マイ・ビッグ・ファット・ウェディング

2012年09月27日 木曜日

低予算映画だったけれど、ドンドンと人気が出、上映館数も多くなり、製作費の50倍以上を稼ぐ大ヒットとなった映画「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング(My Big Fat Greek Wedding)」。

アメリカのギリシア人の娘が古風な家庭で育ち、冴えなかったけれど男性に惚れたので自分を変え、新たな人生を歩き始めようとするけれど、ギリシア人家庭という事が障害になるコメディ。

この映画のおもしろさは、アメリカに住むけれどギリシア人として生きて来た、アメリカ人なのにアメリカ人との文化の差異で戸惑い、笑わせる所。ただそこの部分は、誇張しているだろうけれどアメリカに住むギリシア人ってそうなんだと、笑いよりもむしろ関心の方が高い。「へ~。成程。」というおもしろさ。
それにこの話って、少し前までの日本の田舎の家と都会の人との付き合いや結婚の話と似ているので、そんなに目新しさも無い。家族が多く色々口出しして来たり、しきたりや伝統だのでつまずいたり、結婚相手は地元の人間じゃないといかん!とか、日本でも良く見た、聞いた話。保守的で頑固な父親と、娘を応援しながらも夫を立てようとする母親とかも、まあ王道的、何処にでもある様な設定。

恋愛映画の部分では、主役の二人はそれ程綺麗でも、カッコ良くもなく、普通な男女の結婚物語として納得できる部分。ただ、結婚相手の男性が彼女のギリシア文化を物凄くすんなり受け入れる、優しい男性過ぎるきらいはあるかな。
でも良く考えると、この主人公の女性はアメリカ人の中でのギリシア系というマイノリティーだという部分を大きく取り上げているけれど、綺麗にしたら綺麗になるし、綺麗になったら意中の相手に早くもモテるし、賢く、仕事も出来るし、親はレストラン経営しているしで、何だ結構恵まれた女性じゃん。完全駄目な所からの這い上がりでも何でも無い。

主演のニア・ヴァルダロスは、全く冴えない女性が素晴らしい程はまっている。この映画の時点で40歳で、綺麗になっても普通なおばちゃんの感じで、ぴったりの役柄。
そして彼女は実際にはギリシア系カナダ人で、その後アメリカ国籍を取ったらしく、そのギリシア系カナダ人という経験を基に、この映画の元になった一人舞台劇を書いて自分で演じたそうだ。舞台劇も書き、演じ、この映画でも脚本を書き、主演と非常に多彩な人。この人なら、この主人公も全然納得する設定。

良く思う「この邦題は間違いじゃない?」というものこれでもそうで、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」だと「大騒ぎの結婚式」というだけだけれど、原題は「My Big Fat Greek Wedding」で「大騒ぎのギリシア人の結婚式」で、内容的も原題の方が断然あっている。

この映画は、典型的なアメリカ人で、自分と文化的に同じ様な人と付き合っているならば、この文化の差異で驚いたり、衝突し合うのは目新しくおもしろいのだろうけれど、日本だと結構この様な感じがあるので、それ程でも無い。わたしもここまでとはいかないけれど、「そんな結婚相手は駄目だ!」と言われたという話を聞いた事もあるし、親戚大勢集まってワイワイ宴会とか、親戚集まったら方言で何言っているか全く分からず、外国語じゃないのかと思える謎の言語が飛び交うとか、全く食べた事無い料理、謎の植物ばかりの料理とか、イナゴの佃煮とか、その他料理がわんさか皿に山盛りで食べきれないとかという事を経験しているので、ドタバタコメディではなく、あるあるネタに近い「こんな事あるよね。」で、共感は強いけれど笑いはそれ程無かった。

この映画の人気で、更にこの映画後TVドラマ化もされ、「My Big Fat Greek Life」として放送された。ただこのテレビドラマは見た事無いけれど、何だか微妙な感じ。主人公女性は同じくニア・ヴァルダロス、親族も同じ役者が演じているけれど、結婚相手は別人。しかも名前が主人公トゥーラはニアに、男性もイアンからトーマスに変更。しかもこのドラマ、視聴率がそれ程だったようで、7話で打ち切りにあっている。日本語吹き替えでもDVDが「マイ・ビッグ・ファット・ライフ !」という、やっぱり「グリーク」を省いた題名で出ているけれど、見る気は…。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply