ドラゴン・ウォーリアーズ

2010年05月24日 月曜日

テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)の本を読むと言う事で、「ベア・ダンジョン」に続いて次は「ドラゴン・ウォーリアーズ (Dragon Warriors) 創元推理文庫」の三巻を読んでみた。
 
 
0524 ©東京創元社
 
第一巻「ドラゴンの騎士(Dragon Warriors)」は、全身鎧、大仰なマント、紋章の入った盾を持った分かりやすい騎士と、首から何かの頭蓋骨下げて分かりやすい”野蛮”を出した、まるでコナンの様なバーバリアンが描かれた表紙が表している様に、戦士解説の巻。
おもしろいのがプレイヤーが扱えるのが「戦士」や「傭兵」じゃあなくて、「騎士」と「バーバリアン」だと言う事。「騎士」と「バーバリアン」に限定して、冒険に出なくてはならない背景を扱いやすくして、戦闘を主にという配慮かな?と。
戦闘は「命中判定→鎧貫通判定→ダメージ」とあっさりした流れ。でもダメージは、武器によって予め決まっている。そこら辺簡略化していて良いのだろうが、使うサイコロが四面、六面、八面、十面、二十面、百面と代用できるとはいえ多種過ぎる。正直にサイコロ買っていたら、サイコロだらけ。
一巻には「モンスター紹介」と「森に眠る王」というシナリオが入っている。

この一巻の題名「ドラゴンの騎士」は、シリーズの名前が「Dragon Warriors」なのに、その一巻目が「Dragon Warriors」なんてややこしい気がするけど…。
 
 
二巻目「魔法使いへの道(The Way of Wizardry)」はその名の通り「魔術師(ソーサラー)」と「霊能者(ミスティック)」の特殊能力者解説の巻。
おもしろいのは、魔術師は魔力ポイントがあって呪文を唱える度に減って行くが、霊能者は精神消耗判定があり、それに失敗するとその日一日呪文が使えなくなるというシステム。言い換えれば、運が良ければ好きなだけ呪文が使えるという事。
二巻目には、呪文表と、「霧に映る影」、「狩猟月」の二つのシナリオ入り。

この二巻目の表紙には違和感がある。魔術師の顔が怖い。見た目が悪人。被っている防具が何だかマグニートのヘルメットみたい。後ろのトンスラの魔術師が前の魔術師を背後から剣で狙っている様に見える。のから来るんだろうけれども。
 
 
冒険者が後ろ向いてる、何故この戦闘場面を表紙に持ってきたのだと感じる微妙な選出の表紙の第三巻「エルフのクリスタル(The Elven Crystals)」はシナリオ集。「絞首台の森」、「恐怖の城」、「難破船の島」、「暗い丘」の四つ。特に「絞首台の森」がそうなんだけれど、他の巻のシナリオも何だかゲームブック的。各部屋や場所で、これからの為のアイテムを手に入れたり、全然関係無いイベントが起こったりと、「絞首台の森」は「運命の森」ぽかった。で、二巻のあとがき見て驚いたのは、この「ドラゴン・ウォーリアーズ」の背景世界「レジェンド」と同じ世界でゲームブックをしているのが、「吸血鬼の洞窟」や「シャドー砦の魔王」等のゴールデン・ドラゴン・ファンタジイシリーズと「ブラッド・ソード」シリーズだった事。意外とシリーズとしては多種。そのシリーズのゲームブックもしなくちゃ!と思いつつも、この「ドラゴン・ウォーリアーズ」シリーズでは背景世界の説明が余り無いんだよなぁ…。原書では六巻まで出ているのだけれど、翻訳は三巻のみ。一番気になる背景世界の説明は最後の六巻でしているものだから…。TRPGを読み物として楽しむのは、この様々な背景を見る事なんだけどなぁ。

この三巻、エルフの魔術師が残した三つに割れたクリスタルを探す話なのだけれど、二巻のあとがきだと「The Eleven Crystals」になっていて、クリスタル粉々。
 
 
本編よりもと言ったらおかしいかもしれないが、あとがきの補足部分が結構しっかりしている。中世ヨーロッパの実際の「騎士」や「バーバリアン」の文化的背景の解説や、分かり難いアイテムの解説をしている。そこまで読者補足があるなら、このシリーズ最後まで出して欲しかったと、はや二十年近く前の事に注文をしてみたり。

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