空の大怪獣ラドン

2019年04月05日 金曜日

本多猪四郎監督、円谷英二特撮監督、佐原健二主演の1956年の日本映画「空の大怪獣ラドン」。

熊本県阿蘇の炭鉱で炭鉱夫達が行方不明になる。
炭鉱夫達の死体が発見され、事故かと思われたが鋭利な刃物による殺害と分かる。
更に被害者が増えたが炭鉱夫達が住む住宅地で巨大なヤゴの様な生物メガヌロンが現れた。
警察や自衛隊が銃で応戦するが炭鉱の奥へと追い返すだけだった。
その後阿蘇で地震が起こり、大規模な崩落が起きた。
その直後に熊本では謎の高速飛行物体が確認され、自衛隊の戦闘機を破壊。
更には家畜を連れ去り、人間まで襲っていた。
その高速飛行物体は崩落で現れた炭鉱の奥にあった洞窟で卵から孵化した古代の翼竜ラドンだった。

1954年の「ゴジラ」。1955年の「ゴジラの逆襲」に続けと作られた東宝の怪獣映画。
特撮は結構おもしろい部分はあるけれど、話がつまらないし水増し感がある。

序盤の炭鉱の部分やメガヌロン登場までが長いし、そもそも「空の大怪獣ラドン」なのに何で地中から出て来た巨大なヤゴを見ているんだろう?と何の映画を見ているのか分からなくなってしまう。
序盤の主人公の炭鉱技師の一連の話は別にいらないし、記憶喪失も何で必要だったか分からない、いらない話。
序盤の主人公だった炭坑技師は中盤以降話の主軸にならず、何時の間にか主人公は博士の方になって、何で炭坑技師がそこにいるの?状態だったから、やっぱり序盤はいらない様な気しかしなかった。
メガヌロンはラドンの餌になっていたけど、外に出て家畜を襲ったりもしているのだからメガヌロンは省いてさっさとラドンを出さなかったのは何なのだろう?
まあ、ラドンを出すと特撮にお金も時間も手間もかかるだろうから、別にいらないメガヌロンで引っ張っていた様な気がしないでもない。

ラドンが出て来てからは戦闘機との空中戦や町の破壊とかの特撮が増えて見場も多いし、特に最後の阿曽山大噴火とか非常に綺麗で特撮史上の中でも有数の名場面かもしれない。
ただ、ラドンと戦闘機との空中戦はどっちがどっち向いて何をしているのかが分かり難かったし、ラドンが空を飛んでいる時はカッコいい感じだったのに、町に降りて立っていると全身が結構ブルブル震えて弱そうだったし、一番最後の二匹のラドンが噴火した阿蘇山から飛び出て来たのに、何だか分からない内に勝手に力尽きて落ちて燃えてしまうとか、結構微妙ではあった。
最後の二匹のラドンの墜落は、吊っていた線が切れてしまって落ちちゃったのをそのまま使ったという話を以前に聞いた事があったので、「これかぁ…」という部分で関心して見ていたけれど、何だか訳も分からず説明も無くラドンが死んでしまう意味不明さがあるし、あれだけ町に被害をもたらし人も結構殺していたラドンが死んで行くのに対して登場人物達が急に感傷的に見つめているのもいまいちピンと来なかった。

あと、ラドンと言う名前は映画内でラドンと付けた説明が出て来ないので不明で、プテラノドンと似ているからラドンなのか分からないけれど、急に博士が「ラドン」と呼んで皆も普通に「ラドン」と呼び始めたのには物凄い置いてけ堀感を感じてしまった。

この映画、特撮部分は結構凄い部分もあるけれど、話がつまらないのでラドンの登場まで集中力が持たない。
メガヌロンとかいらないからラドンに絞って展開すればもっとおもしろかった様な気がしないでもない。

☆☆★★★

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