ダウト ~偽りの代償~

2012年11月19日 月曜日

マイケル・ダグラス出演の2009年の映画「ダウト ~偽りの代償~(Beyond a Reasonable Doubt)」。

若手の報道志向のテレビリポーターが、敏腕ベテラン検事の不正を暴こうと殺人事件の被告に自らなり、ベテラン検事をはめようとする。このテレビリポーターは、自分とは関係無い既存の殺人事件の証拠の情報を集め、自らその証拠と同じ物を集め、如何に自分が犯人である様に思わせる自作自演に近いやり方なので、冤罪と裁判を扱ったサスペンス。

マイケル・ダグラスは相手の検事で脇役で出番はちょっと。主人公はTVリポーターのジェシー・メトカーフ
TV局内での報道番組の視聴率が低過ぎてスポーツ班に回されたうっぷんもあり、無謀な作戦を実行するという、話的には納得する、じっくりと見せる展開。ただ、彼のしている事、考えている事を真っ直ぐに見せるので、映画的にはまったりしてどうにも盛り上がりに欠ける。導入は主人公の作戦をきっちり一つ一つ丁寧に見せ、中盤以降は法廷での裁判になり、映像的に地味だと思ったのか中盤でカーチェイスを挟んで来るけれど、それでも物語の盛り上がりと言う点では全体的に地味。悪いそうな奴は悪いし、助けてくれる様な人は助けてくれるし、そうなるだろうなという展開で全然意外性は無い。意外性が無いからか最後にオチが付けるけれど、これが本当に取って付けて意外性を出した感じありありで、しかも始め主人公だったTVリポーターが脇役になり、結局主人公は女性検事になってしまうという物語の軸をブラしてしまう、あんまり良くないモノ。

この話の一番の欠点は証拠ビデオの扱い。自分が犯人ではない事を証明する為に証拠をねつ造した事を撮影したビデオが無くなり追い詰められるのだけれど、その証拠の扱いが酷く雑。20世紀ならいざ知らず、簡単にコピー出来る時代になったのに複数のコピーは取っていないし、何だったらファイル・ホスティング・サービスで保存して法廷で直接公開だって出来、自分が死刑になる可能性もあるに、重要な証拠の扱いがビデオテープを貸金庫に…って、余りにお座なり。これでは結局、こんな危険な方法を取っているのに主人公が不用意過ぎ、賢い風だけど抜けていたとしか思えてこない。1956年の映画「条理ある疑いの彼方に」のリメイクだそうだけれど、流石に今これは無理があったか。

この主役を演じるジェシー・メトカーフは、31歳にしては見た目は若いけれど、それが人物として中途半端な印象。TVリポーターという事もあってか、動きが大袈裟なんだけれど、それが少々大根に見えてしまうのも痛い。TVドラマならドンドンと味が出て来るのだろうけれど、内容的にも始まりで一気に掴み彼に感情移入しないといけない映画としては、非常に地味でもう少し強い印象が欲しい所。そう思ったら、「デスパレートな妻たち」や「CHASE / 逃亡者を追え」や、今年から始まった「Dallas」といったTVドラマに出ている人なのか。
女性検事役のアンバー・タンブリンも地味。確かに検事役としてはぴったりなんだけれど、彼女が主役になる後半は画面的に地味。
マイケル・ダグラスは出ているけれど、本当に脇役で少しの出演。何とか地味な映像の中でも引き付け役として活躍はしている。歳を取って、本当に父親カーク・ダグラスと似て来た。

この映画の邦題、前年の2008年に「ダウト~あるカトリック学校で~Doubt)」という映画あったのに、わざわざ同じく「ダウト ~偽りの代償~」にした理由は何だろう?近年の邦題を付ける能力の落ちっぷりは…。

この映画地味。主役が前半と後半で変わるし、この主役二人がどうにも薄いし、話は意外性を出ないそのままな展開なので、もう少し捻ったり、映像や構成的に工夫出来なかったのだろうかと思ってしまう映画だった。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply