プライミーバル・ニューワールド(ジュラシック・ニューワールド)

2023年10月14日 土曜日

「ジュラシック・ニューワールド」という酷い邦題のせいで題名からだと一切分からないけれど原題では「Primeval New World」で、イギリスのテレビドラマ「プライミーバル」が終わった後の2012~2013年に放送されたスピンオフドラマ「プライミーバル・ニューワールド」

発明家であり、クロス・フォトニクスの社長でもあるエヴァン・クロスは六年前に偶然時空の扉(アノマリー)を見付け、そこから現れた恐竜に妻を殺されてしまった。
それからエヴァン・クロスは秘密裏に会社を使って少人数で時空の扉を探しながら研究を続けており、そこに捕食動物対策班の自然保護官ディラン・ウェアーが時空の扉の存在を知った為エヴァン・クロスのチームに加わる事になった。

元々の「プライミーバル」をAmazon プライムビデオでの配信が終わりそうだからという理由で最終シリーズ5まで見終わり、「プライミーバル」がまだおもしろく見れたのがシリーズ2位までで、製作放送していたITVの経営難で一旦はシリーズ3で打ち切りだったのがシリーズ5まで続き、そのシリーズ4・5は蛇足感一杯でわたしの中では大分尻すぼみのまま終わってしまったので、更にそのスピンオフドラマがあるのを知っても見る気が全然起こらなかったけれど、この機を逃すと二度と見る事は無いんだろうなぁと思ってしまったので続けて見てみた。

「プライミーバル」は舞台がイギリスで、「プライミーバル・ニューワールド」はカナダのバンクーバーと舞台が違うので景色や雰囲気も違い、登場人物も別人なので初めは新鮮に見れて結構楽しかった。
ただ楽しかったのは数話位までで、段々と一話一話の話が大しておもしろく感じなくなり、古代生物の対処も工場とか倉庫とか狭い場所でまごまごしている感じが多くなって楽しくなく、映像的にも地味で引きが無い感じで興味が急激に薄れてしまった。
登場人物達の関係性を「プライミーバル」よりは詳しく描いているけれど全体を通しての謎は一話目に出しておきながらもそれ以降はさっぱり出して来ず、謎で引っ張りまくっていた「プライミーバル」と比べると全体を全然引っ張りもしないので一話を見進める楽しさも無くて最後まで見切る気力が湧いて来ず、「プライミーバル」を全話見たので、そのスピンオフを見始めてしまったからの義務感ばかりで見てしまっていた。

古代生物は一話目ではアルバートサウルスやラプトルやプテラノドンが登場して見た目にも派手なアクション志向のドラマになっていたのに、二話目では巨大な蛇。
三話目は小さい虫の大群。
四話目は巨大な鳥ティタニスと急激に地味になってしまい、その後も「プライミーバル」にはあった古代生物への対処のワクワクアクションが鳴りを潜めてしまっていて、こちらが地味になったのはやっぱり「プライミーバル」よりも予算が少なかったからなのかなぁ?と思えてしまった。

全体的には結構まったりと話が進んで行くのだけれど、一話目では時空の扉の詳しい説明もないまま時空の扉から古代生物が現れたり、何かの技術でその時空の扉を探知出来ていたり、既に社長周辺では人を集めて時空の扉対策班が出来ていたりと話が早過ぎる展開。
これは「プライミーバル」を見ていれば時空の扉の設定とかを知っているのですんなり入って来るけれど、「ジュラシック・ニューワールド」という邦題に騙されて何の前知識も無く見始めた人って置いてけ堀にならないのだろうか?と思ってしまう位。
特に何の説明も無いままいて一話目以降急に出て来ない謎の男も「プライミーバル」を見ていれば「プライミーバル」で一話目から登場し、中盤以降はほぼ主人公だったコナー・テンプルなので行動も何となくは分かるけれど、このドラマでは一話目以降ずっと説明は無し。
最終話になって再びコナー・テンプルは出て来るけれど次のシーズンを見据えてコナー・テンプルの行動や説明は極端に少ないまま。
なのでコナー・テンプルに関しては行動がよく分からず、「プライミーバル」では散々時空の扉から出て来た古代生物に何とか対処し、時空の扉を一時的に通行不可能にする方法も見付けたのにそれを教えようともせずにエヴァン・クロスに対して時空の扉は危険だから放っておけと言うのに最終話では「プライミーバル」と同じく時空の扉を通行不能にする装置を使っていて、コナー・テンプルはどうしたいのか?エヴァン・クロスにどうさせたいのかはよく分からないまま。
それにこのコナー・テンプルの時空の扉は放っておけと言う行動が「プライミーバル」のシリーズ5の後の話ならまだ分かるのだけれど、それだと「プライミーバル」のシリーズ5では世界中に時空の扉が現れて古代生物があふれ出したからカナダ人達が時空の扉を知らないというのも矛盾しているし、結局この「プライミーバル・ニューワールド」が「プライミーバル」のどの時点の話なのかも分からず、コナー・テンプルもどの時点のコナー・テンプルなのかも分からないまま。
これは本来続きでやるのかもしれなかったのだろうけれど、このドラマの評判と視聴者数が悪くて打ち切られたので結局何も解決もしない。

もう一つ一話目では時空の扉から謎の人物が現れて社長を助けたという話が出て来たけれど、この謎を毎回小出しにして全体を引っ張って行くのかと思いきや、この謎を出し始めたのが結構終盤からと展開も遅く、出して来た頃にはそう言えばそういう話もあったなぁ…と思い出す位の薄さ。
この謎もコナー・テンプルの「今を生きるんだ」という台詞で丸め込んで結局何にも分からないままで終わり。

新たな要素としておもしかったのがケン・リーズ。
カナダ軍の中尉で、数十年前にカナダ軍が研究していて表向きは中止になったらしい磁気プロジェクトを引き継いで何やらしている人で、人が寄り付かない荷物だらけの部署で一人だけで宇宙人やら何やらを調査しているって、もろに「X-ファイル」のフォックス・モルダー。
このケン・リーズにかかれば政府関係や報道は抑えられるという便利屋なんだけれど、軍関係で暗躍しているというもう一つの謎の軸を出して来て、こっちも興味を持たせる様になっている。
ただ、このケン・リーズも全く出て来ない回があったり、数話進んでもこの話は全然進まなかったりと余りに間延びし過ぎでこっちも急激に興味が薄れてしまった。
この話も終盤で急に進むんだけれど、それが軍人の指導者が現在の気候変動の問題を解決する為に時空の扉を使って古代から変化させようとしているという意味不明な話で、時空の扉が出現場所も消滅する時間も特定出来ず、どの時代に繋がるのかも分からない時空の扉で過去に行って、そこの環境を変えて現在の環境を変えるとか無茶苦茶過ぎ。
エヴァン・クロスは当然反対するのだけれど、その理由が不確定要素しかない時空の扉を使う危なさではなく、過去に干渉すると現在が変わってしまうかもしれないからという理由で、これは「プライミーバル」を見ているとシリーズ1から2へのクリフハンガーで過去から戻ると何かによって現在が今までとは変わってしまい、急にアーク(ARK【Anomaly Research Centre】)という巨大な組織と施設があったり、今までの仲間の中で一人だけ存在が無くなり別人になっているとかの変化があったので過去への干渉は危険だと知っているけれど、このドラマではその過去への干渉で現在が変わったという描写が無いので何も確証が無く、エヴァン・クロスと対立する軍人がどちらもずっとかもしれない話ばかりしているのでどちらにもピンと来ないままという不味い展開に全く乗って行けなかった。
エヴァン・クロスは過去への干渉は良くないと言って常に古代生物を過去に返そうとするんだけれど、古代生物を銃で殺そうとしても必死に止めないし、恐竜が助からないからという理由で安楽死させたりもして結構いい加減。
そういう古代生物を現代で殺してしまったりしても現在が特に変わらないのでエヴァン・クロスの主張が空しく空回りしているだけにしか見えず、やっぱり脚本が中途半端と言うか足りてない。

エヴァン・クロスは時空の扉をやたらと自分達だけで対処研究したがっていたけれど、既にケン・リーズが事情を知った時点で政府や軍が関わって来るのは明らかで、エヴァン・クロスがケン・リーズや軍を排除していれば向こうも強硬手段に出るのも分かった事で、エヴァン・クロスってアンジュ・フィンチみたいな外交や経営が出来る人がいないと駄目な人だし、仲間にも秘密を作って自分の為に行動していたりと大分曲がった人なのに、ずっと正義の主人公的な扱いだったのも乗って行けなかった。

このドラマは「プライミーバル」のスピンオフと思うとどうしても「プライミーバル」と比べてしまって、「プライミーバル」にはあった毎回の古代生物の対処や時空の扉を徐々に知って行く一話一話の面白味がこれには無く、シリーズを引っ張る謎も初めに出しておいてその後は触れないという全体の構成が不味くて見続ける興味が湧かなかったし、出すだけ出した謎とか、それって何だったの?という疑問は結局打ち切りなので一切答えが無いので気にするだけ無駄で、見終わると「プライミーバル」のスピンオフだからといって別に見なくてもいいドラマの様な気がしてしまった。
 
 
関連:プライミーバル シリーズ1
   プライミーバル シリーズ2
   プライミーバル シリーズ3
   プライミーバル シリーズ4
   プライミーバル シリーズ5

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