摩天楼はバラ色に

2012年09月28日 金曜日

マイケル・J・フォックス主演の1987年の映画「摩天楼はバラ色に(The Secret of My Success)」。

カンザスの農場育ちの若者が成功と都会に憧れ、ニューヨークに出て来くるけれど上手くは行かず、何とかしてのし上がろうと頑張る成功譚。

これって織田裕二主演のTVドラマ「お金がない!」。と言うか、「お金がない!」の元ネタがこれか。
雑用の仕事から抜け出そうと勝手に仕事を始めるのってどっかで見たなと思ったら「ワーキング・ガール」でも似た感じの展開だった事を思い出す。「ワーキング・ガール」の方がこの映画の後だけれど、1980年代ってこんな感じの成功コメディが多い。当時は皆この感じに乗っかれたのだろうけれど、今だと80年代のイケイケの時代の雰囲気が最早ファンタジー。まあ、全くへこたれず、常に押しまくりの人柄で全てが上手く行ったり、大学は出ているけれど会社での専門の経験が無いのに彼の計画が正解で、ハーバード出で大会社の重役会議にも出ている現役の社員が間違いって、話自体がファンタジー染みているのだけれど。それに、必死に職を探し奮闘するけれど、結局は血縁を頼った縁故採用っていうのも何だかな…。
マイケル・J・フォックスが誰にも相手にされないんだけれど、どう見てもマイケル・J・フォックスはカッコ良過ぎと言うか、可愛らしく、絶対に女性、特に若い女性はほっとかない見た目なのに、そこら辺の街の女性にモテる話とかは一切無い。その代わり、社長のおじさんの奥さんとしてしまうという、マイケル・J・フォックスが純粋なのか、性欲満々なアホなのか分からない出来事が出て来る。
その恋愛部分では、マイケル・J・フォックスが好きな女性は社長のおじさんと不倫関係で、マイケル・J・フォックスは社長の奥さんと不倫関係という四角関係。で、この映画の恋愛部分でも、仕事部分でも結論でもあるのは「金持っている女性と寝れば成功出来る」という、酷い結論。

ニューヨークと言う街が流行の最先端を行く大都市で、カッコ良さの象徴なんだけれど、この映画が1987年と思いっ切り80年代半ばなので、今見てしまうと非常にダサい田舎臭い街にしか見えないという大いなる欠点が。それと、この時代のニューヨークはまだ犯罪都市としての印象も強く、そんな場面も。

それに、如何にも80年代的な音楽とその使い方が物凄くダサい。30秒ほど場面繋ぎで流れる音楽とか、「フルハウス」とかのあの感じ。テレビドラマだとCMとかが入ったり、場面転換での音楽の使い方は分かるけれど、この映画ではしょっぱ過ぎる。このどうしようもない音楽に乗せてのドタバタコメディの最悪さと言ったら…。

この話や音楽が全然なのに、それなりに見えてしまうのはマイケル・J・フォックスの力意外の何物でもない。彼のこんな役でも嫌味を感じない素直で、素敵な若さ溢れる男性像が全て。彼を楽しむ映画。

80年代の雰囲気が満載だけれど、人物設定や話の展開まで、その80年代のバブル的浮かれポンチの雰囲気しかなく、まあ嘘臭く、出来過ぎた成功譚でしかない。80年代のSFとか、アクションモノはその80年代の雰囲気が上手く作用し名作が沢山あるのに、こういった若者の都会での成り上がりの成功譚って、まあつまらない。

☆☆★★★

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