スーパーマンII 冒険篇
2022年06月22日 水曜日リチャード・レスター監督、クリストファー・リーヴ主演の1980年の映画「スーパーマンII 冒険篇(Superman II)」
シリーズ二作目。
エッフェル塔で水爆を持ったテロリストが占拠していたがスーパーマンが現れて宇宙空間で水爆を爆発させた。
その付近にはクリプトン星が消滅する前に反乱を起こして逮捕されファントム・ゾーンに幽閉されたゾッド将軍とアーサとノンの三名のクリプトン人が宇宙空間を漂っており、水爆爆発の衝撃でファントム・ゾーンから脱出。
三人は地球に降り立ち、太陽系の太陽の下では特殊な力を発揮出来る事を知り、地球を自分達の支配下に置こうとしていた。
その中スーパーマンはロイス・レーンに彼女への自分の気持ちと正体を明かし、ロイス・レーンと一緒になる為に特殊な力を取り除いて普通の人間になろうとしていた。
一作目に続けて見てみたけれど、一作目がスーパーマンの誕生や犯罪との戦いやクラーク・ケントとスーパーマンの二重生活やロイス・レーンとの恋愛等が上手く混ぜ込まれて非常におもしろい映画だったという事もあったけれど、その続編のこの二作目は期待して見たので期待値が高まり過ぎていたのか、見ていても色々入れている割に間延びしていて余りおもしろくはなかった。
初めから一作目の総集編を入れて分かりやすくしていたけれど、一作目から続けて見ているので既に知っている事で長いしで結構飽きてしまった。
そこからパリを舞台に水爆を持ったテロリストの話になるのだけれど、何故フランス人に英語を話させてまでわざわざパリを舞台にする必要性が分からず、しかも小悪党感しかない犯罪者が水爆持っているのも訳が分からず、このパリ編は緊張感も無いままダラッと進み、結局ゾッド将軍一味を復活させる為の説明だと分かったけれど、それでも掴みの見せ場としても弱いし、復活の為の説明としてもパリの理由も分からず。
ゾッド一味の復活でスーパーマンとの対決を待ち望みながら見ていたのに、その後はクラーク・ケントとロイス・レーンの恋愛話になってしまい、これがおもしろければいいのだけれど一作目程のおもしろさがなかった。
一作目はスーパーマンに夢中のロイス・レーンはクラーク・ケントには興味が無いという対比がおもしろかったのに、今作ではまだ二作目なのにクラーク・ケントが正体を明かして早くも二人がくっついてしまって、クラーク・ケントとスーパーマンの対比は無くなってしまった。
二部作で終了予定だったらその展開も分かるけれど、まだまだ続けるつもりで二作目で正体を明かすって色々出来るのに勿体無いなぁ…と思ってしまい、しかし結局ロイス・レーンの記憶を消しましたという結末にするのだったらこの映画の展開要らなくなかった?とも思ってしまったし。
やっとゾッド一味が動き出すも田舎の小さな町を襲って我が物顔なので結構しょっぱく、終盤でやっとメトロポリスでのスーパーマンとの対決になって、そこは結構おもしろかったけれど、そこまでが集中力が続かなかった。
ゾッド一味は幽閉から脱出して行き成り超人的な力を手に入れ、目からビームを出したり、テレキネシス的な力を使えているのに大して驚いていないのは謎だし、クリプトン人が何で英語を喋っているのかも全くの謎で、ゾッドの極端な支配欲や権力欲も特に説明されないので結構置いてけ堀だった。
メトロポリスでの戦いは空中戦はいまいちだったけれど、地上での戦いは結構おもしろく、ここをもっと見たかった。
スーパーマンとノンが地面下で戦っていて、その揺れで地上の市民がよろけている場面や、ゾッド一味が大風を作り出して人や物が吹っ飛んで行く場面が変に長くて、折角の戦いの合間に戦いを見せない腰を折る様な演出をしていて、見たいのは肉弾戦であってそんな事じゃないのに…と残念だった。
それに良くないと思ったのは、一作目ではスーパーマンが目からビームのヒートビジョンを見せていないのに先にゾッド一味がやってしまったり、ゾッド一味の突然のテレポートをした後にスーパーマンもテレポートをしたりと、何故かスーパーマンの方が後手で特殊能力を見せていた事。
先にスーパーマンが持って使っていた力と同じ力をゾッド一味も発揮出来る様になっているという展開じゃないと意味無くない?
一番好きじゃないのは簡単にロイス・レーンの記憶を消してしまった事。
一作目でも死んでしまったロイス・レーンをスーパーマンが地球の自転を逆回転させて生き返らすという無茶苦茶な事をしていたけれど、今作でもキスしたらロイス・レーンの記憶が消えました…とか酷いよなぁ。
死んだ人は取り戻せない、正体を打ち明けた事の責任とかをスーパーマンが背負いながら生きて行くなら人間ドラマとしても納得出来るけれど、自分の気持ちを抑えられず正体を打ち明けたら何だか面倒臭い事になったので無かった事にしました…って、ドラマとしてはもうどうでもよくなってしまった。
一作目に続き、オープニング・クレジットで主役のクリストファー・リーヴよりも先に表記されていてクリストファー・リーヴ可哀そうと思ってしまったジーン・ハックマン演じるレックス・ルーサーが今回も出ていたけれど、今回レックス・ルーサーは要らないと言えば要らない役回りで、続編だしジーン・ハックマンも配役してしまっているしという感じのレックス・ルーサーの扱い。
一番最後にレックス・ルーサーが機転を利かせて装置を反転させてチェンバーの外に光線を出す様にしたとかだったら役が生きて来たと思ったのに、レックス・ルーサーの活躍も見せ場もほぼ無し。
この最後のゾッド一味を人間にした方法って、スーパーマンがこんな事仕掛けていましたよが全く無いので突然だし都合が良過ぎるだけで意味不明だった。
クリストファー・リーヴは相変わらずクラーク・ケントもスーパーマンも良いのだけれど、一方ヒロインのロイス・レーン役のマーゴット・キダーが物凄く痩せていて、一作目では魅力的に見えたのに今作では見ていても痩せぎす過ぎて大丈夫?と思える位魅力が全然無く、何でこんなにやせてしまったのだろう?と疑問。
この映画、一作目が非常に良かった分だけおもしろくなりそうな要素はあるのに、散漫になって見終わると何だかよく分からないボヤっとした感じに思ってしまった。
製作段階では前作の監督リチャード・ドナーが監督していて、実際に撮影も行なっていたのに、ワーナー・ブラザースやプロデューサーと上手く行かずに降板してリチャード・レスターが引き継いだらしく、出来上がった映画を見てがっかりしたリチャード・ドナーはクレジットに名前を乗せなかったらしいから、やっぱり後から相当変に手を入れた分だけよく分からない感じになってしまったのかなぁ。
その後2006年になって、リチャード・ドナーの思い描いていた本来の映画にする為に使われなかったシーン等も含めて再編集された「スーパーマンII リチャード・ドナーCUT版」が公開されたけれど、「スーパーマンII」とは大分内容が違うみたいなので見てみたい。
ただ、「スーパーマンII リチャード・ドナーCUT版」は配信はU-NEXTだけみたいなんだよなぁ。
U-NEXTは契約していないからなぁ。
それにしても、一作目の「スーパーマン」の次って「スーパーマンII」と「スーパーマンII リチャード・ドナーCUT版」があり、その次は「スーパーマンIII/電子の要塞」だけれど、2006年になって「スーパーマンII」の続編として作られた「スーパーマン リターンズ」もあって、このシリーズの後からの並行世界化って変わったシリーズではある。
☆☆★★★
関連:スーパーマン(1978年)
スーパーマンIII/電子の要塞
スーパーマンIV/最強の敵
スーパーマン リターンズ
マン・オブ・スティール