよりはどうにもしょぼくれたおっさんという感じで、不器用ではあるけれど高倉健程の存在感は出て来ず、地味。この主人公は寡黙で不器用と高倉健と同じではあるけれど、演じるウィリアム・ハートが地味過ぎで余りに普通のおっさん過ぎて、全然前に出て来ない。
武田鉄矢だった青年ゴーディは、陽気で積極的ではあるけれど、どちらかと言うとギークっぽいヘタレ感があり、細い感じ。
桃井かおりだった少女マーティーンは、非常に普通な田舎町から出たがる少女。
若者二人もこの映画で見れば、演じるエディ・レッドメインクリステン・スチュワートは人物としては光るモノがあって良いけれど、どうしても武田鉄矢と桃井かおりという、強烈過ぎる個性で濃過ぎた二人と比べてしまうと地味に映ってしまう。
それにこの映画では南に向かう。日本では一面見渡す限りの畑となると、どうしても北の北海道になるけれど、アメリカではその印象は南部になってしまう。だから雰囲気が暑くジメッとした感じで全然違う。

「幸福の黄色いハンカチ」に出ていた桃井かおりも、モーテルの受付役というチョイ役で出ているのだけれど、原語は英語で喋り、吹き替え版では桃井かおり本人が日本語で吹き替えているの、この変な感じにクラッとして来る。

元の「幸福の黄色いハンカチ」が、1977年の日本という時代性と小汚さ、「不器用」がはまり「不器用」がお馴染みと化した高倉健で印象に強く残るけれど、それをアメリカに移しても高倉健はいないし、変なコントしまくる武田鉄矢もいないし、もっちゃりする桃井かおりもいないしで、非常に薄味。お笑い要素を排除し、物語的にも非常にまったり起伏は無く、至って普通なロード・ムービー。景色的にも響く感じも無く、何より主人公のおっさんが全然立って来ないので、面白味や引きが無い。
「幸福の黄色いハンカチ」のリメイクだから見たけれど、これが「幸福の黄色いハンカチ」と関係無い一つの映画なら、地味で至って普通の線を超えない映画。まさにアメリカの興行収入がそれを表していて、製作費1550万ドルの所、アメリカ国内の興行収入約32万ドルと大コケ。製作者も「HACHI 約束の犬」的な日本向けとして作ったのかしら?

☆☆★★★

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