24

2016年04月08日 金曜日

2001年からFOXで放送されたドラマ「24」。
現在の所、シーズン9である「リブ・アナザー・デイ」までが存在。

テロ対策ユニット(CTU)ロサンゼルス支局の捜査官ジャック・バウアーは次期大統領と目されているデイビッド・パーマー上院議員の暗殺計画の情報を手に入れ捜査を始める。
一方でジャック・バウアーの娘が行方不明となり、妻のテリー・バウアーが探し始めた。

物語はドラマ内の時間と現実の時間が同じで、全24話で一日の出来事を見せる。

BSで「24」のシーズン1が始まったので、以前に一度見た事はあるけれど久々に見てみた。
もう、シーズン1の放送がアメリカでは2001年だから15年も前のドラマなのか。

改めて見直してみても、やっぱりおもしろい。
一話目から幾つもの話の軸を設け、あちこちに伏線張って「どうなの?どうなるの?」で引っ張りまくり、ワクワク感がたまらない。

上手いのは全24話で一日という構成。
アメリカのドラマって、多くは半年放送し、半年休んで次シーズンという放送形態で、大体1シーズンが20~23・24話位になるけれど、「24と言えば一日だから、24話で24時間、一日を描く」という部分に気付いた人も偉いけれど、それを本当にやってしまうのが凄い。
この後のシーズンでもそうだけれど、一日の経過と共に夜から朝が来て空が明るくなったり、夕方から夜への変化へとかの効果も非常に印象的で、この毎シリーズどうやって日の出、日の入りを見せるかの映像的な時間の経過が好きな部分でもある。

展開としては、ジャック・バウアーを中心としたCTUのデイビッド・パーマー暗殺計画の阻止と内部の裏切り者の捜査。
ジャック・バウアーの娘キム・バウアーの失踪と誘拐からの妻テリー・バウアーの誘拐。
パーマー一家のゴタゴタと盛り沢山の展開がそれぞれに展開しながらも、中盤辺りで過去のナイトフォール作戦が原因となり、実はデイビッド・パーマーとジャック・バウアーが標的となったドレーゼン一家による復讐劇と分かって行く展開は抜群におもしろい。
登場人物が個人の問題を抱えつつも、大きな問題に飲み込まれて行くという悲劇を息をつかせずに、毎時間クリフハンガーで繋げて行くんだからたまらない。

それに改めて見てみると、「24」のシーズン1って家族の物語であり、家族を描いていたんだな。
バウアー家とパーマー家のそれぞれのトンデモない事件の中で、家族を求めつつも離散してしまうという悲劇を描いていて、バウアー家はただ巻き込まれて哀しく、パーマー家の特に夫婦喧嘩はおもしろ過ぎ。シェリー・パーマーが徐々に隠されていた本性を表し始めるのなんか、毎回ワクワクして、キャッキャ笑いながら非常に楽しかった。
でも、バウアー家の方は、やっぱりキムはこの後のシーズンでも現れるうっとおしさは初っ端からで、何かする度にイライラして来るバカ娘は変わらず、テリーは夫と娘のせいでただ可哀そう。テリーも終盤はちょっとうっとおしかったけれど。見ていても「テリーに辛くするの、止めて!」だったし。

それに、大統領候補暗殺という人種差別や政治的な事からのテロや暗殺かと思ったら、個人的な恨みだったのも忘れていた。
「24」って、この後のシーズンがずっとアメリカに対するテロ攻撃なので、それを思ったらシーズン1が例外的な理由だったのか。

序盤からガンガンと攻め、終始緊迫する展開ではあるけれど、ただし、昼過ぎからの展開は明らかに失速、迷走してしまっていた。
始めて見た時も同じ事思ったのだけれど、キムとテリーが隠れ家襲撃から逃げ延びたのに、自動車が崖から落ちて自動車爆発。だけれどキムは何故か無事。テリーは記憶喪失って、展開が粗過ぎでここで一気に冷めてしまう。記憶喪失って、物凄いご都合主義だし、安易に出すなよ。ここら辺以降は誘拐からの脱出後の展開を考えていなかったのかと思う位のキムとテリーの持て余しっぷりったらない。
前半にあった、ジャック・バウアーがデイビッド・パーマーの暗殺を阻止してシークレット・サービスに捕まって逃げ出し、道端の自動車に乗ったおばさんを拉致して工事現場の事務所でまどろむ場面は幕間の小休止で好きな場面ではあるけれど、このどうにもならないテリーの浮気寸前だった事の発覚でも記憶が戻らないグダグダ感と、キムのストックホルム症候群によるリック・アレンへの付きまといが犯罪に加わりそうで結局「だから、何?」というグダグダしたやり取りと展開とか、この夕方辺りのキム編とテリー編が非常につまんない。折角妻娘が暗殺計画の一要素だった前半の絡め方の上手さを思うと、ここら辺は絡んで来そうで来ない下手さばかりが目立っている。
ここら辺がきついので、折角の終盤のドレーゼン一家との対決が思ったよりも盛り上がらないし。

そして、一番のモヤモヤするのが最後の場面だけれど、それまでの、今まで会議室でじっとしていたテリーが突然CTU内をウロウロし始め、何時もの中央の作業部屋ではない誰もいない小部屋を開けまくってニーナ・マイヤーズを探し回ると言う無理のあり過ぎる展開の方が疑問。
最後の展開は、実は生きていました…という結末も撮影されており、DVDボックスの12巻目に収録されていて、わたしもそれを持っていたので最終回が終わったら速攻で見たけれど、映画なら別バージョンの方が結末として正しいけれど、次シーズンもある連続ドラマとしては採用された方が正しいか。と、言うか、どっちにするかはテリー・バウアー役のレスリー・ホープの次シーズンでの契約更新次第な感じばかりはしたけれど。
まあ、この後のシーズンでも契約終了やドラマから離れるレギュラー、準レギュラー陣が唐突にバンバン死んで行く事を思えば、「24」の伝統を作ったという事ではあるんだろう。

あと、そのDVDに付いていた制作者のインタビューを見ると、撮影しながらも次の展開を考えていた様で、多分粗方大筋は決まっていたけれど、細かい部分はその場その場の流れで作っていた感じなので緩い部分も多いんだろうな。

展開に関しても、一回見てしまっていると誰が良い人で、誰が裏切り者かは知っているので、各人の行動と言うか、演技が見え透いてしまうけれど、そこも逆に楽しめた。
序盤でジャック・バウアーを怪しむトニー・アルメイダは悪い奴なんじゃないか?と思っても、誰よりもトニー・アルメイダが一番信用出来る人物になって行く事を思うと、この初期のトニー・アルメイダの感じはおもしろいし、何よりジャック・バウアーが一番信用するニーナ・マイヤーズには「いや、違う違う!」とかニタニタしながら見れるし、ジャック・バウアーをCTUでコンピューター系の補佐をするジェイミー・ファレルは後にクロエ・オブライエンが取って代るのか…とか、そこら辺でも楽しめる部分も多かった。

このドラマがバウアー一家の問題も抱えつつよくある家庭ドラマ風に始まった事を全然覚えていなくて、そこが意外だったけれど、一話目ではジャック・バウアーも普通の父親かと思ったら、徐々に正義と信じる犯人捜索の為なら何でもしてしまう行っちゃってヤバ過ぎるあのジャック・バウアーが結構序盤から見えて、意外とそこは一貫していたんだなと感心。
でも、シーズン1ではジャック・バウアーのあの肩掛け鞄がまだ登場していないんだな。

しかし、一回見て知っていても、始めて見た時も思ったのだけれど、次々と現れる上司らしき人達の立場がよく分からない。
ジャックに内通者がいると知らせたリチャード・ウォルシュはCTUロサンゼルス支局長で、ジョージ・メイソンが支部長。その次に来たアルバータ・グリーンの肩書は?ライアン・シャペルはCTU本部の何?
こんな誰が何の人なのかもよく分からない上司達が次々と現れては何時の間にか交代して新しい人がやって来るので、見ていても指揮系統順に誰が誰の下に付いているのかがいまいち分からず、何時も新しい上司の登場で「んっ?」とつまづいた。
ここら辺、何で次々と違う上司を登場させたのだろう?

バウアー一家もそうだけれど、パーマー一家の方も子供達が親と全然似ていない。もう少し似ている役者にすれば良かったのにと思う。実は皆連れ子なんじゃないかしらんと思ってしまうし。
改めて見ると、デイビッド・パーマー役のデニス・ヘイスバートってあんまり演技上手くない様に思えたのだけれど、何でだろ?顔の演技が大袈裟に感じたんだけれど。
しかし、シェリー・パーマーはやっぱり「24」最強の人物。この後に罵殺すというトンデモない必殺技を見せるけれど、その片鱗はシーズン1からある。一番おもしろいという意味で、「24」の中ではこのシェリー・パーマーが一番好きな人物。

選挙参謀のマイク・ノヴィックって、デイビッド・パーマーに付いていたのに後に再登場した時は「おおっ!」とは思ったけれど、この人が一番冷静な権力志向者だとはこのシーズンでは思わなかったよなぁ。
この後、ドンドン活躍する事になるアーロン・ピアース護衛官って、すでに二話目から登場しているのか。ただ、序盤は結構目立ったのに中盤以降目立たなくなる所か、全く出て来なくなったな。

シーズン1からジャック・バウアーの周りにいる人間は次々と不幸になって行くのは変わらない。
捜査官で上司っぽいリチャード・ウォルシュは二回だけ登場して死亡。
倉庫を捜索中に偶然出会った女性警官も一話だけで死亡。
テリーもそうだし、ジャック・バウアーに関わるとろくな事がないのはシーズン1からも。アメリカを救い、人々も救ってはいるけれど、死神の印象は拭えない。
 
 
久々に「24」を見たけれど、やっぱり連続ドラマでしか描けない構成で描き切るアクション・サスペンスとしては抜群におもしろいな。
シーズン2も見たいけれど、流石はNHKだけあって、このシーズン1も週4本という変な編成だったし、これまでBSでシーズン1の最終話が思いっ切りクリフハンガーなのに関わらず、シーズン1だけ放送してシーズン2以降は一切放送しなかった「プリズン・ブレイク」の例があるクソみたいな編成しかしないので、NHKに期待するだけ無駄なのは知っている。
 
 
関連:前期のドラマは「24」

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