ミッション:インポッシブル3

2018年09月26日 水曜日

J・J・エイブラムス監督・脚本、トム・クルーズ製作・主演の2006年のアメリカ映画「ミッション:インポッシブル3(Mission: Impossible III)」。

IMFの現場諜報員から引退し、教育官になっていたイーサン・ハントはジュリア・ミードと結婚する事になっていた。
そこへIMFからの要請で、イーサン・ハントが育てた諜報員からの連絡が途絶え拉致されたのでイーサン・ハントに救出して欲しいという作戦に出る事となった。
イーサン・ハントは諜報員を救い出すが死亡させてしまい、諜報員を拉致して殺したブラックマーケットの商人デイヴィアンを追う事になった。
デイヴィアンはラビットフットという物を売り出そうとしてバチカン市国に現れる情報を掴み、イーサン・ハントはチームと共にバチカン市国に潜入する。

ミッション:インポッシブルの映画シリーズって、一作目の「ミッション:インポッシブル」の時点で元々のテレビドラマ「スパイ大作戦」の主人公だったジム・フェルプスを悪者にして殺してしまうという時点で最低の映画だったし、内容的にもつまらない映画だったにも関わらず、トム・クルーズがプロデュースした為なのか、その後もシリーズ化され、二作目の「ミッション:インポッシブル2」がほぼトム・クルーズのプロモーション・ビデオと揶揄される様な出来だったにも関わらずのこの三作目が製作。

わたしはこの映画は確か映画館で見た覚えがあるけれど内容をさっぱり覚えておらず、改めて見ても印象に残らない、まさに記憶に残らない映画を作らせたら今や右に並ぶ者無し監督のJ・J・エイブラムス映画だった。

もう、ミッション:インポッシブルの映画シリーズはテレビドラマの「スパイ大作戦」の特徴だった、それぞれ特殊技能を持ったメンバーが悪い奴を騙して罠にかけて事件を解決するというおもしろさや楽しを放棄して単なるトム・クルーズのアクション映画になってしまっているので、「スパイ大作戦」的なモノが無い!と怒るのは違うのだろうけれど、それにしてもこの映画では敵を騙すのは初めだけで、以降は潜入モノでもないアクション映画でしかないのがつまらない。
この映画って、イーサン・ハントのチームが敵を騙す回数より、敵がイーサン・ハント達を騙す、裏をかく回数の方が多くなかったか?

それに展開が同じ事ばかり繰り返しているのもつまらない。
何処かに派手に潜入するか、イーサン・ハントが逃げ出すかの展開ばかり。
時間ギリギリで難を逃れるか逃れないかを何度も繰り返すし、形を変えて同じ事をしているだけ。
一方であれだけ時間をかけて様々な難所を掻い潜ってバチカン市国への潜入を見せているのに、デイヴィアンを連れてバチカン市国から出る所の脱出方法は一切見せないので、潜入が馬鹿みたいに思えて来るし、帰りの省き具合の都合の良さったらない。

加えて流石のJ・J・エイブラムス脚本だけあって、話もよく分からない部分が多数。
デイヴィアンはラビットフットの情報だけを売ろうとしていて現物は他人が持っている?
高い値段で情報を買った人はラビットフットは盗み出さないと手に入らない?
だからイーサン・ハントに盗み出させて手間を省いた?
デイヴィアンがアメリカに到着してから速攻で大規模な略奪作戦をすれば、アメリカのあらゆる組織がデイヴィアンを追うはめになるのに全くそこは気にせず?
イーサン・ハントの目の前で妻を殺した風の嘘はデイヴィアンの悪趣味なだけ?
デイヴィアンが妻を殺さなかった理由は?
なのにその後直ぐにデイヴィアンは妻を殺しに行っているのは?

あと、構成も不味過ぎ。
映画の始まりでイーサン・ハントが捕まっている場面を見せてしまっているので、どれだけイーサン・ハント達が活躍してもデイヴィアンが逃げ出すのは分かった事だし、イーサン・ハントの目の前でジュリア・ミードを殺されて終わりになる訳にはならないので、殺されたと思ったジュリア・ミードが別人なのは分かってしまうし、早めにローレンス・フィッシュバーンが裏切者だと出しておきながら、そっちに話を全然振らずに上司がやたらと協力的な時点で怪しい奴が本当は真面目な奴で一番協力的な奴が本当は裏切者だと分かってしまうという、あらゆるどんでん返しが見え透いてしまっている。

更にJ・J・エイブラムスの映像的特徴であるレンズフレアの多用に加え、アクション場面でもカメラをブレさせたり、細かく動かすので、まあ見難い事この上ない。

この三作目は、Rotten Tomatoesでも評価の低い一作目や二作目よりも興行収入が低く、ミッション:インポッシブルの映画シリーズの中でも最低の興行収入とは知らなかった。
なのに、シリーズは続いたし、何故かJ・J・エイブラムスを更に調子乗らせてしまい、スター・トレックシリーズやスター・ウォーズシリーズを駄作化させて行ったという意味でも業の深い映画だよなぁ。

この映画、以前見た時は結構おもしろかった記憶があるのに、改めて見るとJ・J・エイブラムスの悪い所満載の見た目は派手だけれど中身スッカスカの直ぐに忘れてしまう何時ものJ・J・エイブラムス映画。
駄作とよく言われる「ミッション:インポッシブル2」と並び劣る出来じゃあない?

☆★★★★
 
 
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