SF界の巨匠たち:フィリップ・K・ディック

2014年09月26日 金曜日

CS無料放送の日にディスカバリーチャンネルで「SF界の巨匠たち:フィリップ・K・ディック」というアメリカのドキュメンタリーを見れたので見てみた。

フィリップ・K・ディックの著書、特に映画化された「ブレードランナー(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)」「トータル・リコール(追憶売ります)」「スキャナー・ダークリー(暗闇のスキャナー)」「マイノリティ・リポート(少数報告)」等を紹介しながら、現在の科学技術の追従性を紹介する内容。

「SF界の巨匠たち」と題されているのだから、SF小説家の生い立ちや歴史、SF小説界に置ける位置等を紹介して行く番組だと思って見たら、その部分は現在の科学技術を見せる為の導入程度 で、フィリップ・K・ディックの紹介にしても、彼の小説の紹介にしても、どうにも中途半端。SF小説マニア狙いではなく、映画の原作者として名前は聞いた事あるけれど、よく知らない様な人向けの非常に一般的なドキュメンタリーで、結構肩透かし。
やたらとディックのSFガジェットが未来の現実を言い当てている分を取り上げて「予言者だ!」と強調するのがどうにも違和感。ディックの小説って、この番組のホストであるリドリー・スコットが「SF界のチャールズ・ディケンズ」と言った様に、読んでみると現代小説的な感じを受けるその部分の印象の方が強い。まあ、映像化作品と絡めて現在の科学技術を扱うと、どうしてもこういった構成にはなるのだろうけれど。

この「SF界の巨匠たち」はシリーズで他の小説家も取り上げているみたいだけれど、このフィリップ・K・ディックの回がおもしろいのは、実際に彼の小説を原作として映画を作った監督リドリー・スコット(ブレードランナー)やポール・バーホーベン(トータル・リコール)が喋っている事。リドリー・スコットの「始めディックは『ブレードランナー』に反対だったけれど、映像を見て大賛成した」とか有名な話を本人が喋っていたり、驚いたのは「マイノリティ・リポート」はスティーヴン・スピルバーグではなく、バーホーベンが監督する予定だったり、更にバーホーベン自身の口から「トータル・リコールの続編になる予定だった」なんてぶっ飛んだ発言もあって、「流石ポール・バーホーベン…」と思わされたりで、そこでは中々楽しい。

あと気になったのは、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の紹介の時にそのコミカライズ版のコミックスの映像が使われていたので気になって調べてみたら、2009年からBOOM! Studiosで「Do Androids Dream of Electric Sheep?」として24巻のシリーズが出されていた。共感ボックスとかも出て来ている様なので、「ブレードランナー」のコミカライズ版ではなく、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のコミカライズ版の様で、どれだけ原作と違うのか、同じなのか、ちょっと読んでみたい。

この番組、フィリップ・K・ディック本人の生涯を見せているけれど、そこをもっと見せて欲しかった。存在しないけれど彼には存在している妹。誰が何の為に破壊したのか分からない金庫。啓示と予知。時代と彼の生活等々、フィリップ・K・ディックの自伝を映画化したらおもしろそう。ディックの写真や再現役者を見ていたら、レオナルド・ディカプリオが髭生やして演じたら似合いそう。

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