インサイド・マン
2012年01月23日 月曜日デンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェン、ジョディ・フォスター、ウィレム・デフォーといった役者が共演した映画「インサイド・マン(Inside Man)」。
仕掛けられた罠を楽しむ映画なのだろうけれど、いまいち盛り上がらず。銀行に立て籠もった強盗が、警察に包囲され、何が目的で、どうするつもりなのかで、結構ゆっくりに展開して行くのを集中力切らさず見て行けるのだけれども、人質に服を着換えさせた時点で強盗犯の脱出方法は分かるし、クライヴ・オーウェンは倉庫での行動で、初めの一人語りと題名でどうするのか分かるし、それが分かってしまうと、なかなか進まない事件は引っ張り過ぎの感じはする。モヤモヤするのは、デンゼル・ワシントンの刑事視点の話で進み、終わるので、強盗犯の顛末が不親切だから。良く考えると、これまでの情報を繋ぎ合わせ事件の背景や行動に成程となるけれど、これで皆まあるく収まりましたでは、何も起こらず、何も解決していない感がして、めでたしめでたし感があんまりしない。それに主役のデンゼル・ワシントンが、初めは賢いのかと思ったら、操られまくりで、最後は「志村!後ろ!」で間抜けに見えたし、正義感が強いのかと思ったら、急にまあいっかぁ…になるので、何か見て行く内に微妙な人物になって行くのも、結局盛り上がらない理由かも。
役者も、張り切っているのはデンゼル・ワシントン位で、彼は変わらず良い演技をしているけれど、クライヴ・オーウェンは顔隠している場面が多く、表情が余り見えず前面に出る訳でもないので、だから配慮としてわざわざ彼の一人語りから始まったのかと思ったし、ジョディ・フォスターは特に目立つ訳でも無し、ウィレム・デフォーも本当に脇役。ジョディ・フォスターやウィレム・デフォーはシレッと出て来て、シレッと退場して、こういう使い方おもしろいとは思うけれど、役としては全然立っていない。
この映画では監督のスパイク・リーがいまいち良くない。急に混ぜ込んで来る将来の場面は、犯人達がどうするのかが分かってしまうのでこれからの展開を盛り上げるでも無し、犯人の顔は後で分かるので「誰が犯人かは分からない」という事でも無いし。特に警察の実行予定の襲撃場面を見せるのは何がしたかったのだろう?別にそのもしもが何かに絡む事も無かったし。演出も、人種差別ネタは本筋で扱った差別とは関係無いモノで、無理矢理ねじ込んだ感は強いし。
つい失笑してしまったのは、人質を撃たれてデンゼル・ワシントンが走って行く場面。デンゼル・ワシントンの前方に体に固定させたのか、彼が台車か何かに乗ってそれにカメラが固定させているのか、彼は手を動かす所か、体が動かず、スーッと滑る様に前に進んで行き、「あれっ?何で自転車で移動?それともグウェイ?」と思った次のカットでは普通に走って来るので、これが何なのか分からない場面。急にここだけ訳の分からない演出で、この後に特に説明は無いので、思い返しても、何回後から見てみてもやっぱりここだけ変。バカみたいなカット。
目を離す事無く良い流れで行き、脚本的にもおもしろいとは思うのに、見終わって思い返すと何だかグダッとした感じがする映画。思い返してみると、冒頭のクライヴ・オーウェンの一人語りは「何一人でカッコつけて喋ってんの!!」と思えて、笑けて来る。
☆☆★★★