地球が静止する日
2011年05月28日 土曜日以前、ハリイ・ベイツの原作小説「主人への告別」を読んだは良いが映画を見ておらず、果たして小説との差異はどんなモノなのか気になっていた「地球が静止する日(The Day the Earth Stood Still)」がTVでしていたので、見てみた。
しかしこれが、真につまらなかった。
1951年の映画「地球の静止する日」のリメイクで、その話をそのまま持って来ているのか分からないが、使い回された題材を21世紀にそのままやってしまっているので古臭過ぎ、「人類は地球を危険にさらすので、人類抹殺!!」って、今時のSFで今更これを大真面目にやられても…と言う位しょっぱい。また、多くの人々は野蛮でバカだけど、一部の科学者は理知的で物事を分かってるという描き方も何十年前の、半世紀以上前のSFじゃああるまいしで今更感。
異星人も長い間調査して結論を出している割に、少しの人間の人類売り込みであっさり覆してしまうし。悪い面ばかり見て人類に絶望してみたり、かと思えばちょっと良い所見せられると希望を持ったりと、純真無垢な子供並みでしかない異星人が強大な力を持つと性質が悪いという話になってしまっている。多分この宇宙人は良く出来た広告宣伝を見せられるとすぐさま電話して商品を購入してしまうのだろうなぁ…。
ほとんどつまらないのだけれど、おもしろかったのが子供の描き方。この映画では終始子供はバカでうっとおしい存在。だから、クラトゥが最後に希望を見出す場面が本来なら感動的な場面なはずが、そうでも無くなる。自己犠牲なんだろうけれど口だけだし、そのまま分解された方が教訓的で話的には良いのではないかと思わせてしまう。
この映画の元の映画「地球”の”静止する日」が、元々製作のジュリアン・ブロースタインが企画を先に考え、それに合った小説を探し出しハリイ・ベイツの短編「主人への告別」を見つけて、「謎の人物とロボットが突如宇宙船で現れる」という設定だけを引っ張って来ているので原作のはずの小説と映画では話が全然違う。原作の短編は「人は見知らぬ物にどの様な反応するか?」と言う所を主題にしたアイデアストーリーで、この映画で描かれる「何で来たか」と言う所は特に解決しないままだけど、まだ小説の方がおもしろく読める。
今現在にこの話をやってしまったので「地球が静止する日」はおもしろくなかったと思うのだけれど、オリジナルの「地球の静止する日」は冷戦下の科学技術の進歩と不安という、その時代感が話とピタッとはまっておもしろいんじゃなかろうか?と勝手に予想しているので、むしろそっちを見てみるべきだと確信。
関連:主人への告別 - ハリイ・ベイツ