プライミーバル シリーズ4

2023年09月25日 月曜日

シリーズ3は主要俳優の連続降板でこれまでの軸が無くなってしまい、その軸が無い中何とか最後まで行ったけれどここから更に話を続けるのも中々きついよなぁ…と言う内容の問題ではなく、製作放送していたイギリスの放送局ITVが世界金融危機で倒産しかけたので製作費のかかるこの「プライミーバル(Primeval)」もシリーズ3で打ち切りとしたはずだったのが、ITVとUKTVの共同制作プラスBBCからの資金提供もあって更に2シリーズ13話が作られる事となり、シリーズ3から約二年後の2011年に放送されたシリーズ4。

シリーズ3でほぼこれまでの話に片が付いた事もあり、間が空いてのシリーズ4なので、そのままこれまでの続きなはずなのに一旦終了したドラマが数年後に続編として開始されたスピンオフドラマ感が強くて、最早「プライミーバル2」みたいになっている。
これまでの流れとは違って心機一転…なら良かったけれど、これまで「プライミーバル」で大きな軸となっていた主人公ニック・カッターと妻のヘレン・カッターが関わる時空の扉(アノマリー)の話がニック・カッターもヘレン・カッターもおらず、一番の黒幕だったヘレン・カッターがいなくなってしまったので話の蛇足感が凄く、新たに出して来たシリーズを通しての軸となる謎が引きが弱い上に展開がゆっくり過ぎで、しかも毎回の古代生物の対処も勢いが無くて全体の失速感が凄い。

一話目でシリーズ3の最終話で古代に置き去りになったコナー・テンプルとアビー・メイトランドが戻って来るけれど、シリーズ3でチームのリーダーにしらっとなっていたダニー・クインは行方不明のまま。
これはダニー・クインを演じていたジェイソン・フレミングがシリーズ4に参加しなかったからだけなんだろうと思ってしまうと興が覚めたし、シリーズ3の一話目からレギュラーだったサラ・ペイジもシリーズ4では一話目に死んだっぽい話だけで済まされてそれ以降は全く触れられもしないという扱いの酷さで、「プライミーバル」って役者の投降板に振り回されてしまっていた感じ。

コナー・テンプルとアビー・メイトランドが一年間行方不明の間にアーク(ARK【Anomaly Research Centre】)は何故か民間運営になり、施設も別で、メンバーもずっと運営していたジェームズ・レスターはそのままで、シリーズ3からのレギュラーだったヒラリー・ベッカーだけが残り、後の人は新顔ばかりで顔触れでもやっぱり別ドラマ感一杯。
このドラマお馴染みの登場人物の背景や気持ち等を深堀しないので、チームのリーダーのマット・アンダーソンはずっとこの人は何で、何を思って行動しているのだろう?と分かりにくく、シリーズ3からレギュラーのヒラリー・ベッカーも特に詳しく描かれないまま。
コナー・テンプルとアビー・メイトランドも一年も恐竜のいる古代で生き抜いて来たのにアークにすんなりと復帰し、古代での辛さやトラウマ的なモノは全然無いし、これまでずっとやって来た二人が同居しているけれど微妙な距離感の関係性も一年二人っきりだったからくっついたのでもういいでしょ!な感じでほとんど詳しく描かず仕舞い。

政府としてはより情報統制したいはずなのにアークを民間に渡すとか、一番時空の扉(アノマリー)に詳しい戻って来たコナー・テンプルとアビー・メイトランドは今の規則では雇う資格がないからという理由でアークから追い出そうとしたりと、コナー・テンプルとアビー・メイトランドがいない時間が長くて元に戻るのは難しいという展開をしたのは分かるけれど情報を外に駄々洩れさせたいの?と思える馬鹿さ加減で序盤から興味の持てない脚本。

シリーズを通しての引っ張りの謎も、アークを運営している企業の社長フィリップ・バートンは良い人みたいだけれど怪しいというのを何度も見せるけれどそれ以上発展しないし、マット・アンダーソンも誰かに関わっていて謎の意図があるのでは?で引っ張るけれど最終話まで発展しなかったし、19世紀から来たエミリー・マーチャントも何かあるのでは?で散々引っ張っておきながら時空の扉関係で特に何かの発展も見せず19世紀に帰還するし、一番怪しい19世紀からエミリー・マーチャントと一緒に来たイーサンという人物が時空の扉の謎に関わっているのでは?で引っ張って来たにも関わらず、最終話で実はダニー・クインの弟で助けに来てくれなかったダニー・クインへの復讐をする為だったと言ういまいち訳の分からないで時空の扉へ消えるし、全部の謎は引っ張った割に全体的に間延びしていたしグッダグダに終わってしまって大分酷かった。

フィリップ・バートンの話は多分初めからシリーズ4・5の13話で続けての製作で初めから2シリーズに渡っての謎を出す計画だったから引っ張りまくってしまった結果展開が間延びしてシリーズ4では何も解決しなくなっているのかと思った。

エミリー・マーチャントはあれだけ重要人物っぽく出しておいて時空の扉の謎とは特に関係なく、特に何をする事もなく帰って行ったのはエミリー・マーチャントで何がしたかったのだろう?
マット・アンダーソンとの薄くしかなかった関係を描く為?

イーサンも最終話で何かよく分からない内にダニー・クインが戻って来て、そのダニー・クインと関係させる為の実は弟だった…にしたのかしらん?
ダニー・クインを演じたジェイソン・フレミングがシリーズ全部には出演出来なかったけれど都合をつけて一話だけ出られる様になったので、じゃあこことこことをくっつけますか的な唐突な展開に感じたんだけれど、この正体ならイーサンと19世紀をくっ付けた意図もいまいち分からず、逆にゴチャゴチャしただけに思ってしまった。
最後もイーサンは本当に兄への復讐でもそれで行動がすんなりとは府には落ちないし、何だか訳の分からない理由で古代に行くし、ダニー・クインも弟を追っかけてお終いというのも何だかなぁ…だし、このイーサン周りってグチャグチャしただけだった。

六話目でシリーズ1からのレギュラーでシリーズ3の途中の退場だった元クローディア・ブラウンのジェニファー・ルイスが再登場したけれど、本当に今は幸せに暮らしていますという顔見世だけで終わり、この登場が何にもならなかったのもしょっぱかった。
このドラマを毎週一話で二年越しのシリーズ4の終盤での再登場を見たなら懐かしさがあって良い回なんだろうけれど、配信終了間近で一日に二三話を連続して見ていると懐かしさなど無いので結構どうでもいい回になってしまった。

このシリーズ4で一番オッ!と思ったのが、このシリーズからオープニング・クレジットで各役の俳優の名前は出るけれど顔が出なくなっていたけれど一話目でアレクサンダー・シディグの名前が出て来た事で降板が続くドラマで新たなレギュラーでアレクサンダー・シディグが出るんだとちょっと喜んでしまった。
アレクサンダー・シディグと言えば「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」でのドクター・ジュリアン・ベシア役でお馴染みで、それから十数年経って見たら結構おじさんになっていたなぁ。
「DS9」のシーズン1の時が28歳で、このドラマでは46歳で白髪髭だと老けを感じた。

シリーズ3でこれまでの話は大方決着が付いているので話は蛇足ばかりに感じてしまったし、謎の引っ張りの展開もおもしろくなく遅いし、毎回の古代生物対処もいまいちで完全に惰性的に見てしまっている。
シリーズ3で大団円にしておけば良かったのに…と思うけれど、次シリーズで上手い事幕を引けるのかだけを気にして、この配信終了で次は何処でも配信しない可能性もあるので、そこの部分で最終シリーズを見てみようと思う。
 
 
関連:プライミーバル シリーズ1
   プライミーバル シリーズ2
   プライミーバル シリーズ3
   プライミーバル シリーズ5
   プライミーバル・ニューワールド(ジュラシック・ニューワールド)

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