遊星からの物体X ファーストコンタクト
2021年11月18日 木曜日マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア監督、メアリー・エリザベス・ウィンステッド主演の2011年のアメリカ映画「遊星からの物体X ファーストコンタクト(The Thing)」
1982年の映画「遊星からの物体X」の前日談。
1982年。南極大陸でノルウェー観測隊が氷の下に巨大な物体と地表近くに氷漬けになった生物らしき物を発見した。
古生物学者ケイト・ロイドはサンダー・ハルヴァーソン博士に要請されて南極大陸へと調査に赴く。
氷漬けの生物を氷毎切り出したが中の生物が逃げ出し基地の人々を襲い出した。
何とか生物を殺したが、生物の血液を調べると細胞が人間の細胞を吸収し人間の細胞に擬態する事が分かり、人間だと思っている人々の中に擬態した生物がいるのではないと皆が疑心暗鬼になり始める。
「遊星からの物体X」から約三十年後に製作された、何故この時期だったのか?の前日譚だけれど、やっている事は「遊星からの物体X」とほぼ同じというリメイクっぽい前日譚。
わたしは以前に「遊星からの物体X」を見て、今では大体の事はあんまり覚えていない状態ではあったけれど、この映画を見ながら「遊星からの物体X」を思い出したのは、やっている事が「遊星からの物体X」とほぼ同じだったから。
謎の生命体が人間に擬態し、皆が疑心暗鬼になり、生命体が姿を現して人々を襲って行くという部分はほぼ同じで、内容や展開が前日談というよりリメイクで、前日譚としてはこうなるだろうなぁ…だし、わざわざ前日譚を描いた意味が分からず、これなら「遊星からの物体X」の完全リメイクの方が良かったんじゃないだろうか?と思ってしまった。
オリジナルと展開の違う部分は、始まりは宇宙船らしき物体と地球外生命体らしき生き物の説明からだけれど、生物暴れる → 擬態による不信感 → 生物暴れるという展開になるので、生物が暴れた分だけ中盤の不信感のサスペンス部分が今更で弱くなり、結局は後半で生物が暴れるので不信感がいらなかった様な気になり、中盤の前半と後半で全然別の化け物が暴れるのでこの生物の設定が何だかよく分からなくなってしまい、構成としてどうなの?と感じてしまった。
「遊星からの物体X」を見ていると、この生物から擬態して…の展開が分かり切っているので、前日譚とは言え同じ様に感じてしまったし。
微妙に感じたのは主人公も。
何故二十代位の若い学者を連れて行くのかは特に説明はなく、信用出来るベテラン学者の方が良いのでは?と思った。
そして、この若い学者が次々と生物の生態を解説して行き、それに対して1982年のむさ苦しい男達が若い女性に反発もしないのが不自然で、何故主人公を若い女性にしたのかがこの映画からは見えて来ない。
それに「遊星からの物体X」ではノルウェー観測隊はヘリコプターで犬を追っていた人間以外死亡したはずだったのに、主人公が生き残ったのも不満点。
生き残った人物がヘリコプターで犬を追って行き「遊星からの物体X」に繋げる終わりは良いけれど、主人公の部分は編集でバッサリと切られた様な特に何も感じさせない感じで終わってしまい物足りない幕切れだったし。
「遊星からの物体X」はカート・ラッセルが活躍するからワクワク感があったけれど、女性が火炎放射器でエイリアンと戦うなんて、ほぼエレン・リプリーで、映画エイリアンシリーズ的な要素が強くなってしまうし。
この映画、「遊星からの物体X」から約30年後に前日談を描いたにしてはほぼリメイク作で、もっと派手にするとか、心理描写を延々と描くとかも無くて前作を超える様な何かが無く、この映画を作った意味があるのか無いのか分からず。
やっている事がほぼ同じなので、だったらジョン・カーペンターだし、カート・ラッセルだしの「遊星からの物体X」だけで良い様な気がしてならなかった。
興行的にも製作費3800万ドルに対して全世界興行収入が3150万ドルと赤字になってしまい、まあそうだろうなぁ…と。
☆☆★★★
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