ロボコップ2

2022年05月26日 木曜日

アーヴィン・カーシュナー監督、ピーター・ウェラー主演の1990年のアメリカ映画「ロボコップ2(RoboCop 2)」
シリーズ二作目。

デトロイト市のオムニ社に対する借金がかさみ、オムニ社がデトロイト市の支配権を狙っていた。
デトロイト市警がストライキを行った為に町中は犯罪が溢れてしまい、オムニ社は新たなロボコップ2号を開発していたが失敗が続いており、オムニ社が雇った心理学者から新たなロボコップ製造に犯罪者の脳を使う事が提案され、ロボコップが追っていた麻薬「ヌーク」を牛耳る犯罪者ケインの脳が使われる事となった。

一作目の「ロボコップ」に続けて見てみたけれど、一作目が非常に良かった分なのか、この二作目は出来がいまいちよくなかった。

一作目がロボコップの誕生と元の人間性を取り戻す哀しい物語で非常に良く出来た映画だったのに、この続編は結局何処を目指して何を見せたいのかがよく分からず。
序盤でアレックス・マーフィの妻が出て来て最早自分はロボコップだと言う哀しい場面はあったり、プログラミングされ直されて変なロボコップになってしまうという、やはりマシンなロボコップを描いたりもしているのだけれど、中盤以降はオムニ社とロボコップ2の話ばかりになり、結局ロボコップがロボコップ2を倒してお終いというだけで終わって、ロボコップの話としては非常にお座なり。
一作目はずっとロボコップを描き、ED-209を破壊して、黒幕を倒して、「マーフィだ」で自分を取り戻したという上手い幕切れだったのに、今回は終盤はほとんどオムニ社側の話ばかりでロボコップはほぼ何も描かれず「我慢我慢」で終わりって何じゃそりゃ?

この映画はあちこちお座なりだったりするけれど一番よく分からないのが心理学者のジュリエット・ファックス。
薬中の犯罪者を使えばロボコップ2がああなるのは分かり切っているのに、どうしてそこまで犯罪者にこだわっていたのか不明。
全然背景が描かれないのでこの人物はただ頭のおかしい人でしなかった。

そう言えば、一作目の最後で相棒のアン・ルイスが撃たれて死んでしまったと思っていたのだけれど、この続編では普通にいて、一作目のその後は何も触れられていなかったのも気になった。

脚本にフランク・ミラーが入っているのに何でこんなに話が散らばっていて、ロボコップなのにロボコップが全然描かれない退屈な話になっているのだろう?と思ったら、フランク・ミラーの初稿は企業ファシズムに重点が置かれいてフランク・ミラー的なハードボイルドになっていたらしく、それにオライオン・ピクチャーズが難色を示してウォロン・グリーンに書き直させたらしく、フランク・ミラーの本来の脚本とは大分違った物になったらしく、更に元々監督だったティム・ハンターが撮影開始の近くで降板し、引き継いだアーヴィン・カーシュナーとフランク・ミラーが撮影中まで脚本を直していたらしく、更にオライオン・ピクチャーズの意見が強くてアーヴィン・カーシュナーやフランク・ミラーや俳優の意見を反対してロボコップはモンスター位で十分としか思っていなかったらしいのでこの様な出来になったらしい。
フランク・ミラーはこの脚本は結構悪く言っているみたいで、2003~2006年に元々の「ロボコップ2」の脚本と「ロボコップ3」用のアイデアを使って「Frank Miller’s RoboCop」のアメコミを出版しているから、よっぽどの不満が残っていたんだと思う。

それと気になったのはロボコップが青くなった事。
銀色というか金属そのままな感じの一作目のロボコップの方が良かった。
青色が結構まだらになっていたし。

映像では、フィル・ティペット率いるティペット・スタジオのストップモーションアニメーションは良い。
ロボコップ対ロボコップ2の場面はおもしろいよなぁ。
ただロボコップ2が上半身がデカくて短足な感じなので、一作目のED-209程の印象は残らなかった。

アクションだと、ロボコップが目で敵を補足しないまま、あちらを向いたまま銃を撃つ場面があったけれど、これが中々良いのと、映画「リベリオン」のガン=カタを思い出してしまった。

役者は、一作目もそうだったけれど犯罪者のボス役は今回もはげたおじさんなのは何でなんだろう?
オムニ社の会長を再びダン・オハーリーが演じていたけれど、前回は悪役というよりは部下を分かっていない無能な上司の感じだったのに、今回は欲剥き出しの悪い黒幕になっていたのがちょっと違和感はあった。

この映画、一作目のおもしろさがあった分だけ悪い所が多々目につき、しかも全編で間延びしていて結構退屈してしまった。
二作目でこれだけ落ちてしまうとはなぁ…。
オライオン・ピクチャーズが目先の金もうけに走り過ぎて公開を急ぎ過ぎたんだと思うけれど、もっと時間をかけて練っていれば全然良い映画になっていただろうに…と悔やまれる続編。

☆☆★★★
 
 
関連:ロボコップ
   ロボコップ3
   ロボコップ(2014年)

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