ロボコップ3

2022年05月28日 土曜日

フレッド・デッカー監督・脚本、ロバート・ジョン・バーク主演の1993年のアメリカ映画「ロボコップ3(RoboCop 3)」
シリーズ三作目。

オムニ社はデトロイトでの新たな都市開発の為に特殊部隊リハッブを使って住民達を強制的に退去させ、逃げ出した住民達を殺していた。
ロボコップとアン・ルイスは捜査の途中で住民達を攻撃しようとしていたリハッブと出会い、二人は邪魔をしている見なされ攻撃されてアン・ルイスは死亡。
動作がおかしくなったロボコップは住民に連れられてレジスタンスに加わる事になった。

一作目二作目と続けて見たけれど、三作目はロボコップは最早脇役で何の映画なのか分からなくなってしまっていて大分つまらなかった。

一作目は警官マーフィの死からロボコップとなって復活し、徐々に人間性を取り戻して行くハードボイルドな話で非常に出来が良かったのに、二作目でも既に話はオムニ社の方が中心になってロボコップの話が少なくなり、散漫で退屈だったけれど、この三作目は話はオムニ社と戦う住民レジスタンスがほとんどで、ロボコップはレジスタンスを助けてくれる脇役程の扱いになり、主役が誰なのか分からなくなってしまっている。

そのロボコップ以外の話も、リハッブはやりたい放題でどれだけ人を殺しているんだ?なのに何も問題無く進んでいたり、シリーズお馴染みのオムニ社はやたらと犯罪者を使って権力や治安を守ろうとする馬鹿さ加減だし、そのオムニ社は買収されて親会社となったカネミツ・コーポレーションからアンドロイドのオートモを導入したり、何でここまで馬鹿さ満開のオムニ社が権力を握れているのかがさっぱり分からない。

これまでのロボコップの相棒だったアン・ルイスは序盤で行き成り死亡してしまったのだけれど、相棒の死を使ってロボコップの何かを描くなら分かるけれど、それもほとんどなく、シリーズを通しての相棒のこの死の意味って何?
モーフィングを使った映像でアレックス・マーフィの妻の顔からアン・ルイスの顔になり、そこからマリー・ラザラス博士の顔になるのもいまいち意味が分からなかった。
妻をアレックス・マーフィが愛していたのはこれまでも描かれていたけれど、アン・ルイスは相棒以上のモノは描かれていないし、そもそも相棒としてのやり取りや想いもほとんど描かれてなかったし、マリー・ラザラス博士に対する感情もマーフィは好きだったって言う事なの?
それも描かれていないのでよく分からず。
アン・ルイス自体もシリーズ三作通して出てはいたけれど、マーフィとの関係も薄かったしで、この死亡でもそれ程の哀しみが無かったし。
アン・ルイスを演じていたナンシー・アレンが早い段階で撮影から抜けた感じしかしなかった。

この三作目でのロボコップは左手をライフルやロケットランチャーに付け替えたり、バックパックを装備して空を飛んだりしたのはおもしろかった。
最終作でのパワーアップは流れ的にもそうだろうなぁ。
それに二作目でロボコップの色がやたらと青味がかっていたけれど、そこから一作目の様な銀色と言うか、金属色に戻したのは好判断。

一方で敵が全然駄目。
ロボコップと言えば、一作目のED-209は造形が抜群で、だけれどポンコツだったり、二作目のロボコップ2はまあそれなりではあったけれど、今作の敵オートモは見た目は人間のアンドロイドで、これまでのごつい機械感溢れた兵器に比べたら異質過ぎだし造形的なおもしろさが全く無かった。
それにこのオートモ、終始不気味な雰囲気だけは溢れているのにロボコップと戦うと弱過ぎで直ぐに破壊されてしまいロボコップとの対決がまあしょうもない。
そもそもロボコップの攻撃は銃が基本なのにオートモは銃を使わず刀で攻撃って、初めからロボコップに勝てる気が全くしないんだけれど。
しかも、最後のオートモには何故か自爆用の核爆弾が装備されており、リハッブの隊長が側に自分がいるのに核爆弾を起動させているという訳の分からない装備と行動をして無茶苦茶過ぎる。

役者は、直ぐに退場してしまったアン・ルイス役のナンシー・アレンと、ウォーレン・リード巡査部長役のロバート・ドクィと、オムニ社の副社長のドナルド・ジョンソン役のフェルトン・ペリーがシリーズ三作に登場しているお馴染みの面々だったけれど、フェルトン・ペリーは一作目と比べると凄く老けている印象だった。
この映画を見ていて、序盤でロボコップが出て来た時に「あれ?声が何か違う…?」と思って調べたら、一作目、二作目のピーター・ウェラーではなかったとは気付かず驚いた。
ロボコップがヘルメットを取って役者が顔を出しても結構ピーター・ウェラーっぽい顔で、ロバート・ジョン・バークがピーター・ウェラーと似てなくもない気はするけれど特殊メイクでピーター・ウェラーに似せたのかな?

脚本には二作目に続きフランク・ミラーが入っているけれど、二作目ではフランク・ミラーが書いた元々の脚本からは大きく違っていて思う様な出来にはならなかったはずなのに、フランク・ミラーが戻って来たのは非常に不思議。
二作目で出来なかった事を三作目でやろうとしたのだとは思うけれど、やっぱりこの三作目でも同じく大幅に変更されたらしく、結局フランク・ミラーはこれで映画界から遠退いてしまったらしい。
ハリウッド映画って相当面倒臭そうだし、シリーズを製作していたオライオン・ピクチャーズって1992年には破産しているんだよなぁ。

この映画、シリーズ三作目の最終作でロボコップをガジェット的に発展さたのは良かったと思うけれど、それ以外が本当に駄目駄目。
ロボコップの哀しみは何処かに置いて来てしまい、誰が主人公で何を見せたいのか何だかよく分からない話に、ロボコップと敵との戦いもつまらないという、見たいロボコップが無い映画になってしまって、これじゃあシリーズ終わってしまうよな…な映画だった。

☆★★★★
 
 
関連:ロボコップ
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