ハイ・クライムズ

2012年11月20日 火曜日

映画「コレクター」以来のアシュレイ・ジャッドモーガン・フリーマンが共演した2002年の映画「ハイ・クライムズ(High Crimes)」。ジョセフ・ファインダーの小説「バーニング・ツリー」が原作。

仕事も私生活も非常に順調だった弁護士のアシュレイ・ジャッドの夫が突然FBIに逮捕され、名前も経歴も嘘だった事が分かるが、夫救う為に軍で働いていた弁護士モーガン・フリーマンと共に彼を弁護する。

所謂軍の閉鎖性、身内の問題の揉み消しなら何でもするという、軍や軍人の危険性を描いてはいるけれど、この手の話は今までアクション映画やサスペンスで結構描かれて来たので、それ程目新しさは無い。それに裁判で一つ一つ明らかになるよりは、事前調査や証拠からの予想がそのまま結果に結び付くので、裁判モノとしてもどうにも弱い。
それに展開が、流れる様に次々と出て来る訳では無く、こっちがつまずいたから次はこれと、一つ一つご丁寧に順番に見せて行き、話的な盛り上がりも途切れ途切れで、小説をそのまま映像化しましたという感じが強い。サスペンスのとしての怖さの盛り上げも、実は違いましたというしょうも無いハッタリばかりで、映像的にはサスペンスになっていない。
そして何より、最後の一捻りは「まあ、そうだろうなぁ…」というハリウッド映画でよくある、在り来たりなどんでん返しで、これを入れる事によって見事に今までの雰囲気や流れをぶち壊し、見終わった後が非常にしょっぱく感じてしまう原因になってしまっている。何でわざわざこんなしょうもない最後の展開、結末にしてしまうのだろうか?

今から10年前の映画とは言え、アシュレイ・ジャッドの顔が全然違う。痩せているのもあるけれど、この10年での老けっぷりは何なんだ。TVドラマの「ミッシング」の印象が強過ぎるのもあるけれど、この時のか細い働く普通な女性の雰囲気が、今と違う。この年代のアシュレイ・ジャッドの他の映画を見た事無いから、役作りなのかどうか分からない。役作りだったら流石。都会的、凛とした弁護士の雰囲気はたっぷりで、演技での雰囲気の違いも大きい。
モーガン・フリーマンはよく見た様な役柄と、何時もの演技。途中から現れ、物事をよく知るベテランで、普段は陽気でとぼけた感じだけれど、決める時は厳しい顔。今では見慣れ過ぎた役で、それ程目を引く訳でも無い。
他にはTVドラマで良く見た顔も。裁判長は「24」でマイク・ノヴィック大統領首席補佐官を演じていたジュード・チコレッラや、「スタートレック:エンタープライズ」のドクター・フロックス役のジョン・ビリングズリーが少しだけ出て来たり。

決して話的には最後を除きつまらない訳では無いのだけれど、映画としては見せ方や展開が地味過ぎて、もうもっと盛り上げが欲しい所。アシュレイ・ジャッドとモーガン・フリーマンがいなかったら、地味過ぎて全く盛り上がらなかったはず。結局しょうも無いハリウッド映画の枠に落とし込んでしまうので見終われば残念感で一杯。

☆☆★★★

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