ロボコップ(2014年)

2022年05月29日 日曜日

ジョゼ・パジーリャ監督、ジョエル・キナマン主演の2014年のアメリカ映画「ロボコップ(RoboCop)」
1987年の映画「ロボコップ」のリメイク映画。

オムニコープ社が開発した軍事用ロボットは世界中で配備されていたがアメリカ国内では法律で規制されており、オムニコープ社はアメリカ国内でのロボット導入の為に世論を動かそうと人間と機械を融合させたロボコップを作り出そうとしていた。
デトロイトの刑事アレックス・マーフィは追っていた犯罪者から自動車に仕掛けられた爆弾によって瀕死状態となり、妻の願いでオムニコープ社によってサイボーグ化された。
目覚めたアレックス・マーフィはほぼ機械化された自分の体とプログラムされた意思に戸惑いながらもロボコップとしてデトロイトに配備された。

1987年からのロボコップシリーズ三作を見たので、続けてこのリメイク版「ロボコップ」を見てみたけれど、確かに2014年に真面目にロボコップをしたらこうなるんだろうとは思うけれど、かつてのロボコップ、特に一作目の「ロボコップ」にあった良し悪しのどちらも抜いてしまった様な味気無さばかりを感じてしまっていまいちおもしろくはなかった。

一作目の「ロボコップ」は犯罪者にグチャグチャに撃ち殺されたマーフィがロボコップとして復活し、徐々にかつての自分を思い出しながら人間性を取り戻して行くハードボイルドな話が当時の時代性やロボコップの造形や監督のポール・バーホーベンの悪趣味と悪乗りが見事に混じり合って非常におもしろい映画になっていた。
この「ロボコップ」ではそこら辺は無く、真面目にロボコップとして生き返った男を描き、そこに企業の思惑を描いた話で、2014年のリメイクとしてはこうならざるを得ないんだろうけれど常に地味な話が淡々と進んで退屈ではないけれど弾ける感じがないので物足りなさを感じてしまった。
ロボコップになったマーフィをじっくりと描いてはいるけれど結構説明不足でもあり、完全にプログラムで制御されていたはずのマーフィがプログラムを超える事が何度かあったのだけれど、その理由を詳しく描かない、見せないので急にロボコップがマーフィの自由意志で動く感じで見ていても「?」だったし。

それに、終盤になると急に乗りが変わるのもしっくり来なかった。
それまではオムニコープは大企業の戦略としてはそんなモノかと納得はしながら見れてはいたけれど、終盤になって急にオムニコープを悪者に振って、社長を撃ち殺して終わり…って、何それ?になってしまった。

マーフィが主人公であるものの、以前の「ロボコップ2」「ロボコップ3」でも感じたオムニが話の中心でロボコップの脇役感が強いのもいまいちな部分。
特に役者が主人公のマーフィ役のジョエル・キナマンがいまいち弱く、それはオムニコープの社長役がマイケル・キートン
デネット・ノートン博士役がゲイリー・オールドマン
テレビ番組のホスト役がサミュエル・L・ジャクソンと脇役が濃過ぎで、相対的にマーフィが薄く感じられてしまった事もあると思う。

今回のロボコップの見た目もいまいち。
ピーター・ウェラーのロボコップはマスクを取ると人間の顔に機械が埋め込んである様なデザインだったけれど、このロボコップはマーフィの体は脳と顔と肺と右手位しか残ってはいないのに顔や頭を装甲で覆ってしまっているので普段の見た目は人間がボディスーツを着ているだけにしか見えず、マスクを被るとコスチュームを着けた人間のヒーローと変わらないのでロボット感が薄かった。
それにわざわざ全身を黒色にする必要ってあったのかしらん?
全身黒色でマスクの目の部分が赤色って、見た目は悪者だし、デザインも敵側の量産型兵士っぽくてロボコップ感も主人公感も感じなかった。
更にこの黒色ロボコップがバイクで移動するのだからダークナイトトリロジーのバットマンに影響され過ぎ。

まだアクションがおもしろければいいけれど、アクションも微妙。
銃撃戦の見せ方や編集が上手い様には思えず、ロボコップが何処の敵に向かって撃っていて、どの敵を倒しているのかが分かり難い。
しかもロボコップは黒いので動きも分かり難い。
一番いけないと思ったのは、ロボコップと言えば太ももから銃が出て来るのを見たいのに、このロボコップは現れると何時の間にか両手に銃を持って撃っている状態から始まるので太ももからの銃の取り出しが楽しめない事。

過去のシリーズでの有名台詞「Thank You for Your Cooperation.」や「Dead or alive you’re coming with me.」を出してはいるけれど、本当に過去のファンを喜ばせる為だけに入れ込んだ感じで、この台詞が全然印象に残らず流れてしまう様な使い方で台無し。
全体的にこれまでのロボコップで見せて来た見たい見せ場を全てすかしている感じで、意図的なのか、それとも監督がロボコップを大して興味が無かったからなのか、わたしが思うロボコップのつぼを外しまくり。

この映画、「ロボコップ」を2014年にリメイクしたらこうなるんだろうなぁとは思うけれど、余りに真面目過ぎ。
ロボコップに求める旧三作の良くも悪くもな悪乗りや魅せる銃撃戦等が無く、この映画だけの映画なら、まあこういう感じかでそれなりではあるけれど、「ロボコップ」となるとこれまでの「ロボコップ」があるのにこれではロボコップとしては物足りなさ過ぎだった。

☆☆★★★
 
 
関連:ロボコップ
   ロボコップ2
   ロボコップ3

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