11ミリオン・ジョブ

2021年11月12日 金曜日

ディート・モンティエル監督、リアム・ヘムズワース主演の2013年のアメリカ映画「11ミリオン・ジョブ(Empire State)」
1982年にアメリカで起きた実際の事件を基にした映画。

警官を目指していたクリス・ポタミティスは友人エディの巻き添えで逮捕された過去の記録が残っており、警察の採用試験を受けれず警備会社で働く事なった。
クリスと相棒が集金に回っていると強盗に襲われ相棒が死亡。
相棒には警備会社からは見舞金が少ししか払われなかった。
更に父親はクリスが原因で仕事を首になり、クリスは不満を抱えたまま警備の仕事を続けていた。
その警備会社は2000万ドル以上を集金して保管していたが警備は甘く、夜勤ではクリス一人が警備をしており、クリスは保管していた金の一部を盗み出してしまう。
この出来事をエディに話すとエディは警備会社から更に大金を盗み出そうと持ちかけて来た。
クリスはその計画に乗るが、犯行当日に突然刑事達が通報を受けたと警備会社に捜査にやって来た。

ドウェイン・ジョンソンが出ていると言うので見てみたけれど、ドウェイン・ジョンソンが出ている意味も薄いし、話もサスペンスやコメディや社会風刺としてもどれもおもしろくはなかった。

序盤は主人公の置かれた立場をじっくりと描いてはいるけれど余りに間延びして退屈。
ここで主人公はそんなに悪い人間ではないという描き方ではあるものの、父親の首もそうだし、金に手を出して、それを見せびらかして、一番の情報駄々洩れのお喋りの友人に話してしまい、ほとんどの事は主人公が原因で、主人公の馬鹿さ加減ばかりが目立ち、なのに主人公の馬鹿さを立たせる訳でもなく悲劇的に見せようとしているので何か噛み合っていない。
この全てが悪い方へ落ちて行くというのをサスペンス的に見せるかと言えばそうでもなく、ただそこかしこでボロが出ているだけの様な感じ。
結局この事件で何を見せるのかがはっきりしていない感じで、見ていても頭の悪い人々がめりはりも無く失敗するだけなのでおもしろくない。
最後も全てが悪く回り、結局皆が逮捕されて哀しい終わり…だったのに、最後よく分からないけれど釈放されました…から、クリス・ポタミティス本人が登場して楽しそうに喋って、「お金はどうなったのかな?ハハハ!」って、何処に着地させたいのか分からない。
この映画にクリス・ポタミティス本人がプロデューサーに入っているのでクリス・ポタミティスが自分を悪く見せない為に色々と口を出して主人公が映画の登場人物としてはぼやけた人物になってしまったのかな?と思ってしまったし、クリス・ポタミティスが出たがりで映画本編の雰囲気とは違った終わりになってしまったのかな?と思ったり、~プロデューサーと付く役職の人が三十人以上もいるので、あちこちから口を挟まれれ結局何を見せたいのか分からない映画になってしまったのかな?とも思ったり。

輸送車が襲われて警備員が殺されているのに、その後も緊張感も無いままの警備員達や警備会社とか、会社が強盗に襲われているのに特に何もしない警備会社とかはその後の強盗に繋がらないので映画の展開上とは言え酷い緩さだし、何度も強盗に襲われるけれど、それが一体誰の計画だったのか?とか、登場した人物と関係のある強盗だったのか?単なる偶然なだけ?とかもよく分からないままだし、映画の初めのクレジットでリアム・ヘムズワースの次でドウェイン・ジョンソンの前に出ていたエマ・ロバーツはクレジットの優遇に比べるとほとんど登場せずに全くいらない役だったり、意味有り気に登場したFBIや連邦検事はそれ以降全く登場しないし、脚本も本当にグダグダしていて、後から相当手が入ったり削除されたんじゃないかと思える位。

役者では、主人公のクリス・ポタミティス本人はギリシア系アメリカ人なんだけれどリアム・ヘムズワースが全然ギリシア系に見えない。
リアム・ヘムズワースはオーストラリア人なんだけれど、兄のクリス・ヘムズワースと似ていて、クリス・ヘムズワースがソーをやっているので北欧系にみえてしまうから?

ドウェイン・ジョンソンは変わらずドウェイン・ジョンソンなんだけれど、この役がドウェイン・ジョンソンの意味ってあるのかしらん?
別にドウェイン・ジョンソンじゃなくても良いし、見た目がスキンヘッドでトンデモないマッチョでなくてはいけない役でもないので寧ろドウェイン・ジョンソンではない方が良い様な気がしたし。
それにこのドウェイン・ジョンソンの見た目では全然1980年代感が無いし。

この映画、結局何処の何を見せたいのかがはっきりせず、おもしろくなりそうな題材を無駄にしてしまった感じ。
サスペンスに振り切る訳でも無く、転落人生に振り切る訳でも無く、ドウェイン・ジョンソンを活躍させる訳でも無く、この題材を買って製作が進んでしまったので作った感がある映画。

☆★★★★

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