ユージュアル・サスペクツ

2012年01月24日 火曜日

今でもカイザー・ソゼと言う名前が、突っ込みだったり、その他引用や例えでも使われる位知られており、映画の手法と展開で衝撃を与えた映画「ユージュアル・サスペクツ(The Usual Suspects)」。

しかし、わたしは一番良くない状態でしか見る事が叶わない、残念な状態で見た。それは、以前この映画を見たのだけれど内容はさっぱり覚えておらず、最後のどんでん返しと、ケヴィン・スペイシーの変身だけしか覚えていなかったから。見てもやっぱり内容は一つも覚えていなかった。だがそれでも、意味有り気な演出や誤認を導く話の振り方等は上手いと感心しながら、おもしろく見れた。話も、結局は何処までが本当で、嘘は何かと言うの、終わった後にもう一度考え直す様に出来ている映像的な構成も上手い。
ただ、どうも前半ははっきりとした目的が見えて来ないので、カイザー・ソゼと言う名前が出て来るまで結構退屈した。もっと早い段階から攻めても良さそうな気はするが。それと、色々煙に巻こうとしたのに結局はバレてしまい、何だかそんなに凄い奴じゃあないんじゃないの感があるのと、「ぎゃふん!」と観客に言わせるための演出的見せ場を作りたいのは分かるけれど、堂々と変身してしまうのはやり過ぎ感を感じて、笑ってしまった。それとこの映画で一番可笑しいのは、有能な弁護士の事務所のガラスに「財産・成功・力」と書かれてある所。これじゃあ、日本の観客は誰一人として、「この弁護士、凄いし、怖~!」とは思わない。これってブライアン・シンガーのお笑い感覚なのだろうか?そして、やっぱり日本の観客は、ピート・ポスルスウェイト演じるイギリス人弁護士が「コバヤシ」じゃあ、そこが何より引っかかって、「あれっ?」と怪しみまくるだろうし。

役者陣は男臭い、おっさんな俳優ばかりで濃くて良い。スーパーストームXXXでの太って、余りの冴えなさっぷりを見てしまった後で、このスティーヴン・ボールドウィンを見ると、その落差、昔のカッコ良さに何だか分からないため息が…。それとこの映画のベニチオ・デル・トロが何か気持ち悪い感じがする。今は渋めの俳優という感じだけれど、若いのもあるのか、パンチパーマみたいな髪型だからなのか。

この映画、真剣に「何が事実で、何が嘘で、一体何だったのだろう?」と考えると話も、演出も、編集も良く出来ていて、驚きと納得の感心で良い映画なのだけれど、「な~んだ…。」と思ってしまうと意外とバカバカしい映画かもしれない。
オチを初めから知ってながら見てしまうと、どうしても驚きや乗りが悪くなるのはしょうがないけれど、この感覚は何かに似ているなと思ったのは、怪談話を聞いた時、特に良く出来た話を名人が話す時と似ている。怪談話を聞くと、どうしても突っ込みを入れながら聞いて、そのオチと言うか、恐怖のピークを持って行く設定や構成、語り口に感心してしまい、話に恐怖を感じていないのと似ている。話で圧倒されての二回目に見直して感心するならより深く残るけれど、初めがいきなり答え合わせだとワクワク感は大幅減。

☆☆☆★★

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