幽幻道士4

2012年10月29日 月曜日

前作が訳の分からない、キョンシーなんてほとんど関係ないぶっ飛んだヒーローモノアクションになってしまい、一作目から二年経った1988年でもキョンシーブームは続いた様で、それでも続編は作られた「幽幻道士4(孩子王)」。

二作目、三作目と回を重ねる毎にドンドン脇役的扱いになっていったテンテンを一作目の様に主人公として中心に置き、彼女の出生から大人になったテンテンまで見せる話になっている。大人のテンテンとおじいさんが行方不明のキョンシー探しと、ついでにテンテンが赤ん坊の時に行方不明になった父親探しの旅に出る。…なんだけれど、それでも描かれるのは別行動の旅芸人の子供達の話が多いし、父親の話ばかりで、テンテンの話は全然せず、どうにもやっぱりテンテンは脇役的。
そして、前作からのキョンシーさえお座なりな扱いは今回もで、謎の命名フルメタルキョンシーが出て来るけれど、話的にキョンシーは全く必要としていないし、本当の敵は初めから魔王。その魔王は始まりからして、「愚か者め~!」と言いまくり暴れまくるバイキングっぽい格好をした半裸のおっさんで、やっぱりキョンシーは関係無い。
それに大人のテンテンは子供のテンテンと全然似ていないし、これまで出ていたけれど二作目から役者が変わっていたチビクロが一作目の子に戻り、三作目から急に登場したトンボと同じ旅芸人仲間で、テンテンは大人なのにチビクロとトンボは子供のままで、設定はパラレルワールド的でシリーズの整合性を謀ろうとしても無駄なので、クラクラして来る。
この子供達、登場させる必要性全く無いのに何でまた?と思っていたら、「幽幻道士」シリーズお馴染みの子供の特殊霊魂出す為に必要だったのかと終盤で分かり、この取って付けた感に辟易。一方で、意味も無く登場していたベビーキョンシーはほとんど忘れられた存在で、唐突にしか出て来ないし。

この映画での一番の驚きは、本物の虎をテンテンがビビりもせずに撫でていた事。虎が立ち上がった時は、彼女は一瞬明らかに怯えていたけど。何より合成で無く、本物の虎を触って撮影しているのも驚き。

役者陣はテンテンはもちろんおじいさん、これまでのデブ署長、一作目の親方からキョンシーに、三作目でムササビ道士だった黄仲裕も変わらず出演。

この吹き替え版、相当好き勝手にしていて、親方の吹き替えが原田伸郎で、途中で「赤とんぼの唄」を持ち出して来たり、他の人も適当な冗談を入れまくるので相当つまんなく白ける。

前作から最早キョンシー映画ではなく、魔法使いのヒーローアクション映画だったけれど、今回もそれ。そればっかり増幅。魔王とか、最強の魔法使いになってしまったテンテンとか、彼女の使う魔法とか意味不明。テンテンを主役に戻したはずなのにそれも始めだけで、中盤の旅芸人の子供達がどうのこうの、親方のインチキがどうのこうのばかりで、話のどうでもいい感が物凄い。「幽幻道士」が「霊幻道士」の亜流コメディだったのが、これ自体が最早「幽幻道士」の亜流コメディ。キョンシー映画の濫造じゃあなくて、「幽幻道士」の濫造作品的映画。これまでのシリーズを壊し、内容的にもシリーズ最低。

☆★★★★
 
 
関連:幽幻道士
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