ヒューマン・ターゲット
2016年04月10日 日曜日Foxで2010年から2011年まで2シーズン全25話が放送されたドラマ「ヒューマン・ターゲット(Human Target)」。
DCコミックス原作となっており、1953年の「Detective Comics #201」の「Human Target」という一遍で初登場したフレッド・ベナブル(Fred Venable)の方ではなく、1972年の「Action Comics #419」で登場し、その後Vertigoで単独のオンゴーイングとして出版された「Human Target」の主人公クリストファー・チャンスの方のヒューマン・ターゲット。
依頼者の身代わりになり事件を解決して行くクリストファー・チャンス。
地上波で始まったので何も知らずに見てみたけれど、一話目からややこしい話抜きに人質事件を強引に解決し、超高速列車内での依頼者の暗殺阻止と黒幕探しというサスペンス・アクション映画的な一気呵成の展開で中々おもしろく、結構引き付けられた。
特に、何故か一話目の最後のちょっとだけにダニー・グローヴァーが登場したので笑ってしまった。ダニー・グローヴァーはこれ以降一切登場しないし、話にも関係無い、本当におまけ出演。ここでの遊びでも掴まれた。
しかし、一話目では列車の完成披露で日本人の企業家も来ていて、クリストファー・チャンスは依頼者の日本語通訳として潜入する事になるのだけれど、これが色々微妙。
クリストファー・チャンス役のマーク・バレーが喋る日本語が下手なのはしょうがないとは言え、「ワターシハ…」「アメリカーニ…」等々如何にも英語訛りの日本語で、日本語に慣れている人だと「んっ?」と聞き取りにつまづく様な喋りに「あなたの日本語上手ですね。」ってお世辞が過ぎるのは日本語が分からないと面白くない笑い要素で、アメリカじゃあ物凄く限定された笑いだろ。
それ以上に日本語吹き替えが酷い事になっていて、クリストファー・チャンスは何故か薩摩弁を知っていたので原語では「ありがとうございもす。今日はようおじゃりもうした。」とだけを薩摩弁で話し、それ以外は共通語で話しているのに、日本語吹き替えでは日本語で話している部分は全編薩摩人でないと何を言ってるのかさえ分からない程の方言で話している。それに相手の日本人企業家も原語ではハキハキとした綺麗な共通語で喋っているのに、吹き替えだとこちらも何を言っているのか分からない程の薩摩弁の訛りにしてしまっている。この悪乗り何?これまた、日本でも限定された笑いだろ。
それに加え、録画の題名の次に書かれている副題?内容紹介?には「九州弁を駆使するスーパーボディーガード!」と書かれており、ここでのいちびり、調子乗り感もうっとおしい。実際九州弁を話すのは上記の一場面だけだし、そこは抜き出す所でもないだろ。調べてみた限りでは、こんなクソみたいな一言添えしているのって、多分関西テレビだけで、これのせいで関西テレビで深夜に放送している海外テレビドラマや映画を見る気が削がれる削がれる。関テレって、こんなしょうも無い放送局だったっけ?
四話目の「幻の教本」のウィリアム・メイポーザー演じる敵のボスの名前がサム・フィッシャー。
どっかで聞いた事ある名前だと思ったら、「スプリンターセル」の主人公の名前がサム・フィッシャー。「スプリンターセル」を遊んだ事無いわたしでも知っているのに、何でこの名前にしたんだろう?
ドラマとしては、「ヒューマン・ターゲット」という題名なので、依頼者の身替わりになったり、誰かに成り済ましたりという展開かと思うと毎回そうではなく、結構普通のスパイモノの様な潜入調査からのアクションになって、特徴がある様で無い様な微妙な部分はある。
展開にしても、これまでやって来たスパイ映画やドラマをややこしい人間関係の部分を省いて45分にまとめた感じで、その分、もう少し丁寧に描いたら良いのに…と思う部分はあり、映画の総集編的な速さがあるけれど、一話一話がやっぱりこれまでのスパイモノ、アクションモノで見て来た様な暴走列車内とか、外国の大使館潜入、マフィアのボスを追うとかの連続で結構楽しめる。
ただ、毎回依頼が寄せられて解決に乗り出すけれど、どうやって依頼者を募集しているのかが謎。依頼者は大手企業の社員とか、政府関係者から、普通の犯罪者まで多種多様なのに、どうやらクリストファー・チャンス達の活動は秘密裏らしく、依頼しておいてクリストファー・チャンスが何するのかも知らないという依頼者もいるしなぁ。
このドラマ、DCコミックスのヒーローではなくVertigoのグラフィック・ノベル原作と言った方が内容を表している犯罪捜査とボディーガードモノ。
アメコミではメインストリームではない普通の人の話としては特殊な方には入ると思うけれど、実写だとこれまでこの手の種類の映画やドラマが無数あるので、物凄い既視感と特徴の無さを感じてはしまう。
だけれども、一話一話がそのこれまであったアクションモノやスパイモノをなぞりながらも連続テレビドラマとしてはきっちり真正面から挑んでいる事もあって結構おもしろいので、これは見続けようかな?と思った。
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