フラッシュフォワード

2018年04月03日 火曜日

アメリカでは2009~2010年にABCで放送されたテレビドラマ「フラッシュフォワード(FlashForward)」。
ロバート・J・ソウヤーのSF小説「フラッシュフォワード」が原作。

ある日、世界中の人々が突然意識を失い倒れた。
その間に自動車事故や航空機事故等が多発し、世界は得体の知れない同時ブラックアウトに混乱していた。
人々がその謎の意識喪失を調べて行くと全員が同じ時刻から2分17秒間意識を失っていた事が分かり、更にその意識不明の間には半年後の自分を見ていたフラッシュフォワードが起こっていた事が分かった。
FBI捜査官のマーク・ベンフォードは意識不明中に自分がそのブラックアウトの原因を探って捜査をしているフラッシュフォワードを見た事により、FBIでのブラックアウト事件の捜査を任される事となった。

以前から何かでこのドラマの粗筋を見ておもしろそうと思っていて、何で見られるのかな?と調べてみたら、わたしがDlifeを知る前にDlifeで「フラッシュフォワード」の放送が終わっていて、何時か再放送しないかな?と思っていたら、突然Dlifeの配信限定で配信されていたので見てみた。

謎のブラックアウトが起こっただけでなく、そのブラックアウト中に未来らしきモノを見るという導入からおもしろさ一杯。
そのフラッシュフォワードの中でマーク・ベンフォードが捜査しているブラックアウトの情報を思い出しながらブラックアウトを捜査して行くという展開で、次々と出されるマーク・ベンフォードが見た繋がりがあるのか分からない捜査情報がブラックアウトの原因に繋がり始め、登場した人物達がブラックアウトの原因に繋がり始める展開とかワクワクしっぱなし。
ただ、わたしも事前にシーズン1で打ち切りだと知っていたけれど、中盤から終盤にかけて、「これ、謎が明かされないままで何もまとまらないんだろうなぁ…?」という感じが急にし始めたのだけれど、それが予想が的中。
全てが解決せぬまま、全てを投げっ放しで終わってしまい、正直酷いドラマだった。

1話目は流石に抜群の引き。
謎だらけで始まり、最後にはブラックアウト中に一人だけ動いている人を登場させて、こんな始まりだと次が見たくてしょうがなくなるじゃん。
ただ、始まりで事故を見せてから四時間前のマーク・ベンフォードの幸せな普段の朝を見せるという展開や演出が余りに典型と言うか、在り来たり過ぎて、大丈夫?とは思ったけれど、このドラマの監督・脚本が相当評判が悪かった映画「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」の製作総指揮・脚本だったデヴィッド・S・ゴイヤーだからなのかと思ったり思わなかったり。

ただ、その後の展開はFBIを中心としたブラックアウト事件の捜査が証拠らしき細かな事物を見付けて徐々に全体像に迫って行くのは抜群におもしろいのに、各個人の問題に移ると途端に流れが急停止してしまい退屈と感じてしまう。
ロイド・シムコーとマーク・ベンフォードの妻のオリヴィアの話も結構だるいし、ブライス・ヴァーレイのフラッシュフォワードの話も、もしかしてシーズン2以降で何か重大な展開に繋がる予定だったのかもしれないけれど、見ていても全くいならい話だったし、話数がフルシーズンの全22話だからの間延び間があった。

9話「ケイコ」では、ブライス・ヴァーレイが見たフラッシュフォワードの中の日本人女性ケイコ役で竹内結子が登場。
話自体はそんなモノか…という感じではあるのだけれど、この回は日本が舞台で本当の日本を知っていると、このアメリカ感一杯の偽物日本にどうしても引っ掛かってしまう。
小さな寿司レストランと言っていたはずなのに、その店は広々としていて、厨房の前に「ラーメン」と堂々と書かれた暖簾がかかっている中国料理店だったり、竹内結子の家は鍵も付いていない開き戸を開けたら直ぐに仕切りの無い居間や台所がある日本では珍し過ぎる古めの日本家屋とか、古い家屋のある住宅街なのに家の前に自動車が路上駐車しまくっている日本では余り見かけないアメリカの都市部っぽい町並みとか、まあ彼方此方日本っぽくなく、如何にもアメリカの美術担当が作りましたなモノばかり。
この回で一番不思議だったのは吹き替え。
竹内結子と会社の同僚と刺青屋だけは演じている人そのままの声なのに、それ以外の日本人は皆吹き替えになっていた。
字幕版だと皆日本語で喋っているのに、何で吹き替え版だと一部の人は吹き替えだったのだろう?
あと、吹き替え版だとブライス・ヴァーレイが日本語の練習をしている部分が英語の台詞も日本語の台詞も日本語なので、日本語の練習だと分かり難い。
他のドラマもそうだけれど吹き替え版で日本語喋る人物出て来ると訳が分からない事になるよなぁ。

笑ってしまったのは11話「ゼロの実体・前編」。
全22話の丁度真ん中になるこの回では、以前から出ていたマーク・ベンフォードの見たフラッシュフォワードは酒を飲んでいたので途切れている部分あり、その部分を思い出すという、今までのマーク・ベンフォードが見たフラッシュフォワードだけではこれ以降の展開では足りないから付け足しを行なっている感じに製作側の都合感が感じられてニヤニヤしてしまった。

この前後編は結構おもしろかったのだけれど、12話「ゼロの実体・後編」の方は物凄い疑問があった。
ロイド・シムコーとサイモン・キャンポスが何者かに拉致されるのだけれど、次の13話「孤独な戦い」でもFBIはロイド・シムコーとサイモン・キャンポスに拉致した犯人を聞き出すとかせず、一切調査しない事。
2人は犯人の顔を見ているのだから容姿を聞き出し似顔絵製作とかするのが普通の捜査だと思うけれど、それは一切やらずにマーク・ベンフォードとロイド・シムコーがロイド・シムコーのフラッシュフォワードでグダグダ揉めているだけ。
犯人捜査しないのは何故?
たぶん捜査してしまうとサイモン・キャンポスに繋がってしまい、ドラマの展開上問題が出て来るからだと思うけれど。
13話「孤独な戦い」では、戦争で死んだはずの娘が生きているフラッシュフォワードを見たマーク・ベンフォードの友人のアーロン・スタークはこれまで大した展開も無いので、アーロン・スタークの話は娘との再会と自分の人生の再生が描かれ、感動の話になるのかな?と思っていたら、傭兵会社の陰謀話が展開し、アーロン・スタークが誘拐された娘を奪い返す為なら何でもするという「24」のジャック・バウワーや「96時間」のリーアム・ニーソンみたいな展開に突然なって、意外性と急展開に笑ってしまった。

で、終盤に行くと、ブラックアウトの原因はビックバンの再現の実験で出た超光速粒子タキオンのせいで地球上の人々の意識だけが未来に移動したとか、宇宙意志が人間の人生を修正するとか、最早SFではなくファンタジーとかオカルトじみて来てしまい、ドンドンと興味が失われてしまった。
最終回では、次のブラックアウトの時期を導き出す方法がマーク・ベンフォードの捜査ボードに貼ってある紐を留めているピンの文字を順番に追って行くと日付と時間が出るとか、もうポカーン…。
これって今までの捜査とは関係無いし、神様のお導き?宇宙意志のお導きって事なの?

最終回はこれだけでなく、他も大分酷く、マーク・ベンフォードが見たフラッシュフォワードでは自分は禁酒していたはずなのに酒を飲んでいる事をマーク・ベンフォードはあれだけ気にして、その未来を実現しないようにしていたはずなのに、捜査が上手く行かないという理由だけで道端で偶然出会った男性が何故か酒の入ったスキットルを渡して来たので飲んじゃうとか、マーク・ベンフォードの妻のオリヴィアも見たフラッシュフォワードをあれだけ避けようとしていたのにロイド・シムコーのよく分からない説得であっさり言う事を聞いてしまうし、ブライス・ヴァーレイもニコール・カービーとくっ付いたはずなのにケイコへの身代わりが早過ぎるし、ニコール・カービーの謎のフラッシュフォワードも実は助けてくれたのでした…というしょうも無さだし、この回でのみんなの心変わりの早さに全然付いて行けなかったし、最終回で一応はシーズン1をまとめようとする急展開の取って付けた感が物凄かった。

そして最終回でのあからさまなシーズン2をやる気満々は、打ち切りだと知って見ると怒りではなく呆れて笑ってしまった。
フラッシュフォワードの未来になった時点から十数分後に次のブラックアウトが起こるとか、まあ題名が「フラッシュフォワード」でフラッシュフォワードが題材上、次のシーズンでもフラッシュフォワードで引っ張らないといけないのは分かるけれど、速攻でブラックアウトが起こりフラッシュフォワードでシーズン2の予告を少し見せるとか、フラッシュフォワードやり過ぎ。
このドラマが打ち切りにならなかったらシーズン2の最終話でもブラックアウトを起こし、シーズン3の最終話でもブラックアウトを起こし、シーズン4でも…と何度もするつもりだったのだろうか?
シーズン3辺りではシーズン中盤辺りでブラックアウトを起こし、シーズン4では個人に未来を見せる技術を確保して数回に一回はフラッシュフォワードを見ながら捜査して行くという展開になりそうだけれど…。

まあ、最終回では新たに出て来た軍事企業やら、ビッグガイもただの駒だったとか、サイモン・キャンポスの反撃とか、伏線と言う伏線を見事にほったらかしのまま終わってしまい、何も解決せず打ち切りなので、これだと見ない方がよかった…かな?

気になったのは、このドラマの放送時期とドラマ内の時間が微妙にずれている事。
1話目のドラマ内でブラックアウトが起こったのは太平洋標準時2009年10月6日。
ブラックアウト中に見た未来は2010年4月29日。
このドラマの1話目の放送日は2009年9月24日で、全22話で22話目の放送が2010年5月27日。
多分、始めから放送時期は決まっていたのだろうから、それに合わせた日付にすれば面白味も増しただろうに。
このドラマの放送日を見ていたら、それまで毎週放送していたのに9話「ケイコ」の放送日が2009年11月19日。10話の「A561984」が2009年12月3日で、次の11話「ゼロの実体・前編」が2010年3月18日と、物凄く変則的な放送で、10話から11話の間は三ヶ月以上も休止期間があったみたい。
この謎で引っ張る展開で三ヶ月以上も放送が無いのはキツイよなぁ…。
視聴者数も、

1話 1247万人
2話 1075万人
3話 905万人
4話 907万人
5話 988万人
6話 897万人
7話 857万人
8話 828万人
9話 798万人
10話 707万人
11話 661万人

22話 496万人

と10話辺りから転げ落ちる様に減って行ったし、確かに内容的にも問題ありだったのかもしれないけれど、放送日の問題が大きかったよう。
こんな変則的で長い休止期間が無ければ、視聴者数は600~700前後で推移したままで終わってシーズン2も作られ、シーズン2で打ち切りになっても何とかまとめて、ある程度納得行く結末で終わったんじゃないかと思うと物凄く残念。

流石に2009~2010年の打ち切りドラマが再開するはずもなく、中途半端過ぎるこのドラマは結構おもしろいけれど、絶対に誰かに勧める事の無いドラマ。
 
 
関連:前期見たドラマはCSI10かな?

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