SHERLOCK シーズン3

2014年10月04日 土曜日

一話目から出来も良く、放送を重ねる毎に話題性も増し、主演のベネディクト・カンバーバッチマーティン・フリーマンはこのドラマで一気に世界的に有名になった「SHERLOCK」のシーズン3を見た。

このドラマ自体は非常におもしろいし、非常に良く出来ているけれど、BBCの編成が意味が分からず、シーズン2から二年経ってのシーズン3。しかも、シーズン最後の三話目は毎度クリフハンガーで終わるので、今回の二年後にその結末を見せるのって相当酷い引っ張り。
ただ、そのクリフハンガーをした事によって、前回死んだと思われたシャーロックが生きていた仕掛けを、現実のシャーロキアン達やこのドラマファン達が「ああでもない。こうでもない。」と考え出し、それが話題にもなっていた事をドラマ内にも取り込んでの一話目の「空の霊柩車」。如何にしてシャーロックが生きていたのかをドラマ内にも出て来るシャーロキアン達が「こうだ!」と言って勝手に想像し、それが実際の映像となって見せてしまう。始まりからそれが実際の出来事かと思ったら、シャーロキアンの想像だったり、シャーロック本人から語られる真相も無理があって、結局真相は明かされず仕舞いで、こういう制作者の遊び方はおもしろいし、現実を取り込む上手さもある。…あるのだけれど、結局は煙に巻いてしまい真相は分からず仕舞いのままなので、ちょっと逃げた感もある。

今シーズンでは今までのシャーロックとジョンの関係性の決算的な所もあり、二人が離れ離れになっても繋がったりと恋愛話みたいで笑ってしまった。どっちかと言うと、ジョンはシャーロックとは腐れ縁で、日常に潜むワクワクを知ってしまって彼と共にしたいと思っている感じだけれど、一方のシャーロックの方がジョンの事が気になってしょうがなく、これまで結構多く出て来たのはジョンに対するゲイネタだったけれど、実はシャーロックの方がジョンに恋している感じになっていてニタニタする。特に二話目の「三の兆候」でのジョンの結婚で、「親友」と言ってくれたジョンを奪われてしまった消失感が見え隠れして、シャーロックがジョンに恋しているが可笑しい。

毎回、脚本の上手さと演出は見事で、結構尖ってもいるけれどきっちり見せるし、推理モノとしても十分な説明を映像でも見せるしで流石。特に二話目の「三の兆候」は、ジョンの結婚を軸にジョンに対するシャーロックの思いを見せつつ、シャーロックとジョンの普段の愉快な生活を見せ、そこに実は今まで多くの事件を解決して来た事も見せ、それらが実は結婚式に繋がっていたという気持ち良過ぎる話の終結を見せ、非常に楽しい回になっている。どうやら今までの脚本を担当していたマーク・ゲイティススティーヴン・モファットスティーヴ・トンプソンが揃って書いたらしく、「三の兆候(The Sign of Three)」はシャーロック、ジョン、メアリーの事でもあり、ワトソン夫妻と子供の事でもあり、脚本家が三人で書いたという事でもある訳か。と言うか、出来過ぎなのを狙ってわざわざ三人で脚本書いた様に思えるのだけれど。

ただ、シーズン3では結構投げっ放しで、結局どうだったの?とモヤモヤのまま終わる部分も結構多かった。一話目の「空の霊柩車」で、二年に渡り引っ張りに引っ張ったシャーロックが飛び降りたのに生きていた本当の仕掛けはどうだったのか?とか、二話目の「三の兆候」で題名によるミスリードさせる為に初めに出て来たウォーターズ一味の逮捕は?とか。そして、いい加減飽きて来た、その次回が一体何時なのかも分からないクリフハンガーも唐突にあるし。
そのシーズン最後の三話目は毎回微妙な事が多いけれど、今シーズンの三話目「最後の誓い」は非常につまらなかった。メアリーの秘密とか、延々と見せる死にかけのシャーロックとか、最終的には撃ち殺してお終いって、よくあるハリウッドのB級アクション映画じゃないんだから…とか、「何?その展開…」と白けるモノばかり。しかも、嫁が暗殺者で、シャーロックが人を殺したから騒ぐジョンだけれど、シーズン1の一話目「ピンク色の研究」でワトソン思いっ切り人殺しして、「善人ではないから殺しても良い」というヤバい人物だったじゃん。急に良い子ちゃんになってしまったのは結婚して子供も出来たからなのか?てっきり撃ち殺すのはジョンの役回りだと思ったのに。それに、やっぱりクリフハンガーは余計にしか思えず、それが「またモリアーティかよ…」と。もうモリアーティはお腹一杯なのにまだやるのか…。それに敵となる犯罪者が毎回小寒いのはどうにかならんのか…。今までのジム・モリアーティとか、今回のチャールズ・アウグストゥス・マグヌッセンとか、行動や言動が猟奇的と言うよりも若者向けの漫画の悪役みたいなただ痛い奴で、猟奇さを出そうとして滑っている奴にしか見えないので、折角の強烈な変人シャーロックの敵対的人物が残念でしかない。

二話目の「三の兆候」が非常におもしろかったけれど、良く考えるとこの「三の兆候」での事件って、結婚式に集約させる為、犯人側は物凄く回りくどいけれど都合の良い展開になっているし、他の話も狙い過ぎて映像や編集の良さや脚本の畳み掛けで持って行かれるけれど、後から思い返すと「あれっ?う?ん…。」と思ってしまう事が多く、シーズンが進むにつれて序盤の細かな不思議な事件を解決して行く推理モノの楽しさが徐々に減って微妙になり、変な風に舵を切り始めた感じは否めない。
と言うか、何よりBBCはベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンの撮影日程をきっちり確保して、一年に一度はきっちり放送しろよ!と思う次第。
 
 
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