陰謀のセオリー

2012年06月07日 木曜日

メル・ギブソンジュリア・ロバーツパトリック・スチュワート共演のサスペンス映画「陰謀のセオリー(Conspiracy Theory)」。

陰謀論を熱心に話すメル・ギブソンの話が、段々と現実味を持っている事が分かり始めて、ジュリア・ロバーツがそれに巻き込まれて行く。
身の回りから、政府に至るまで、ありとあらゆる陰謀論がお盛んなアメリカだからこその映画。映画やドラマでは、馬鹿馬鹿しい陰謀論を話して、「誰が興味あんねん!」で誰にも相手にされない人間が実は真実を言っているのが基本。これもそう。日本だと陰謀論はしょっぱいモノばかりで、海外からの輸入モノも沢山で映画にし難いけれど、アメリカでは現実ではそんな事は無い事分かっていてのしょうも無い冗談や、面白く騙すモノとしての陰謀論があるからエンターテイメントとして成り立っている。でも、こういう映画を大々的にすると、「ほらね!」と言う人が出て来るし、当時も出て来たんだろうな。

展開としては、胡散臭い主人公の言っている事が段々と事実と分かって来るのは分かり切った事だけれど、普通な人のジュリア・ロバーツが関わって行く事で視聴者も同じ様に体感して行く。サスペンスなんだけれど、意外とコメディ調だったりもする。メル・ギブソンがお喋りでまくし立て、行動も笑わせる様な事をするし。
しかし、後半になって行くと展開は回りくどくなる。話は分かっているのだからもっとスッと行けば良いのに、ダラッとして締まりが無くなる。全体的にも、一足二足歩調が遅い感じで、二時間十五分あるのでダレる感じもある。

有名な陰謀論を使い、陰謀論が論じゃあ無くなる展開はエンターテイメントとして、上手い。これが政府系じゃなく、宇宙系だと「X-ファイル」や「メン・イン・ブラック」になる。
水にフッ素が入っているけれど、それで国民を操っていると言うのは「博士の異常な愛情」でもソ連の陰謀として出て来てたし、陰謀論で良く出て来る「ライ麦畑でつかまえて」の使い方は、成程と結構くすぐられる使い方で、おもいろい理由付け。

演出は、この映画の始まりがおもしろい。ワーナー・ブラザーズのマークから始まるけれど、それはバスの横に付いた宣伝で、そこからはメル・ギブソンのマシンガントークで、人物紹介と、陰謀論の嘘臭さを出し、以降の伏線にもなっている。あと、自動車のワイパーが動くと字幕が出るのを見ていたら、「水曜どうでしょう」を思い出した。
何処かの薄暗い部屋で、メル・ギブソンが車椅子に縛り付けられ、パトリック・スチュワートが拷問し、水槽に付けられるって映画「X-MEN」を思い浮かべてしまう。している事もウェポンXだし。案外メル・ギブソンがウルヴァリンでも行けたんじゃないかしら。年齢的にもおっさんだし、毛むくじゃらだし、ヒュー・ジャックマンもオーストラリア人俳優だし。

この映画で一番気になったのは、ピザ。チーズとか全然乗ってなくて、生地だけなんじゃないのと思えるしょぼさで、全然美味しそうじゃない上に、箱の中ではMサイズ位の、掌を広げた位の普通の大きさだったのに、箱から取り出しカットが変わると、行き成り大きさが二倍位大きくなり、Lサイズ以上の顔よりも巨大なピザ片になっているのには爆笑。そんな馬鹿でかいピザにかぶりついているメル・ギブソンの事を、シラッと見ているジュリア・ロバーツにも笑ってしまう。
あと、実際はそんなはずはないのに、後ろから殴ったら簡単に気絶するのもパロディにしていて、クスッと来た。

この映画の中、メル・ギブソンやジュリア・ロバーツが歌う「君の瞳に恋してる(CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU)」があるけれど、オリジナルのフランキー・ヴァリの方の歌(エンドクレジットはローリン・ヒル)で、どうも違和感。「27時間テレビ」で聴き慣れているボーイズ・タウン・ギャングの方が、どうしても馴染みがある。

メル・ギブソンは、サスペンス映画だけれど意外とコメディリリーフ。挙動不審、独り言が多く、精神不安定で、それは実は…という事がある人間を演じている。確かに独り言ブツブツ言っている人はヤバい人というのは、何処でも同じか。この映画を見終わると、町にいる独り言を喋っている人を見かけると、「あの人は、実は秘密政府機関の最重要人物
なんだ…。」とは思わないか。
パトリック・スチュワートの登場は影になり顔は見えないけれど、あの頭の形と、低い響く声で速攻分かってしまった。あの大きな特徴的な鼻をネタにもしていたり、モップで水に押し込められたり、意外とコメディしていて笑える。

陰謀論をエンターテイメントしていて結構楽しめるけれど、どうも間延びする感は否めず、もうちょっとキビキビ展開すればもっとおもしろかったのにと思わせてしまう映画。

☆☆☆★★

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