フレンチ・コネクション

2012年11月21日 水曜日

ウィリアム・フリードキン監督、ジーン・ハックマンロイ・シャイダー共演の1971年の映画「フレンチ・コネクション(The French Connection)」。

麻薬捜査をする二人の刑事ジーン・ハックマンとロイ・シャイダーが、一つの事件を追って行く。

この二人の主役は、ジーン・ハックマンが感情的に突っ走り暴力的で、ロイ・シャイダーは冷静にジーン・ハックマンを支える様な、どちらも非常に濃い役柄と個性で、バディ・ムービーとしての主役としては非常に良い。ただ、話が地味で、展開はまったりし過ぎで、終始引き付けられるという訳でも無い。序盤からして「あいつ見た事ある顔だ。」だけで、見ているこちらが納得する様な理由も示さず延々と尾行をするので、当てずっぽうにしか見えない捜査で、あんまり引きも無いし、緊張感も無い。特に何か展開したり見せ場がある訳でも無い尾行が延々と続き、構成が退屈。張り込みも結構目立っているし、あれだけ頻繁に手厳しく麻薬の取り締まりしているのに、大物連中が彼らの事知らないとか、まあ都合が良い。その割に急にバレバレな尾行をしてあっさり気付かれるし。相手の身元調査や関連人物の調査も、実際調べている所は描かれず、台詞による説明だけで終わってしまうし。そこは説明的なのに、捜査は基本彼等の勘だけで進み、本人達も「俺の勘では…。」だけで説明もせず、僅かな証拠から辿って行く訳では無く、脚本上の展開としてそうしたいから以上のモノが無い非常に荒っぽい脚本。あれだけ豪快に解体しまくった自動車が元通りになっているのは、全く同じく復元したのか、別の同じ車種の自動車を用意したのかも描かれないし、最後の一番大事な部分は投げっ放しだし。
二人の主役も麻薬取締や捜査に異様な程の熱意を持って、上司の静止も聞かずに突っ走り、強権発動、相手が逃げただけで撃ち殺す等、狂気にも似たそこまで彼らがのめり込んでいる理由は一切描かれないので、見ていても身が入らないし、「ふ~ん…」以上の感想が出て来ない。

有名な高架鉄道の列車を追ってのジーン・ハックマンの自動車暴走場面は、確かに自動車の前面にカメラを取り付けての映像は迫力あるけれど、近年の細か過ぎ、早過ぎな編集のカーチェイス場面を見てしまうと、映像的興奮より、歴史的興味になってしまう。当時は革新的映像だったんだなぁ…と。ただ、その車載カメラの映像は意外と結構ゆっくり。まあ実際走るとこんな感じなんだろうれけど、映像的にはもっと早回しで、細かく割ってもいいかと思ってしまうのは今の時代性か。

見ていて興味を引くのは1971年という時代性。ジーン・ハックマンは今ならすぐさま懲戒免職になる様な荒っぽ過ぎる捜査で、正義を遂行しているというよりは、マフィアの一味みたい。
それにフランスもブルックリンもこの時代は小汚い。そんな荒廃したブルックリンの街中で、周りはレンガ造りの建物の中に急に空き地があるなんて、SFの臭いさえする。

ジーン・ハックマンとロイ・シャイダーの主役二人の個性と演技力で持ってはいるけれど、彼らの背景は無いし、ダラダラと尾行ばかりしていて、しかも何か証拠や手掛かりを見せる訳でも無く、勘でしか進まなく、特に何か劇的な展開を見せる訳でない、たった一ネタで延々引っ張っている感じで、脚本は非常にお座なりな出来。映像的には非常に雰囲気が良い分、この脚本のしょっぱさが際立ち、雰囲気番長の雰囲気がプンプン。

☆☆★★★
 
 
関連:フレンチ・コネクション2

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