ナイトライダー

2016年04月07日 木曜日

NBCで1982年から1986年まで4シーズン全84話放送された連続テレビドラマ「ナイトライダー(Knight Rider)」。
NHK BSでシーズン1が、何故か毎週二話連続で放送されたので見てみた。

産業スパイを追い駆けていた刑事のマイケル・ロングは犯人を追い詰めたが銃で顔を撃たれてしまう。重体だったがウィルトン・ナイトという富豪に助けられ、撃たれた顔も別人へと整形。ウィルトン・ナイトは病気で死んでしまうが、ウィルトン・ナイトが開発していた人工知能K.I.T.T.を搭載したスーパーカー、ナイト2000を譲り受け、ウィルトン・ナイトの犯罪を許さないという意志を受け継ぎ、マイケル・ナイトとしてナイト2000に乗り犯罪と戦い始める。

「ナイトライダー」は子供の頃にテレビで放送していたのを見ていたけれど、「ナイト2000カッコ良い!」という位の記憶しかなく、改めて見てみると「そうだったのか…。」の部分も多く楽しい。

このドラマが、常に暴走気味なプレイボーイのマイケル・ナイトと、そのマイケル・ナイトに慎重さと自制を求めながらも応援するK.I.T.T.という、正にバディモノ。
特に若くて行動派のマイケルと感情の無い理性的なK.I.T.T.って、「スタートレック」のジェームズ・T・カークとスポックのコンビの様。
その二人が冗談言ってじゃれ合って事件を解決して行くという展開で、「ああこうだったけ?」とほぼ初見に近い感じで見れた。

毎回の事件自体は、マイケルが聞き込みして、危なくなったらナイト2000が牢屋をぶち破ってしまったりと助けてとかで、大しておもしろくはないけれど、マイケルとK.I.T.T.のやり取りがおもしろいので見ていられる。
ただ、事件の方が色々展開すると二人のやり取りが少なくなるし、逆に二人の漫才が多いと事件はどうでもいい感じのおもしろい展開はないしで、ドラマとしては今見ると結構微妙。

特に初回は意外というか、何じゃそりゃな事が一杯だった。
マイケルと呼ばれている人物が出て来るけれど、主人公のマイケルと同じ名前で声も佐々木功なのにも関わらず、知っているマイケルのデビッド・ハッセルホフじゃあないので「あれ?」
見て行くと、顔を撃たれてしまい、そこから顔を整形してデビッド・ハッセルホフになる展開で驚き。ドラマの設定上、全く身元が分からずに自由に行動出来るからの展開だと思うけれど、別にそこまでする必要も無いのに…と思える大胆さ。

それからナイト2000の誕生とナイト財団をマイケルが引き継ぐ事になるのだけれど、そこら辺の説明がほとんど無い、お座なりなまま話が進んでしまうのも意外。
どうして財団を設立したウィルトン・ナイトは犯罪を憎み、その犯罪と戦う為に何で人工知能を搭載したナイト2000を作ろうと考えたのか?とか、どういった経緯で刑事だったマイケル・ロングとウィルトン・ナイトが知り合い、何を見てウィルトン・ナイトはマイケル・ロングに自分の意志やナイト2000を受け継がせたのか?、デボン・マイルズはナイト財団の責任者っぽいけれど、科学者と言われていたので彼がK.I.T.T.を作ったのかと思ったら、どうやらウィルトン・ナイトがK.I.T.T.を作ったらしいけれど、そこら辺は一切描かれないとか、突然2話目から登場して皆と既に仲が良い感じの整備士でナイト2000開発にも関わっているらしいボニー・バーストウって「♪お前~誰だよ!」だし、描いて説明してもらわないと全然分からない部分はほったらかされており、見ていても「それ何で…?」状態で視聴者置いてけ堀。

そもそも毎回ナイト財団に誰かの個人的な依頼が来て、それをマイケルが解決しに行くのだけれど、ナイト財団ってお困り電話相談室みたいなのがあって、全米中で困り人を募集しているのかと思う位の情報網があるみたいなのに、何で毎回事件がナイト財団に持ち込まれているのかも不明。
創設者のウィルトン・ナイトの意志とは言え、ナイト財団が無償で個人的な小さい問題を解決して行って、それで財団はダイジョブなの?と思うし、そもそもナイト財団は何をしている財団なの?というのも分からないまま。

ここら辺はシーズンを通して徐々に描いて行くのかと思いきや、ほぼ描く事も無く、終盤に来てマイケル・ロング時代に付き合っていた女性とマイケルの話が出て来る位。
色々と気になる事があるのに、それは黙って見ていろ!というやり方は昔のドラマだからなんだろうなぁ。

一方で8話「激闘!善と悪2台のナイト2000」ではナイト2000のプロトタイプとそれに搭載されたK.A.R.R.が登場。まだ、K.I.T.T.にもそれ程慣れていないのに早くも8話目で自動車は同種だけれど性格の違うナイト2000を登場させるって早くない?
描く所描かずに焦っている感じがあった。

あと、中盤辺りから、ナイト2000に乗ったマイケルが道路を走らせてる場面に歌を乗せる様な、プロモーション・ビデオみたいな場面が出て来て、それを多用し始めたんだけれど、これも何の演出?単に編集終わって、時間が足りていないので時間繋ぎの為に入れ込んだ様なカットだし。

このドラマで目が行くのは、主人公であるマイケル・ナイトがやたらと足が長いとか、その髪型は何なの?という所ではなく、やっぱりナイト2000。
ナイト2000はポンティアック・トランザムらしいけれど、この当時の道路を走っている自動車と比べると抜群にカッコ良いなぁ。ただ、運転席のハンドル回りの計器板が物凄くだっさい。1980年代の安っぽいSF感が強過ぎ、今見ると「わお!カッコ良い!」とはならんなぁ。それに、メーターが動く度に「ピロピロピン」と音が鳴るのは、マイケルうるさ過ぎで頭おかしくなるんじゃないのかしらん。

そのナイト2000は最新鋭の未来自動車だけあって様々な装備があり、時々新装備が付けられたりもし、このバージョン・アップは見ていても楽しい所だし、何より銃器が付いていないのが良い。子供向けの意識もあったからかもしれないけれど、銃をぶっ放して終わりなんてつまらなさ過ぎるし。

このナイト2000の装備には周囲の監視とか、コンピューター侵入とか、今でも全然通用する装備がある一方で、SFにしてももう無茶苦茶な装備まである。
例えば、マイケルが室内でK.I.T.T.に「鍵を開けてくれ。」と言うと、建物の外にいるK.I.T.T.が何か謎の光線なのか電磁波なのかは全く分からないけれど、扉に付いている錠が勝手に一人で回り始めて開いてしまうとか、どんな超技術なんだ。まだ、今の様に錠もコンピューター・ネットワークで接続されているなら分かるけれど、普通の扉の錠だぞ。
もっと意味不明な、まさにぶっ飛んだナイト2000の能力として、自動車内の「TURBO BOOST」というボタンを押すと、走行中のナイト2000の何も無かった前方の道路上にジャンプ台が現れて、そこを飛び越えるのがある。まあ、実の所撮影の粗さでしかないけれど、それでも普通に「TURBO BOOST」ボタンを押して急加速している時と、ボタンを押して上方へ飛んで行く時の操作が変わり映えしていない様なのはどういう事?

あと、笑ってしまったのは、ナイト2000の装甲は非常に硬くて銃弾でも傷付かないのに、悪い奴がナイト2000の扉をこじ開けようとしてバールで一生懸命あれやこれをしても何にもないのに、その悪者が怒って「くそっ!」と言ってナイト2000を殴ったら、そこが思いっ切りへこんだ事。
これにしても、ナイト2000の激しい走行場面とかで運転席にいるのが明らかにマイケルでなかったり、ヘルメットしているのが見えたり、明らかに人形だったりと、撮影現場の「取り直しも出来ないし、そもそも視聴者そんな所見ていないだろ」という様な感じが見て取れてしまう粗さが随所にあった。

しかし、このドラマの1シーズンで何台のナイト2000を破壊し、何台のナイト2000を使ったのだろうか?

吹き替え版で見ると、マイケル・ナイトが佐々木功なのは物凄く覚えていたけれど、K.I.T.T.の声って野島昭生だったのは全然覚えていなかった。特にここ何年も「CSI」を見ているので、ギル・グリッソムの印象が強くて、このK.I.T.T.の感じが変な感じ。
 
 
この「ナイトライダー」、ドラマとして見ると事件自体はあんまりおもしくろくはなく、マイケルとK.I.T.T.の漫才がおもしろいので、そこで見ていた。特に週二本という意味の分からない編成で、週二で見てしまうと段々とめんどくさくなってしまったし。
それに、この「ナイトライダー」を放送しているのが周知の通りクソなNHKであり、以前もBSプレミアムで「特攻野郎Aチーム」や「プリズン・ブレイク」を何で今更という時に放送を始めたはいいけれど、シーズン1で打ち切ってしまい、何年待っても続きを放送もしないという酷い編成なので、「ナイトライダー シーズン1」と題名を出してはいるけれど、どうせこんなクソNHKなのでシーズン2は放送しないんだろうな。
 
 
関連:前期のドラマは「24」

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