ディープ・ブルー
2022年05月01日 日曜日レニー・ハーリン監督、トーマス・ジェーン主演の1999年のアメリカ映画「ディープ・ブルー(Deep Blue Sea)」
太平洋の海上施設アクアティカでは鮫を使ってアルツハイマー病の治療薬の研究を行っていた。
そのアクアティカで飼っていた鮫が逃げ出し人間を襲おうとした為、研究費を出している製薬会社は施設の閉鎖を研究の主導者スーザン・マカリスターに注げるが彼女は間もなく治療薬が完成すると主張し、製薬会社社長がアクアティカに視察に来る事となった。
最終的な実験の為に鮫を捕獲するが鮫が暴れ出して研究員を襲い逃亡。
鮫はアクアティカの海中の窓を壊して大量の水を入れて施設を破壊し始め、鮫はアクアティカに入り込んで人間を襲い始めた。
この映画は確かテレビの地上波で何度か放送していたのを見た事があったはずだけれど、改めて見てみたら昔見た印象と変わらず結構おもしろかった。
閉鎖された海中の施設が破壊されて海水が流れ込み、更には鮫が入って来て人々を襲うって、多分この当時から何処かで見慣れた設定ではあったはずだけれど、アクションサスペンスとして最後まで一気に見せるし、この手の映画の典型を見せつつもすかして意外な展開に持って行ったりして中々上手い。
初めから船上でイチャイチャする男女が鮫に襲われ、これがよくあるホラー映画だとイチャイチャする男女は殺人鬼やモンスターに殺されるのが典型な所を主要人物が現れて助けるので掴みからちょっと典型からずらしている。
序盤に登場したスーザン・マカリスターが主導で話が進んで行くので、てっきりこの人が主人公だと思ったら、結局スーザン・マカリスターが全ての元凶であんな最後を迎えたり、カーター・ブレイクがヒーロー的な主人公となって進んで行くけれど、LL・クール・J演じるコックのプリーチャーが大活躍だし、過去に何かあって冷静に皆を導こうとするサミュエル・L・ジャクソン演じるラッセル・フランクリンが役的に掘り下げておきながら良い事言う演説途中で鮫にパックリいかれてしまったりと、誰が主人公なのかをあえて絞らない様に展開して行くのがおもしろかったし、こういう持って行き方は上手い。
アメリカのポスターも日本のポスターもスーザン・マカリスターと鮫なので、どうしてもスーザン・マカリスターが鮫と戦って周囲の人間が次々と死んで行く様な展開を想像してしまうけれど、このポスターもわざとこういう絵にして観客にそっちに振って違う方に持って行く驚きをやっているんだろうな。
序盤の結構間延びする施設での日常は退屈ではあったけれど、それもそこから施設が大爆発で止まる事無く一気に持って行く為の仕掛けなんだろうな。
監督のレニー・ハーリンは、1990年の「ダイ・ハード2」。1993年の「クリフハンガー」を大ヒットさせて調子が良かったのが、続く1995年の「カットスロート・アイランド」が大赤字。1996年の「ロング・キス・グッドナイト」も赤字で、その次のこの「ディープ・ブルー」は製作費6000万ドルに対して全世界興行収入1億6464万ドルとそこそこのヒット。
続く2001年の「ドリヴン」。2004年の「エクソシスト ビギニング」も赤字と続く事を考えたら、この「ディープ・ブルー」って実はレニー・ハーリンの快作なんじゃない?
この映画、結構意外な展開で次はどうなるんだろう?で飽きずに一気に見れてしまう。
それに、終始この大量の水を使っての撮影は制作側も役者も相当大変だったろうなぁ…と思いながら見ていると楽しく見れたし、アメリカ人って過去現在も鮫映画が本当に好きだよなぁ…と思ってしまい、映画外の部分でも楽しめてしまった。
☆☆☆★★